核融合技術で未来を変えるスタートアップ6選【2026年5月更新】

核融合技術で未来を変えるスタートアップ6選【2026年5月更新】

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核融合技術に挑むスタートアップの最前線

世界的な脱炭素化への要請とエネルギー安全保障への関心の高まりを背景に、核融合技術がますます脚光を浴びている。核融合は、太陽のエネルギー生成原理を地上で再現するもので、理論上はCO2を排出せず、燃料資源が豊富で、安全性も「核分裂」の連鎖反応を制御しながら運転する原子力発電と比較して高いとされる。しかし、実用化に向けては高温プラズマの安定維持や材料耐久性、経済性といった技術的・商業的課題が長く立ちはだかってきた。

クリーンテック市場をめぐっては、2026年4月に開催されたセミナー「グローバル・クリーンテック最前線 2026 -世界動向と国内スタートアップ-」でも、エネルギー安全保障、AIインフラ、産業競争力、サプライチェーン強靭化と結びつく形で、次の成長局面に入りつつあるとの見方が示された。今後は「環境に良い」だけでなく、コスト競争力や供給安定性、既存インフラへの実装可能性を備えた技術が選別されていく局面にあるだろう。

その中でも核融合は、次世代のクリーンエネルギーとして注目を集めている。米国など海外勢が巨額の資金を集める一方、日本の核融合スタートアップへの投資額はまだ相対的に小さい。しかし、日本には大学・研究機関に蓄積された実験装置や研究基盤、精密加工・材料・プラントエンジニアリングなどのものづくり産業があり、商用化に向けた技術的な土台は決して小さくない。

近年は、この領域にスタートアップが次々と参入しており、国際熱核融合実験炉(ITER)や原型炉計画といった大型プロジェクトとの補完関係を築きつつ、特定部品や制御システムなどニッチ分野で世界市場を狙う戦略も取られている。

加えて、データセンターを中心とする電力需要の拡大を背景に、将来の核融合発電による電力を先取りして確保する動きが出ていることも、核融合スタートアップにとって追い風となっている。実際、2025年にはGoogleが米Commonwealth Fusion Systems(CFS)と直接電力購入契約(PPA)を締結。将来稼働するCFSの核融合発電所から、200MWの電力を購入することで合意している。

1950年代から本格的な研究が続けられてきた核融合は、なお長期的な技術開発を要する領域である一方、多くのスタートアップが2030年代の発電実証、2040年代以降の商用化を目指しており、実用化に向けた道筋がようやく具体化している。

核融合関連技術の応用範囲は、発電にとどまらない。高エネルギー中性子線の発生や極限環境での材料実験、医療用アイソトープの生成など、多様な分野で活用の可能性が広がっている。中性子源としての核融合は、従来の原子炉に依存しない放射線利用を可能にし、半導体製造や次世代電池の材料評価、がん治療用同位体の生産などにもつながる。さらに、核融合実験炉の開発過程で培われる超伝導磁石、真空技術、先進冷却システムといった周辺技術は他産業への波及効果も期待されている。

本記事では、こうした応用分野を含め、それぞれ異なる切り口から核融合実現に挑むスタートアップを紹介する。

スタートアップ6選

株式会社LINEAイノベーション

企業HP:https://linea-innovations.com/

水素とホウ素(p-11B反応)を用いた先進燃料核融合発電の実現を目指すスタートアップ。中性子・トリチウムを伴う課題を回避し、資源量の豊富な燃料で持続可能性を高める。高エネルギービームで反応を直接駆動する“非熱的”核融合と、FRC(反転磁場配位)×ミラー磁場のハイブリッド方式により、シンプルで経済性・拡張性の高い炉設計を狙う。

2025年6月には、シリーズAラウンドにて、ANRIをはじめ、ベンチャーキャピタル7社、事業会社2社、個人投資家1名を引受先とした総額17.5億円の資金調達を実施した。2026年3月には、「Industry Co-Creation (ICC)サミット FUKUOKA 2026」の「REALTECH CATAPULT(リアルテック・カタパルト)」で優勝した。

株式会社EX-Fusion

企業HP:https://ex-fusion.com/

レーザー技術を核に「レーザー核融合方式」による核融合エネルギーの実用化を目指す企業。燃料には重水素・三重水素(D-T)を用い、重水素は海水から得られ、三重水素も中性子をリチウムに当てて生成できるため、国や地域に依存しにくい燃料供給を目指す。負荷変動に対応しやすいレーザー核融合を、脱炭素に資する電源として社会実装することに加え、レーザー技術を軸に産業向けの脱炭素ソリューション展開も進める。

