自己免疫疾患の克服に挑むスタートアップ5選

自己免疫疾患の克服に挑むスタートアップ5選

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難治性疾患のフロンティア──自己免疫疾患の克服に挑むスタートアップ 

自己免疫疾患は、免疫システムが誤って自身の組織を攻撃することによって引き起こされる疾患群で、関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)、潰瘍性大腸炎、クローン病、1型糖尿病、多発性硬化症など、約80種類以上が知られている。日本国内だけでも患者数は推計100万人以上とされ、発症の仕組みが複雑で個人差が大きく、治療や診断が困難な疾患が多い。

従来の治療は、ステロイドや免疫抑制剤による対症療法が中心で、長期的には副作用や再発リスクを伴うケースも少なくない。さらに、診断確定までのプロセスが長期化する例も多く、患者のQOL(生活の質)を大きく損なう要因となっている。

このような状況の中、近年はバイオテクノロジーやAIを活用し、自己免疫疾患の診断・治療・管理を根本から見直そうとするスタートアップが台頭している。標的型バイオ医薬品や個別化医療、疾患特異的バイオマーカーの探索、早期診断を支援するデジタル診断ツール、患者の状態を継続的にモニタリングするアプリケーションなど、アプローチは多岐にわたる。

製薬大手や大学研究機関との共同開発、米国や欧州での臨床試験、AI創薬との連携なども進みつつあり、難治性疾患とされてきた自己免疫領域においても、産業構造の変化が始まっている。

本記事では、自己免疫疾患に真正面から向き合い、診断精度の向上や治療選択肢の拡大に挑むスタートアップの取り組みに焦点をあてる。

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スタートアップ5選

Link Therapeutics株式会社

企業HP:https://sites.google.com/link-therapeutics.com/home/link-therapeutics-top

自己抗体を標的とした治療方法の創出・病原自己抗体の探索などを研究している。京都大学発の研究成果を基盤に、自己抗体が関与する疾患の解明と新規治療法の開発を事業の中心に据えている。とくに潰瘍性大腸炎といった炎症性疾患において、抗インテグリンαvβ6抗体など病原性自己抗体の役割に着目し、それら抗体や抗体産生細胞を標的とする医薬品や医療機器の開発に注力している。さらに、自己抗体が関連する他の疾患に対する探索研究も進め、事業領域の拡大を図っている。

2025年7月には、シリーズBラウンドにて、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ京都大学イノベーションキャピタル、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、神戸大学キャピタルを引受先とした総額8.5億円の第三者割当増資を実施した。

遠友ファーマ株式会社

企業HP:https://www.enupharma.com/

北海道大学先端生命科学研究院の西村紳一郎教授の糖鎖工学技術を基盤に、2019年12月に設立された北海道大学発のスタートアップである。糖ペプチドを新たな創薬標的とし、癌や自己免疫疾患、認知症など、従来の治療法が限られていた疾患に対する高い選択性を持つ抗体医薬品の開発を目指している。

2024年12月には、シードラウンドにて、京都大学イノベーションキャピタル、大鵬イノベーションズ、株式会社DGインキュベーション、北海道共創パートナーズを引受先とした第三者割当増資による総額4億円の資金調達を実施した。

AOI Biosciences株式会社

企業HP:https://www.aoibio.com/

感染症や自己免疫疾患領域において、情報解析技術と独自のバイオ技術を融合し、検査・創薬・創薬支援事業を展開している。特に、自己免疫疾患の新たなメカニズムであるネオセルフ理論に基づく「β2GPIネオセルフ抗体検査」を提供し、不妊症や不育症の診断に注力している。また、東芝デジタルソリューションズの量子インスパイアード最適化ソリューション(SQBM+™)を活用したアロステリック創薬にも取り組む。2025年1月6日付で、株式会社RevorfからAOI Biosciences株式会社に社名変更した。

2025年7月には、住友商事を代理店として、不育症・不妊症の新規検査「β2GPIネオセルフ抗体検査」のマレーシアでの事業展開を開始したと発表した。

レグセル株式会社

企業HP:http://regcell.jp/

自己免疫疾患やがんに対し、抗原特異的な免疫制御による革新的な医療を提供する、京都大学・大阪大学発の細胞治療ベンチャー。

制御性T細胞(Treg)の発見者である坂口志文名誉教授の研究に基づき、患者自身の炎症性T細胞(Teff)を高機能なTregに変換する「S/F‑Epigen iTreg」技術を確立し、安全性の高い免疫制御療法の実用化を目指している。

2024年9月には、京都大学イノベーションキャピタルを引受先とした資金調達を実施した。

株式会社レグイミューン

企業HP:https://regimmune.com/

免疫制御を標的としたバイオ医薬品の開発を手がける。主力製品のRGI-2001は、α-GalCer類似体を用いたリポソーム製剤で、造血幹細胞移植後のGvHD予防を目的に臨床試験が進行中。Treg細胞を選択的に除去する抗体RGI-AB04や、Treg機能を抑制するRGI-AB01など、がん免疫療法への展開を視野に入れた抗体医薬もパイプラインに揃える。免疫の活性化と制御のバランスを軸に、新たな治療選択肢の創出を目指す。

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