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安静時のバイタルデータで転倒リスクを検知、健康寿命延伸に貢献
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高齢化が急速に進む日本では、65歳以上の人口が総人口の3割を超え、社会構造が大きな転換点を迎えている。この変化に伴い、高齢者の生活の質を向上させ、自立を支援する技術の需要が急増している。
一方、高齢者人口の増加により、介護職員の人手不足や過重労働といった課題が深刻化している。介護者の負担を軽減し、要介護者により良いサービスを提供するには、ロボットなどのデジタル技術を活用した「介護テック」の推進が不可欠だ。
2022年度の介護システム市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比102.8%の252億1300万円となった。※1また、同年の65歳以上の人口は過去最高の約3625万人を記録し、総人口に占める割合(高齢化率)は29.3%に達した。※2総人口が減少する中で、65歳以上の人口は増加を続け、高齢化率も上昇を続けている。
高齢者支援は、テクノロジーが新たな可能性を切り開く分野だ。健康管理、コミュニケーション、移動支援、学習といった多岐にわたる分野で、さまざまなイノベーションが生まれている。今後もテクノロジーを通じて高齢者の可能性を広げる取り組みが期待される。今回は、こうした領域で革新を進めるスタートアップを紹介する。
企業HP:https://rehabilitation3.jp/
介護施設向けに転倒リスク可視化システムを開発する。同社が開発を進めているのが「SAA(Sleep Activity Assessment)」と呼ばれるシステムだ。センサーから取得した介護施設入居者の睡眠時のバイタルデータを活用し、その日の体調にあった最適な運動プログラムを介護施設の担当者に提案する。バイタルデータを基に、独自開発のAIが入居者の運動能力や認知能力を推定する。認知能力の低下や転倒リスクのある高齢者を可視化することで、施設における見守り業務の負担を軽減する。
2024年1月には、池田泉州キャピタル、QXLV(クオンタムリープベンチャーズ)、その他個人投資家を引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施した。
シニア世代の「挑戦と発見を通じて、ポジティブに歳を重ねる」ことを支援するサービスを提供している。主な事業として、孫世代の20~30代のスタッフがシニアにスマートフォンやパソコンの個別レクチャー、散歩やお出かけの同行などを行う「もっとメイト」や、多世代交流を促進するコミュニティスペース「モットバ!」の運営がある。
2024年11月には、JR東日本とJR東日本スタートアップが主催するピッチコンテストで、審査員特別賞を受賞した。
企業HP:https://corp.mikawaya21.com/
シニアの暮らしのお手伝い事業や、IoT 機器による見守りを行っている。同社のサービス「まごころサポート」は、日常生活の困りごとや専門性が求められる困りごとまで、地域にいるコンシェルジュがそれぞれのシニアに合ったサービスを提供する。また、 ゴミ出しの日や地域情報、健康サポート、コールセンターへの接続などをボタン一つで利用できるIoT DEVICE「マゴコロボタン」の開発・提供も行っている。
2023年12月には、フューチャーベンチャーキャピタルを引受先とした資金調達を実施した。
企業HP:https://emome.co.jp/
高齢者向けのデジタルレクリエーション「シニアカレッジ」などの開発・運営をする東京大学発のスタートアップ。シニアカレッジは、介護職員に代わり、脳トレやダンス、歴史などの映像コンテンツを提供することができる。他にも、さまざまな施設の取り組みや、介護のポイントを掲載する「クレセント・オンライン」も運営している。
2024年2月には、コニカミノルタと業務提携の締結をし、シニア向けウェルビーイングコンテンツシート「おとなレポート」の提供を開始した。2024年12月には、介護従事者ならびに利用者の自立支援を目的に、TOPPANとの連携を開始した。この連携により、映像活用レクリエーションクラウド「シニアカレッジ」のコンテンツをTOPPANが提供するデータプラットフォーム「WAN-かいご™」と共有する。
医療・介護・福祉業界向けにロボティクス技術の研究・商品開発を行う。同社の主な製品である「Helppad」は、センサーが排泄の「におい」に反応してAIが便と尿をそれぞれ検知。おむつ交換が必要なタイミングで施設のパソコンやスマホに職員に通知される。排泄ケア業務の負担軽減が可能。
2023年2月には、T&Dイノベーション、HAKUHODO DY FUTURE DESIGN FUND、SMBCベンチャーキャピタル、個人投資家などを引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施し、今回の調達による累計資金調達額は約12億円となった。
高齢者・患者の動作支援・リハビリ訓練装置、ロボティックウェア「curara®」の製造、研究開発をする信州大学発のスタートアップ。curara®は、加齢や事故、病気などによって歩行が難しくなってしまった人のための歩行トレーニングロボット。スマートフォンのアプリをダウンロードすることで、利用者の歩行評価がされ、それに合ったトレーニングをすることができ、長期間の歩行データを記録・保存も可能。
2022年5月には、トレンドマイクロ(代表取締役社長 兼CEOのエバ・チェン)を引受先とした1.25億円の資金調達を実施した。2024年9月には、身長90㎝から着用可能な小児用歩行トレーニングロボット「小児用curara」を公開した。
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※1矢野経済研究所「2024年版 介護テクノロジー(ロボット)と高齢者向けICTサービス市場の将来展望」
※2 総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者 」
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