在宅ケアの“見えない現場”を可視化する——ENBASE、累計3.5億円でAIを高度化

在宅ケアの“見えない現場”を可視化する——ENBASE、累計3.5億円でAIを高度化

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在宅ケア向けAIサービスを開発する株式会社ENBASEは、One Capitalをリード投資家とする第三者割当増資を実施した。既存株主であるKUSABI 1号投資事業有限責任組合からも追加出資を受け、創業からの累計調達額は3.5億円となった。調達資金は、AIの精度向上やリスク兆候検知機能の開発加速、訪問看護・訪問介護事業所などへの導入拡大に充てる。

近年、生成AIの発展を背景に医療・介護分野でのAI活用への関心は高まっている。一方で、少子高齢化と人材不足が深刻化する在宅ケアの現場では、訪問記録や報告書作成などの間接業務がケア時間を圧迫している。また、訪問業務は直行直帰や密室環境で行われることが多く、管理者が現場の状況を十分に把握しにくいという構造的課題も指摘されている。

ENBASEの代表取締役を務める無尽洋平氏は、東日本大震災の復興支援に携わった後、リゲインに入社。エンタープライズ向けチャットボット事業の企画・開発・販売を推進し、2017年には代表取締役に就任した。その知見をもとに、2022年にENBASEを創業。

ENBASEはこうした課題に対応するため、在宅ケア現場の会話データを活用し、記録作成やリスク検知を自動化するAIツール「スタンドLM」を開発。2025年7月のリリース以降、訪問看護ステーションを中心に訪問介護事業所や居宅介護支援事業所など100社以上に導入されている。

スタンドLMは、訪問時にスマートフォンやタブレットでワンタップするだけでAIが会話を解析し、訪問記録や報告書の生成、ハラスメントやトラブルの兆候検知、スタッフの対応評価や教育フィードバックなどを自動で行うアンビエントAIツールだ。生活音や複数人の会話が混在する現場環境でも利用できる設計とし、現場スタッフに操作負担をかけないUXを特徴としている。

導入事業所では、訪問記録作成にかかる時間を約75%削減したほか、トラブル対応時の事実確認にかかる時間を約85%削減するなどの効果が確認されている。また、現場の可視化によって管理者のフォローがしやすくなり、離職率の低下にもつながっているという。

同社は今後、国内約10万カ所とされる訪問看護・訪問介護などの在宅ケア事業所への導入拡大を進めるとともに、接客業や窓口業務など対面サービス全般への技術展開も視野に入れる。現場音声を起点としたAI技術を基盤に、マネジメントデータや教育コンテンツの提供など、サービス領域の拡張を目指すとしている。

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