2025年10月には、シリーズAラウンド(エクステンション)にて、JX金属、パーソルベンチャーパートナーズ、SBI新生企業投資を引受先として総額4億円の資金調達を実施した。

株式会社Helical Fusion

企業HP:https://www.helicalfusion.com/

核融合科学研究所の研究成果を活用して創業した、ヘリカル型(Helical Stellarator)核融合炉での商用炉開発企業。ヘリカル型は、ねじれたコイルで磁場をつくり、磁力線でプラズマを包み込むことで、安定した磁場を長時間維持しやすい方式とされ、定常運転に適している。開発計画の中核は「ヘリックス計画(Helix Program)」だ。まず最終実証段階の統合実証装置「Helix HARUKA」で、高温超伝導マグネット(REBCO)と液体金属ブランケット兼ダイバータを中心に、主要技術をまとめて検証する。そのうえで、発電初号機「Helix KANATA」に移行し、通年稼働と正味発電の実現を狙う。

2025年12月には、シリーズAエクステンションラウンドにて、イークラウドNEXT1号、ゴムノイナキ、個人投資家などを引受先として8.7億円の資金調達を実施した。

株式会社MiRESSO

企業HP:https://miresso.co.jp/

量子科学技術研究開発機構(QST)の認定を受けた核融合スタートアップ。核融合発電に不可欠な中性子増倍材「ベリリウム(Be)」が、供給不足と高価格でボトルネックになり得るという課題に対し、独自の低温精製技術で安定供給と低コスト化を狙う。ベリリウムの製造・販売で、低温精製技術を用いたパイロットプラント「BETA」を整備し、本格生産の立ち上げを目指す。さらに技術プラットフォームとして、同技術をベリリウム以外の鉱物資源・素材の精製、リサイクルへ展開し、共同開発、コンサルティング、技術ライセンス、フィージビリティ検証を提供する。精製技術は、アルカリ溶液とマイクロ波加熱を組み合わせ、従来は2000℃超を要した溶解工程を、約300℃・常圧で可能にする点を特徴とする。

2026年2月には、Spiral CapitalとSBIインベストメントを共同リード投資家とした、12社の投資家を引受先とする、総額42.3億円のシリーズAをクローズしたと発表。累計資金調達額はエクイティと補助金を合わせ、約66.8億円となったとしている。

京都フュージョニアリング株式会社

企業HP:https://kyotofusioneering.com/

核融合エネルギー分野のエンジニアリング企業。加熱(ジャイロトロン)/燃料循環(燃料サイクル)/熱回収・発電(ブランケット・熱サイクル)の3領域で開発する。加熱領域では、磁場閉じ込め方式の炉でプラズマをつくる高周波加熱装置「ジャイロトロン」を中核に、高周波化や長時間運転などの性能向上と、品質保証・製品管理を含む社会実装プロセスを民間の立場で推進する。燃料サイクルでは、トリチウムなど水素同位体ガスを排気・精製・循環させ、連続運転に必要な燃料供給を成立させる技術を開発。ブランケット・熱サイクルでは、高温・高磁場・中性子照射といった核融合特有環境に耐える材料開発から、熱交換器や発電サイクルまでを一体で設計し、実証設備(UNITY計画)を通じて発電技術の実装を狙う。

同社は2025年9月、シリーズCラウンド(エクステンション)を終了し、ラウンド累計のエクイティ調達額が40.8億円となったと発表。京セラベンチャー・イノベーションファンド1号、JERA、三井住友信託銀行などを引受先として参画した。

株式会社ビームフォーフュージョン

企業HP:https://beam4fusion.com/

正負イオンビーム/高エネルギー大電流ビーム装置の知見を基盤に、核融合炉のプラズマ加熱で実績のある中性粒子ビーム入射(NBI)向け装置を中心に事業を展開する。主力は水素負イオン源と入射装置で、装置の設計・製作から運転までを一貫して提供する。あわせて、次世代核融合炉に向けた加熱方式の提案、開発計画の策定支援・コンサルティング、クライオポンプなど周辺機器の設計も手がける。さらに、液体金属(リチウム等)の流動・伝熱技術を活かした炉向け機器開発や、高エネルギービーム×液体リチウムターゲットによる病院設置型のBNCT用中性子照射装置の提供にも取り組んでいる。

2026年3月には、シードラウンドにおいて、インキュベイトファンドを引受先とする5000万円の第三者割当増資を実施した。

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