バイオインフォマティクスでイノベーションを促進するスタートアップ5選

バイオインフォマティクスでイノベーションを促進するスタートアップ5選

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KEPPLE編集部

目次

  1. 次世代医療を加速するバイオインフォマティクス
  2. スタートアップ5選
    • 株式会社digzyme
    • Craif株式会社
    • 株式会社アンプラット
    • bitBiome株式会社
    • 株式会社生物技研

次世代医療を加速するバイオインフォマティクス

近年、生命科学分野のデータ解析技術が飛躍的に進化している。その中でも注目されているのが、生物学的データを効率的に解析する「バイオインフォマティクス」だ。バイオインフォマティクスとは、バイオ(生物学)とインフォマティクス(情報学)の融合領域を指し、生物学的データを解析するために情報科学と統計学の手法を応用する学際的な分野のこと。

主にゲノム解析、薬剤開発、個別化医療などの分野で活用され、膨大な生物学的データの処理により新たな発見や治療法の開発が加速している。がんの個別化治療や希少疾患の原因解明など、医療の発展に大きく貢献するほか、近年はAIやビッグデータ解析の進歩により、バイオインフォマティクスの可能性がさらに広がっている。

生命科学の発展とデジタル技術の進歩により、今後も急速な成長が見込まれる。特に、個別化医療やゲノム医療の進展に伴い、さらなる市場拡大が予想される。

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スタートアップ5選

株式会社digzyme

企業HP:https://www.digzyme.com/

バイオインフォマティクスによる酵素開発技術を有する東京工業大学発のスタートアップ企業。バイオインフォマティクスを活用して、産業用酵素と精密発酵という2つの技術を開発している。

産業用酵素は、微生物に遺伝子情報を与えて作り出され、その酵素を含む溶液が産業分野で利用される製品のことだ。たとえば、食品加工ではパンの柔らかい食感を作り出すために使われる。また、洗濯用洗剤にも酵素が配合され、少量で効果的に汚れを分解し、環境にも優しい製品として広く使われている。精密発酵は、微生物に特定の遺伝子を導入し、有用な化合物を生産させる技術。脱炭素化領域や石油化学製品のバイオ化などにも利用される。同社はその酵素開発技術により、産業用途に適した酵素の遺伝子を効率的にデザインする。

2023年12月には食品分野への事業拡大の一環として、フジ日本精糖との業務提携契約を締結したことを発表した。2024年4月にはシリーズAラウンドにて、第三者割当増資と融資、NEDOディープテック・スタートアップ支援事業の助成金による7.3億円の資金調達を実施した。

Craif株式会社

企業HP:https://craif.com/

尿検査により疾患の早期発見や個別化医療を実現するための技術、および製品を開発する名古屋大学発のスタートアップ企業。尿中のマイクロRNAをAIで解析することで、がんのリスクを判定するスクリーニング検査「miSignal®(マイシグナル)」を提供する。マイクロRNAは、細胞の遺伝子発現を調節する小さなRNA(リボ核酸)で、がんの発症や進行に関与することが知られている。同社は尿中のマイクロRNAを網羅的に捕捉し、AIを組みあわせて医療に応用することで、がんのリスクを数値化し、早期発見を可能とする技術を開発した。

2024年3月には、豊田合成、トヨタ紡織を引受先とした資金調達を実施した。

株式会社アンプラット

企業HP:https://www.anplat.co.jp/

データ解析手法をデジタルプラットフォーム化し研究者を支援する。インフォマティクス解析プラットフォーム「ANCAT」は、各研究チームで所有している解析手法を登録し、クラウド上で管理することで、解析を簡便化する。ほかにも、同社と研究者が共同で解析SaaSを運用できる「ANCAT MarketPlace」も提供している。普段データ解析を行わない研究者でも手軽に本格的な解析を実現できるだけでなく、その分野の専門家からのアドバイスを受けながら研究を進めることができるため、双方にとって大きなメリットがある。

2021年4月には、シードラウンドにてANRI、DEEPCOREを引受先とした第三者割当増資による、総額4000万円の資金調達を実施した。

bitBiome株式会社

企業HP:https://www.bitbiome.co.jp/

シングルセルゲノム解析技術を用いた微生物のゲノム解析を行う早稲田大学発のスタートアップ。微生物を培養することなく、細胞1個からゲノムを解読する新技術 「bit-MAP®」 を開発。bit-MAP®では、微小なカプセルに微生物を1細胞ずつ閉じ込め、その中で細胞膜の破壊やDNAの抽出、増幅といった複数の反応を精密に制御する。カプセル内で増幅されたDNAを個別に分析することで、各微生物のゲノム配列を正確に解読することができる。また、自社で収集したゲノムデータをデータベース化し、酵素探索・改変が可能なプラットフォームを構築している。

2023年7月には、シリーズB2ファーストクローズにて、東京大学エッジキャピタルパートナーズ、ユニバーサルマテリアルズインキュベーター、アグリビジネス投資育成、横浜キャピタル、西武しんきんキャピタルを引受先とした総額4億円の資金調達を実施した。

株式会社生物技研

企業HP:https://gikenbio.com/

DNA 受託解析サービス・ゲノム編集受託サービスなどを行っている。同社の環境DNA解析では、次世代シーケンサー、リアルタイムPCRおよびデジタルPCRを用いて高解像度での解析を行い、環境サンプルに含まれている生物の痕跡を見つけ出している。ほかにも、ゲノム解析、メチル化解析、RNA-seq解析など、核酸抽出からバイオインフォマティクスまでさまざま作業を自社で対応する。

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