株式会社デジタルアセットマーケッツ

法人向け暗号資産取引サービスなどを提供する株式会社デジタルアセットマーケッツは、複数の国内企業を引受先とする総額13億円の資金調達を実施した。
同社は、ブロックチェーン技術を活用した次世代金融インフラ構築に取り組む企業だ。デジタルアセットの発行・流通・調達・管理を一気通貫で支援している。自社でデジタルアセット取引所を運営するとともに、流通パートナーと連携してデジタルアセット流通ネットワークを構築する。
また、金融資産の小口化と24時間ダイレクト取引を可能とするプラットフォームを提供し、さらにはデジタル資産の保護を担うサービスも展開。有形資産の権利をデジタル化し、金融と非金融が融合するMtoM(Machine to Machine)型インフラの実現を目指している。
代表取締役CEOは西本一也氏。日本勧業角丸証券(現・みずほ証券)に入社後、1999年にインタートレードを設立。2004年に同社を東証マザーズへ上場させ、2015年に第二部、2022年にはスタンダード市場へと市場変更を進めた。2018年にはインタートレードコイン(現・デジタルアセットマーケッツ)を設立。証券会社向けのフロントシステムを自社開発してきた、システム開発のエキスパートである。
国内の暗号資産取引業界は、2025年9月時点で現物取引高約1兆4932億円、証拠金取引高約8200億円を記録し、取引業者数は31社となっている(日本暗号資産等取引業協会)。市場規模は2023年度から2024年度にかけて大幅に拡大しており、法人や金融機関による事業参入の増加が顕著である(金融庁)。制度面では、ステーブルコインを中心に法制度の整備が進み、暗号資産を「金融商品」として位置付け直す議論やビットコインETF解禁に向けた検討も加速している。投機的な売買に加えて、決済・送金など実需に根ざしたユースケースも広がりつつあり、特に2025年に入ってからは、金融庁による管理・監督や規制見直しの動きを背景に、大手事業者や既存金融機関の参入・連携が相次いでいる。業界としてはリスク管理やコンプライアンス対応の高度化が不可欠となっており、今後は利用者保護を前提とした新たなサービスモデルの創出や、国際基準への適合など、持続的成長に向けた取り組みが求められている。
調達した13億円は、法人向け暗号資産取引サービスおよび電子決済手段等取引業の開始に向けたシステム開発や、既存体制に加えて必要となるコンプライアンスやリスク管理等の体制整備に充当される。
今回の資金調達を通じて、今後の金融規制動向を踏まえた自己資本の充実を図るとともに、国内における電子決済手段等の法制度整備を見据え、法人顧客がデジタルアセットを安心して活用できる市場・決済インフラの構築を目指す。









