ネクストコアテクノロジーズ、藤井精工グループと資本業務提携ーーアモルファスコア量産体制を強化

ネクストコアテクノロジーズ、藤井精工グループと資本業務提携ーーアモルファスコア量産体制を強化

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高効率モータ用アモルファス積層コアの開発・製造を手がけるネクストコアテクノロジーズ株式会社は、精密金型製造を主力とする藤井精工グループと資本業務提携を締結した。藤井精工グループであるミネルバがシリーズA株式を1億円分引き受け、両社は金型技術を活用した製造協業も進める計画である。ネクストコアテクノロジーズはこの提携を通じ、アモルファス積層コアの量産体制を強化し、拡大する国内外需要への対応を図る。

同社は2022年に設立され、主に電力エネルギー分野における課題解決に取り組んでいる。主力技術は鉄基アモルファス合金を用いたモータコアの開発であり、エネルギー損失の抑制と電力変換効率の向上を目指す。高磁束密度と低鉄損を両立するHLMETや、急冷合金薄帯(リボン)などを製品化し、自社設計による生産ラインの構築により製造プロセス全体の最適化も推進している。

代表取締役の山本勇輝氏は、HILLTOPにおいて製造部長や米国法人のCEOを歴任した経歴を持ち、製造業のデジタル化とグローバル展開を推進してきた。2022年の創業以来、エネルギー効率の向上とモータ・電力変換技術の社会実装に注力している。

産業界や自動車・家電分野では、モータや電力変換装置の高効率化が長年の課題となっている。2050年のカーボンニュートラル実現に向け、省エネ化と高効率モータの導入が国内でも加速しており、一般社団法人日本電機工業会のデータによれば、産業用モータは国内全電力の6割以上を消費している。こうした状況の中で、高性能モータやその構成部品の開発競争が国内外で激化している。

鉄基アモルファス合金コアの分野では、東芝や日本製鉄、日立金属などが競合として存在し、材料技術、製造プロセス、コスト競争力が差別化の鍵となる。アモルファス合金自体はすでに実用化されているが、モータコアとしての量産およびコスト低減には依然として高い技術的ハードルが存在する。

ネクストコアテクノロジーズは、量産対応のアモルファス積層コア技術に強みを持ち、すでに国内外複数のメーカーから試作案件を受注している。提携先の藤井精工は、超精密金型設計・製造の分野で高い技術力を有しており、今回の提携によりモータコアの製造委託も含めた量産体制の構築が加速すると見られる。

調達した1億円は、生産設備の拡充や新技術の開発、金型調達および加工精度の向上など、事業基盤の強化に充てられる予定である。藤井精工側もこの協業を通じて、アモルファス材料分野への新たな展開機会を得ることとなる。

今後、アモルファスコアの製造量産化を進める中で、品質管理、サプライチェーンの整備、競合企業との市場争いなど、新たな課題への対応も求められる。新素材および次世代省エネ機器市場の成長を背景に、本提携はモノづくり領域におけるスタートアップと既存企業の連携の一例として注目される。

画像はネクストコアテクノロジーズHPより

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