新素材の開発を目指すスタートアップ5選

新素材の開発を目指すスタートアップ5選

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KEPPLE編集部

目次

  1. はじめに
  2. スタートアップ5選
    • FiberCraze株式会社
    • 株式会社3DC
    • 株式会社グリーンケミカル
    • AZUL Energy株式会社
    • 株式会社PlastiFarm
  3. おわりに

はじめに

新素材は、製造業や建設業、エネルギー、医療、自動車産業などのさまざまな分野で活用される。特に炭素削減や環境負荷の低減を目指す産業のニーズが増加しており、バイオプラスチックや再生可能エネルギー関連の素材が注目されている。

矢野経済研究所によると、2030年の次世代高機能材料世界市場規模は、32兆1794億円と予測されている。次世代に有望な機能材料(次世代高機能材料)に目を向けるとそれぞれ特徴的な機能を有し、科学および工業の発展に寄与し、さまざまな特性を持つ素材として注目されている。

新素材産業は再生可能エネルギー、ナノテクノロジー、複合バイオテクノロジーなど幅広い分野で革新的な応用が期待されている。今後も技術の進歩や社会のニーズに応じて成長し、持続可能性や高機能化への取り組みが進むことが予測される。

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スタートアップ5選

FiberCraze株式会社

企業HP:https://www.fibercraze.com/

繊維・フィルム素材の多孔化技術をコア技術とし、高機能性素材の開発を行う岐阜大学発のスタートアップ。岐阜大学特許技術に基づく同社の技術は、繊維やフィルム素材に後加工で数十ナノメートルの微細な穴を開け、その穴にさまざまな成分を閉じ込めることで機能性を向上させる。成分の保持や粒子の透過・制御、水・油の分離なども可能になる。

開発された素材には、防虫や保湿成分を閉じ込めた高機能性繊維や、液体吸着剤、分離膜などが含まれる。この技術により、蚊などの媒介虫による感染病予防素材をはじめ、医療・バイオ分野、産業分野などへの幅広い展開が期待される。同社は現在、繊維産業を中心とした多くの製造業者が事業を行う岐阜県を拠点とし、地元企業と積極的に連携し共同開発に取り組んでいる。

2023年8月には、シードラウンドにてリバネス、長谷虎紡績、OKBキャピタル、NOBUNAGAキャピタルビレッジを引受先とした4000万円の資金調達を実施した。

株式会社3DC

企業HP:https://www.3dc.co.jp/

カーボン新素材「グラフェンメソスポンジ(GMS)」を開発する東北大学発のスタートアップ。GMSは、従来の 炭素原子が六角形の格子状に結びついた原子1個分の厚さのシート状の物質であるグラフェンに対し、グラフェンと同様の厚さでありながらスポンジのような三次元構造を備えた物質。ゴムのように弾性変形することで電池の充放電に伴う激しい構造変化にも容易に対応できる。現在、2024年以降の本格的な市場参入に向け、国内外の電池・電池材料・キャパシタ・自動車メーカーなどと協力してGMSの導入実証を進めている。

2024年1月には、プレシリーズAラウンドにて、森松T&Sを引受先とした第三者割当増資による2.5億円の資金調達を実施した。

株式会社グリーンケミカル

企業HP:https://green-chem.jp/

非可食バイオマス資源を原料に、従来の石油由来製品を代替する新素材、芳香族系バイオプラスチック原料の製造技術を開発する東京工業大学発のスタートアップ。独自の新触媒プロセスを実用化し非可食バイオマス由来の糖を100%原料として、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)、続くフランジカルボン酸(FDCA)を安定かつ高純度で供給する。

2024年2月には、プレシリーズAラウンドにてみらい創造機構、東北大学ベンチャーパートナーズを引受先とした第三者割当増資による1.7億円の資金調達を実施した。

AZUL Energy株式会社

企業HP:https://www.azul-energy.co.jp/

空気電池用の新素材(触媒電極)を開発する東北大学発のスタートアップ。金属空気電池や燃料電池向けに、高活性の非白金系酸素還元反応触媒電極材料「AZUL 触媒」を実用化するべく開発を進める。AZUL触媒は、燃料電池や金属空気電池の空気極における酸素還元反応において高い触媒活性を有しており、また従来の製造プロセスを用いて量産することが可能。新たな次世代エネルギーデバイスとして、空気電池の性能向上、空気電池関連製品の開発、エコで快適な新たなライフスタイルの提案により、IoT社会、低炭素社会、循環型社会の実現に貢献する。

2024年1月には、シリーズAラウンドにて、三菱UFJキャピタル、ガバナンス・パートナーズを引受先とした第三者割当増資による1.4億円の資金調達を実施した。2024年4月には、環境にやさしい「金属空気紙電池」で、電圧1.8V、出力100mW/cm2以上、容量968.2Wh/kg (Mg)の高性能化を達成した。

株式会社PlastiFarm

企業HP:https://plastifarm.co.jp/

新素材「PGAICs」の研究・開発・製造を行う高知大学発のスタートアップ。納豆菌が生産する「ポリ-γ-グルタミン酸」と他の物質を組み合わせて高機能化。機能性と環境適合性を両立させた新素材の開発・生産を主な事業としている。PGAICsの特徴である生分解性・抗菌性などさまざまな特性を活かした新素材の開発を進めており、今後多様な市場での社会実装が期待される。

2023年5月には、高知県発ベンチャー投資事業有限責任組合を引受先とした資金調達を実施した。

おわりに

今回紹介した企業は、持続可能性や技術革新を加速させるための新素材の開発に注力している。今後も、新素材関連のスタートアップの動向にはさらに注目が集まりそうだ。技術の進歩や社会のニーズに応えるため、新素材関連企業の活動がますます活発化するだろう。

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※矢野経済研究所 「次世代高機能材料に関する調査を実施(2020年)

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