【DAY1】始動した“都市×テクノロジー”の祭典──SusHi Tech Tokyo 2025開幕レポート


東京・有楽町のTokyo Innovation Base(TIB)はオープン2周年を迎え、記念イベント「TIB 2nd Anniversary Week」がスタートした。そのキックオフとなる「Startup Ecosystem Summit 2025」が、2025年11月25日(火)、東京都と一般社団法人スタートアップエコシステム協会の主催で開催された。
東京都のスタートアップ支援拠点であるTIBは、2023年のオープン以来、来場者数は31万人を突破。ハードウェア開発用設備やイベント会場の提供、ピッチイベント開催、コミュニティ形成など多様な機能を備え、現在はさまざまなプレイヤーをつなぐイノベーションハブになっている。
初日のサミットには、小池百合子東京都知事に加え、スペシャルゲストとしてスタートアップ担当大臣の城内実氏が登壇。東京都がスタートアップ育成戦略を策定してから3年の節目を迎える中、両氏が示したこれまでの成果と今後の展望に注目が集まった。
小池都知事は冒頭挨拶の中で、2022年11月に策定したスタートアップ戦略「Global Innovation with STARTUPS」の進捗を報告。本戦略では、「東京発ユニコーン数」「東京での起業数」「東京都とスタートアップの協働事例数」という3つの指標を、5年間で10倍に引き上げることを掲げている。
なかでも官民連携の協働事例数は大きく伸び、2022年度の9件から2024年度には252件へと28倍に増加し、目標を大幅に上回る成果を出している。一方で、都内開業率はわずか0.8ポイント増の6.8%、東京発ユニコーンも2.7ポイント増の4社と、成長余地が残る状況が示された。
小池氏は、戦略を2025年11月に「Global Innovation Strategy 2.0 STARTUP & SCALEUP」へ改訂したことを発表。アジア最大級のイノベーションカンファレンスであるSusHi Tech TokyoとTIBを重要な「プラットフォーム」として位置づけ、スタートアップエコシステムの拡大や官民協働のさらなる推進に繋げていきたい考えである。また、大学・研究機関発スタートアップやオープンイノベーション支援を強化し、さらなるユニコーン創出を目指す方針だ。

続いて登壇した城内実スタートアップ担当大臣は、「スタートアップは新しいアイデアで社会課題を解決し、経済成長をけん引する極めて重要な存在」と強調。政府としてスタートアップエコシステムの構築に本気で取り組む姿勢を示した。
前週閣議決定により策定した総合経済対策の中には、スタートアップ関連の施策がすでに盛り込まれていると説明した。具体的には、国内外からの投資促進、大学発・高専発スタートアップ支援、起業家人材の育成と地域イノベーション創出などを挙げ、政府として幅広い層への支援を見据えている現状が紹介された。
また、2025年10月時点でのユニコーン数は、米国約700社に対して日本は8社。日本からアメリカに匹敵するほど多くのユニコーンを生み出していきたいと意気込む。

サミットではこのほか、ディープテックがスケールする際の課題をテーマにしたパネルディスカッションや、世界各地のスタートアップエコシステムビルダーによるセッションが開催された。また、各国の駐日大使館や商工会議所によるスタートアップ支援プログラムの紹介、女性起業家やスタートアップ支援者によるディスカッションなど、幅広い視点からスタートアップエコシステムの今と未来を探る多彩な企画が展開された。
この後も「TIB 2nd Anniversary Week」 では、スタートアップ、投資家、企業、大学、国・自治体、学生など、さまざまなプレイヤーが成果を発信し、交流を深める1週間となる予定だ。期間中は、ピッチコンテスト、大企業とのマッチングイベント、XR技術を活用したコンサート、子ども向けの宇宙・ゲーム技術体験型イベントなど、多彩なプログラムが用意されており、さらなるコミュニティ拡大とイノベーション創出に繋がることが期待されている。

スタートアップの資金調達情報を漏れなくキャッチアップしたい方へ。
1週間分の資金調達情報を毎週お届けします。
※登録することでプライバシーポリシーに同意したものとします
※配信はいつでも停止できます