アニメ・マンガIPの「体験」をグローバルに届けるAnique、約13億円を調達

アニメ・マンガIPの「体験」をグローバルに届けるAnique、約13億円を調達

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日本のアニメ・マンガ・ゲームのIP(知的財産)の価値最大化を目的とし、デジタル及びリアルな体験を組み合わせた事業を展開するAnique株式会社は、2026年2月24日、シリーズBのファーストクローズとして総額約13億円の資金調達を実施したと発表した。

グローバル・ブレインが運営する3つのファンド(グローバル・ブレイン9号ファンド、TAKANAWA GATEWAY地球益投資事業有限責任組合、Canon Marketing Japan MIRAI Fund)と丸井グループを引受先とする第三者割当増資により9億円、金融機関からの融資により4億円を調達した形だ。今回の資金は飲食・空間開発事業の国内外への拡大と、グローバル人材の採用強化に充てられる。

Aniqueは2019年3月に設立され、創業初期はブロックチェーン技術を活用したデジタルアートのコレクションサービスや、NFTを軸としたWeb3事業を展開していた。2022年にピボットし、現在はグッズの企画・制作・販売、ポップアップイベントの運営、VR空間を活用したオンライン展覧会、体験型カフェの運営を主軸として、アニメやマンガ、ゲームなどの作品とファンの接点、つまり「体験」を提供する事業を展開している。

同社が自社の強みとして位置づけるのは、体験型カフェなどのリアルな空間作り、AI・VRなどの先端テクノロジーによるデジタル体験設計、そして海外展開のオペレーションという3つのインフラ機能を、版権元のニーズに合わせて提供できる点だ。代表取締役の笠井高秀氏は「版権元だけでは手が届かない部分、例えばコラボカフェの企画・運営やVR展示会の開催などを、私たちは支援することができる。そういった意味で、私たちは体験創出の “インフラ”を提供する会社」と説明する。

「洒落CAFE」の店舗。ポップな外装が目を引く
「洒落CAFE」の店舗。ポップな外装が目を引く

リアルな空間設計という面では、2025年に2件の事業買収を通じて飲食事業に参入し、体験型カフェを運営している。海外で需要の大きい抹茶とあげぱんを主軸とした体験型カフェ「洒落CAFE」は、不定期でアニメ作品とのコラボカフェなどを実施し、日本のカルチャーと作品の世界観を体験できる場となっている。現在は原宿ハラカド店と博多マルイ店の計2店舗を展開している。

デジタル体験のプロデュースという面では、VR空間を活用したオンライン展覧会「Anique Museum」を展開している。2024年に開催した「serial experiments lain」のVR展覧会には約10万人が来場し、そのうち約半数が海外ユーザーだったという。VR単体での収益化が容易ではない中で、VR空間内のお土産ショップとECサイトでのグッズ販売を連動させることで収益モデルを成立させている点が特徴だ。笠井氏はこの仕組みについて、「版権元にも利益が還元され、ユーザーもデジタル空間での購買体験を楽しむことができる、三方良しの構造が作れる」と述べた。

AIを活用してアニメのキャラクターと会話ができるサービス (AI lain / 2023年)
AIを活用してアニメのキャラクターと会話ができるサービス (AI lain / 2023年)
Anique Museumの展示会場の様子 (serial experiments lain “Weird展” / 2024年)
Anique Museumの展示会場の様子 (serial experiments lain “Weird展” / 2024年)

海外展開については、2024年5月に設立した台湾子会社を拠点に、台北では毎月ペースで催事やフェスへの出展を実施。韓国では昨年からイベント運営を本格化させており、2026年中に現地法人を設立する方針だ。上海を中心とした中国大陸でも多数のイベントを実施している。また北米では、ロサンゼルスの抹茶カフェと共同で「スパイ×ファミリー」のコラボカフェを開催した実績を持つ。

業界全体を見ると、日本アニメの市場規模は拡大を続けている。一般社団法人日本動画協会によると、2024年のアニメ産業市場規模は前年比約15%増の3兆8407億円と過去最高を更新した。中でも海外市場は約2.2兆円と国内市場を上回っており、成長をけん引している。

こうした市場拡大を背景に、アニメ関連コンテンツの海外展開や体験型ビジネスに参入する企業は増加傾向にある。笠井氏によると、特定地域で事業を展開する競合は存在するものの、複数国にまたがり体験インフラを展開するプレイヤーは依然限られているという。笠井氏は「(海外の)ユーザーからは、『アニメの配信はあるものの、視聴後に二次消費を楽しめる場がほとんどない』という声が多い。その需要に応えることが成長の柱になる」と、海外の二次消費市場のポテンシャルを示唆した。

Aniqueは今回の調達資金を、飲食事業・空間開発事業の拡大、海外展開の加速、版権元との共創加速に充てる予定だ。各領域で事業を推進するコアメンバーの採用を推進する。

「作品ファンの体験を創出するコアインフラの価値を高めていくのが、今取り組みたいこと。年内に3ヶ国、短中期的には10ヶ国での展開を新たに進めていく。」と、笠井氏は今後の意気込みについて語った。

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