AI×体験分析「TERUS」運営のLUCが1.2億円調達──顧客理解を一元化し事業成長基盤を強化へ

AI×体験分析「TERUS」運営のLUCが1.2億円調達──顧客理解を一元化し事業成長基盤を強化へ

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AI×体験分析プラットフォーム「TERUS(テラス)」を開発・運営するLUC株式会社は、NOW、みずほキャピタルを引受先とする第三者割当増資によるプレシリーズAラウンドで1.2億円の資金調達を実施した。シードラウンドも含めた累計調達額は1.5億円となる。

LUCが開発・運営する「TERUS」は、顧客の声を起点に意思決定を支えるAI×体験分析プラットフォームだ。これまで複数のツールや手作業に分断されていた顧客理解を一元化し、「顧客が本当に求めるもの」に基づいて素早く判断できる環境をつくる。

TERUSの特徴は大きく2つある。ひとつは、数値の裏側にある“なぜ”を可視化できる点だ。売上やNPS(Net Promoter Score)といった定量データの背景にある顧客体験・感情をAIが構造化し、施策の成功要因や課題を正確に特定する。これにより、打ち手の再現性と成功率が大幅に高まるという。

もうひとつは、顧客の声を見たい粒度・観点で自在に分析できる点だ。変化の兆しをいち早く捉え、詳細分析から施策検討、経営判断までを一気通貫で支援する。市場変化への迅速な対応が可能となる。

代表取締役CEOは瀬在恭介氏。2016年より大手ITベンダーにて金融業界向けのシステム開発業務に従事し、2019年からは研究開発部門でAI研究チーム長を務め、自然言語処理AIや知識グラフ関連の技術開発・論文寄稿・知財取得の経験を積んだ。その後、個人事業主としても省庁プロジェクトのプロジェクトマネジメントやAIコンサルティング、AI新規事業の立ち上げに携わり、2024年2月にLUCを設立した。

IDC Japanによると、国内のAIプラットフォーム/アナリティクス市場のソフトウェア売上額は、2024年に前年比36.6%増の3734億円に達し、多くのベンダーが売り上げを伸ばした。特に、大規模言語モデル(LLM)を提供しているハイパースケーラーと、最先端の基盤モデルを持つAI専業ベンダーは市場競争の中心となっているが、それと同時に、特定領域に特化したソリューションを提供する多様なITサプライヤーが市場で活躍しているという。

デジタル変革の進展に伴い、ビッグデータの活用や機械学習技術の進化が業界発展の主要な要因となっている。特に近年は、生成AIによる自動分析やファーストパーティデータの積極的活用が進み、企業と顧客の関係性のパーソナライゼーションが一層加速している。

また、日本のカスタマーサクセス領域では、AIを活用した業務改革が着実に広がりつつある。バーチャレクス・コンサルティングの調査によれば、「顧客対応の大部分でAIを活用している」と回答した企業では74.5%がカスタマーサクセスの効果を実感しており、さらにカスタマーサクセスに取り組む企業の6割超が直近1年間の新規売上の増加を報告するなど、その取り組みの実利性が一定程度確認されている(バーチャレクス・コンサルティング )。一方で、データプライバシーやセキュリティ強化への意識の高まり、企業規模別の多様なニーズへの対応、ユーザーインターフェースの最適化といった課題も依然として残る。今後はクラウドサービスの普及や運用自動化の進展により、導入・運用のハードルがさらに下がっていくことが見込まれる。

今回の資金調達により、LUCは主力プロダクト「TERUS」のマーケティング施策強化、プロダクト改善及び機能拡充、採用・組織体制の強化を進める意向を示している。顧客の声を基点に意思決定を支える「TERUS」の提供価値をさらに磨き込むことで、顧客体験の高度化を急ぐ企業からの注目と成長への期待が一段と高まりそうだ。

画像はLUC HPより

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