ファーメランタ、シリーズAラウンドで20億円調達──合成生物学による希少成分の発酵生産へ前進

ファーメランタ、シリーズAラウンドで20億円調達──合成生物学による希少成分の発酵生産へ前進

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合成生物学を応用し、天然由来の希少有用成分を微生物による発酵で安定的に生産するファーメランタ株式会社は、シリーズAラウンドによる三者割当増資および公的助成金の採択で、20億円の資金調達を実施した。既存株主に加え、新たに7社を含む合計9社が引受先として参画しており、累計調達額は48億円に達する。

同社は、2022年10月設立、石川県立大学発のバイオテック・スタートアップである。同社は、合成生物学を駆使し、植物二次代謝産物(植物由来の多様で複雑な化合物)など希少かつ高機能な天然成分を、大腸菌を用いた微生物発酵プロセスで生産する技術を有している。独自に20以上の遺伝子を多段階で導入し、培養液1リットルあたりグラム単位の生産収量を達成している点が技術的強みとされる。

2025年7月には、EXPO 2025 大阪・関西万博に出展。微生物で生産したトマト抽出物の有効成分である発酵リコピンを展示し、植物栽培法に対する微生物発酵法の生産効率性に対して、多くの反響を得た。

代表取締役CEOの柊崎庄吾氏は、証券会社出身で、共同創業者として企業の立ち上げに関与している。そのほか、共同創業には、石川県立大学の南博道准教授(CSO)と中川明氏(CTO)が携わっており、両名とも合成生物学・応用微生物学の専門家である。

バイオを活用したものづくり産業は、環境負荷低減や持続可能性の観点から成長が続いており、合成生物学はその中核技術として注目されている。バイオマテリアルの市場価値は2030年までに2156億ドル規模への成長が見込まれ、ファーメランタはその中で差別化されたポジションを占める可能性がある。

今回のシリーズAラウンドでは、新株引受先としてユニバーサル マテリアルズ インキュベーター、既存のBeyond Next Ventures、慶應イノベーション・イニシアティブ、SMBCベンチャーキャピタル、三菱UFJキャピタル、などが名を連ねた。

また、NEDOのDTSU(ディープテック・スタートアップ支援)事業の実用化研究(後期:PCAフェーズ)に採択され、助成金の一部として調達に含まれている。累計調達額は48億円に達し、これを研究開発拡充、パイロットスケールへの移行、商業化前提の事業開発体制強化に充当する予定である。

ファーメランタは、合成生物学を通じて従来の植物抽出や化学合成に代わる効率的・持続可能な希少成分生産を目指している。今回の大型資金調達により、研究体制・スケールアップ体制を強化し、商業レベルでの生産体制構築を視野に入れている。

今後、外部の開発製造受託機関(CDMO)との連携を通じて、複数の開発中パイプラインのスケールアップによるサンプル試作及び量産化を実証する計画だ。バイオものづくり産業における実用化に向けた取り組みの一端を担う存在として注目されるだろう。

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