空き家DXを牽引するポルティ、8500万円調達──不動産特化AIの開発と空き家活用モデルの拡大へ

空き家DXを牽引するポルティ、8500万円調達──不動産特化AIの開発と空き家活用モデルの拡大へ

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空き家不動産の売買フリマアプリ「ポルティ空き家バンク」とAI賃料査定サービスを運営する株式会社ポルティは、NES投資事業有限責任組合、ICJ2号ファンド投資事業有限責任組合、90s1号投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資によるプレシリーズAラウンド(1stクローズ)で、総額8500万円の資金調達を実施した。

同社は、空き家や土地、別荘などの所有者と購入希望者を直接マッチングするセルフサービス型不動産売買プラットフォーム「ポルティ空き家バンク」を展開している。ポルティ空き家バンクは、個人が気軽に不動産の売買をできるアプリだ。購入希望者とメッセージのやり取りや価格交渉、内見の日程調整、契約締結までをアプリ内で完結できる。宅地建物取引士による専門サポートも特徴だ。一方、AIを活用した賃料査定サービス「ポルティ賃料査定」も展開しており、累計で400万回以上の利用実績がある。

代表取締役CEOは平 瑶平氏。大学在学中に事業会社の取締役に就任し、事業売却を経験。2020年に不動産データ×AIの開発プロジェクトを立ち上げ、2022年1月にポルティを創業した。不動産データの専門性を活かし、国土交通省や上場企業との意見交換やコンサルティングも行っている。

日本国内における空き家の総数は、総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査によれば2023年時点で約900万戸、空き家率は13.8%と過去最高水準を記録した。前回2018年調査時から51万戸増加し、この30年間で空き家数は約2倍、直近20年間でも約1.5倍の急増傾向が続く。特に用途が定まらないまま長期間放置されている「その他の空き家」が多く、全体として増加傾向にあると指摘されている。背景には、人口減少や高齢化、相続登記の遅れによる所有者不明物件の増加、住宅需要の変化といった複合的な要因がある。

住宅ストックが過剰気味になるなか、不動産市場では競争が激化しており、査定業務や売買プラットフォームのオンライン化などDXの推進や、リノベーションによる価値向上提案が各社で進んでいる。地方部は都市部に比べて空き家率が高い傾向が顕著であり、地域ごとの実情に応じた対策と、行政・民間の連携強化が重要な課題となっている。国土交通省は、特定空き家や管理不全空き家への対応強化、自治体・民間事業者との協働、補助制度の拡充などを通じて、実効的な空き家の活用と発生抑制に向けた取り組みを進めている。

今回調達した資金は、エンジニアおよび不動産実務経験者を中心とした人材採用の強化、ならびに不動産特化型AIの開発へ重点的に投資する構えだ。今後もサービス拡大と技術開発を通じて、日本全国の空き家や土地の流通促進、社会課題の解決に取り組むとしている。

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