「AIエージェント市場のトップランナーとして加速」JAPAN AI、シリーズBで19億円調達の背景と成長戦略


AIエージェントを活用した海外向けEC/CXソリューションを提供する株式会社QuickCEPは、複数のグローバルVC、事業会社を引受先とするラウンドで、約20億円の資金調達を実施した。
QuickCEPは、AIエージェント技術を活用し、グローバルブランドのEC事業者向けにカスタマーエクスペリエンス(CX)向上を目的としたプラットフォームを提供している。同サービスはCDP(カスタマーデータ基盤)、AIチャットボット、多チャネル連携、マーケティングオートメーション、シナリオチャットボットなどを統合したSaaS型だ。LINEやInstagramといった主要SNSを含む複数のサービスと接続でき、顧客対応やキャンペーン運用の自動化を実現する。24時間の自動カスタマーサポートやノーコードでのシナリオ設計ができ、すぐに利用できる直感的なUI設計が特徴だ。クレーム対応は37%減少、顧客データ収集率は50%向上を実現している。
代表取締役CEOのBilly Chen氏は、「市場には多くのAI製品がありますが、大企業の業務プロセスにエージェントを実装し、組織能力として組み込むことができる製品はほとんどありません。QuickCEPは、消費者がブランドに最初に接触する瞬間から、マーケティング、オペレーション、カスタマーサービスまで、企業のあらゆる部門と連携しながら、ライフサイクル全体を一貫して支援できる点が大きな強みです」と述べている。(一部抜粋)
2024年以降、AIエージェント技術を活用した越境ECやカスタマーエクスペリエンス(CX)向上分野における市場が著しい拡大局面に入っている。ITRの調査では、国内のAIエージェント基盤市場の2024年度の売上金額は1億6000万円であり、前年度の8倍に拡大した。今後さらなる導入拡大が見込まれ、2029年度には135億円に達すると予測されている。特にカスタマーサービスやバーチャルアシスタントなどCX関連用途での採用が進んでおり、eコマース領域でもAIエージェントを顧客対応や購買導線に組み込む動きが加速している。
Precedence Researchによると、地域別には北米が2024年時点で約4割のシェアを占める最大市場であり、アジア太平洋地域が最速成長市場とされる。OpenAIやGoogle、Salesforceなど大手もAIエージェントプラットフォームを相次いで打ち出しており、マルチエージェント協調や多言語対応など技術面での進展も顕著だ。一方で、データプライバシーやセキュリティなど新たなリスクも指摘されており、事業者はガバナンスやインフラ整備を含めた対応を迫られている。
今回の資金調達によって、AIエージェント技術の研究強化や、グローバル市場に対応する自社サービスの拡張に重点を置く計画である。具体的には、自動応答率向上、多エージェント連携、モデルアップグレードなどの技術開発に投資が行われ、さらに多言語対応や地域特化のCX設計などグローバル基準のプロダクト開発を進める。また、欧米・中東・アジア地域での現地オペレーション体制強化とパートナー連携にも資金を投じる。今後も、企業と消費者のコミュニケーションの在り方を根本から刷新し、“世界基準のCXを誰もが実現できる未来”の創出を目指していく考えだ。
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