生物由来テクノロジーで医療を変えるスタートアップ5選

生物由来テクノロジーで医療を変えるスタートアップ5選

xfacebooklinkedInnoteline

生命のしくみを医療へ──バイオミティクスが切り開く新しいアプローチ 

医療分野では近年、生物が本来持つ構造や機能に着想を得た技術が注目を集めている。細胞やタンパク質、微生物、さらには動植物の身体構造や振る舞いを応用し、従来の工学的アプローチでは難しかった課題の解決を目指す動きが広がっている。

こうした考え方の中核にあるのがバイオミティクス(生物模倣技術)だ。バイオミティクスは、生物が進化の過程で獲得してきた効率性や適応性、環境との調和を手がかりに、新しい材料や医療デバイス、治療手法を設計するアプローチである。人工材料や機械に頼るだけでなく、「生物のしくみを活用する」ことで、より低侵襲で持続可能な医療技術の実現が期待されている。

先日、北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の研究チームが発表した、アマガエルなどの両生類・爬虫類の腸内細菌に着目した研究が話題となった。研究では、両生類・爬虫類の腸内から採取した天然細菌が、マウスのがんモデルで一度の投与により腫瘍を完全消失させる極めて強力な抗腫瘍効果を示した。この発見は、生物由来の微生物を活用した治療技術の可能性を示すものとして注目されている。

動物の身体構造に限らず、細胞や分子、微生物といったミクロな生命現象も、医療技術の設計思想として取り入れられつつある。こうした研究の進展を背景に、近年は大学発ベンチャーやスタートアップが、生物由来素材やバイオミティクスの発想を医療の現場へと橋渡ししようとしている。診断、治療、再生医療、医療機器といった領域で、従来とは異なるアプローチから医療のアップデートを試みる動きが加速している。

本記事では、生物のしくみを手がかりに医療の可能性を広げようとするスタートアップを紹介する。

オープンイノベーションバナー

スタートアップ5選

株式会社バイオミメティクスシンパシーズ

企業HP:http://www.bm-s.biz/

再生医療を軸に「難病」を「治せる病」へ変えることを掲げ、研究開発から事業化までを進める企業。臨床開発では「乳がんに伴うがん性皮膚潰瘍」「敗血症」を対象に新たな治療法の開発に取り組む。間葉系幹細胞(MSC)の作用機序を掘り下げて創薬シーズも探索。加えて、細胞培養加工施設(CPC)の設計・運用支援や教育訓練、化粧品事業支援などのコンサルティングを提供し、Designed MSCのAOF培地や培養技術、治験薬のライセンス提供も行う。

Craif株式会社

企業HP:https://craif.com/

尿検査によってがんを早期発見する技術を開発している、名古屋大学発のベンチャー企業。 酸化亜鉛ナノ構造体とマイクロ流路を組み合わせたデバイスにより、がん細胞と正常細胞で種類や量の異なる “マイクロ RNA” と呼ばれる生体物質を尿中から分離・回収し、その特徴を同社の開発する人工知能(AI)で分析することでがんの早期・高精度診断を行う。

2025年6月には、シリーズCエクステンションラウンドで、ウイング・キャピタル・パートナーズ、Nagase Future Investmentsを引受先とした資金調達を実施した。

メタジェンセラピューティクス株式会社

企業HP:https://www.metagentx.com/

腸内細菌分析を行う企業。 同社は腸内細菌の分析技術を持つ株式会社メタジェンのグループ会社で、腸内細菌の分析を活用した創薬・医療サービス事業を運営している。便から抽出された腸内細菌は、潰瘍性大腸炎や食道がん・胃がんをはじめとする様々な疾患をもつ患者さんに向けた新しい医薬品の研究開発や、腸内細菌叢移植(FMT)医療の原材料や、新たな研究開発に資するデータとして活用される。

2025年9月には、シリーズBラウンドのファーストおよびセカンドクローズにおいて、既存投資家7社に加えてグローバル投資家を含む4社を新たに投資家に迎え、総額23.2億円の資金調達を実施した。

株式会社Epsilon Molecular Engineering

企業HP:http://www.epsilon-mol.co.jp

独自の「cDNAディスプレイ技術」と、構造情報から設計したヒト化VHH人工ライブラリ「PharmaLogical® Library」を核に、VHHの高速スクリーニング&プロファイリングサービス「The Month」を提供する。創薬領域では動物を使わない試験管内手法でVHH抗体やペプチドを短期間で取得し、二重・多重特異性抗体の設計や構築、評価、膜タンパク質や細胞内標的など取得が難しい標的のスクリーニングにも対応。診断薬向けの最適ペア探索や、技術・抗体・試薬のライセンス提供も展開する。

2025年7月には、令和7年度さいたま市産業創造財団による「さいたま市研究開発人材高度化タスクフォース事業」に採択された。

bitBiome株式会社

企業HP:https://www.bitbiome.co.jp/

シングルセルゲノム解析技術を用いた微生物のゲノム解析を行う早稲田大学発のベンチャー企業。 同社が開発したゲノム解析技術「bit-MAP」は、微生物のゲノム情報を細胞1個単位で解読する技術。この技術により、従来のマイクロバイオーム研究で必要とされてきた煩雑な単離・培養、あるいは複雑なシーケンスデータの計算処理の必要なく、未知の多様な微生物のゲノム情報を高速かつ網羅的に取得できるようになった。 新たに得られるゲノムデータから、ヒトの健康を増進する腸内微生物の特定、抗生物質や産業用酵素を作り出す新規微生物の探索、コンパニオン診断薬や薬剤の開発への応用が期待できる。

2025年1月には、東京応化工業、アイティーファーム、KIRIN HEALTH INNOVATION FUND、Niterra 水素の森ファンドを引受先とした第三者割当増資として総額4億円の資金調達を実施した。

KEPPLE DBバナー

-----------
※北陸先端科学技術大学院大学 プレスリリース:「両生類・爬虫類の腸内細菌から画期的ながん治療細菌を発見!

新着記事

STARTUP NEWSLETTER

スタートアップの資金調達情報を漏れなくキャッチアップしたい方へ1週間分の資金調達情報を毎週お届けします

※登録することでプライバシーポリシーに同意したものとします

※配信はいつでも停止できます

ケップルグループの事業