メタジェンセラピューティクス株式会社

メタジェンセラピューティクス株式会社は、2025年7から9月に実施したシリーズBラウンドのファースト及びセカンドクローズにおいて、既存の7社に加え、グローバル投資家を含む新規4社を迎え、総額23.2億円の資金調達を完了(第三者割当増資)。これにより、累計調達額は42.6億円に達する。
今回のラウンドには、既存投資家としてファストトラックイニシアティブ、ジャフコ グループ、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、慶應イノベーション・イニシアティブ、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、スパークス・アセット・マネジメントが引き続き参加した。さらに、新規投資家としてArcus South East Asia、みらい創造インベストメンツ、電通ベンチャーズSGPファンド、国際協力銀行が参画している。
同社は、腸内細菌研究に基づいた医療・創薬を推進するベンチャーで、「腸内細菌バンク」を基盤として、腸内細菌叢移植(FMT)を核とした医療サービスと創薬事業を展開している。2025年4月には「つるおか献便ルーム」(山形県鶴岡市)開設、5月には「FMT治験薬製造センター」(神奈川県川崎市)を開設した。
代表取締役社長CEOの中原拓氏は、バイオインフォマティクス研究者としてキャリアを開始。2008年には自身が関わった研究を基に、北海道大学発ベンチャーを製薬企業と共同で創業し、約6年間ニュージャージー州でバイオインフォマティクス責任者を務める。その後、日系大手消費財企業や米系・日系ベンチャーキャピタルにて、新規事業開発やスタートアップ投資に従事。2020年にメタジェンセラピューティクスを創業し、CEOとして日本のアカデミアや企業発のマイクロバイオーム医療・創薬シーズの事業化に取り組んでいる。
中原氏は、「各国に遅れることなく、腸内細菌医療を日本の患者さんたちにお届けし、世界の患者さんに日本発のマクロバイオーム医薬品をお届けできるよう、今回の資金調達により開発をさらに加速してまいります。」とコメントしている。(一部抜粋)
マイクロバイオーム医薬品市場は世界的に急成長している。マイクロバイオーム医薬品市場は2022年に約9500万ドル規模だったが、2030年には約10.7億ドルに拡大し、年平均成長率(CAGR)は35.3%と予測されている。免疫疾患やがん、中枢神経疾患における応用研究が進むことで、今後も高い成長が続くと予想される。
調達資金は、潰瘍性大腸炎を対象とした経口FMT医薬品(MGT-006)の開発促進(2026年の日米治験含む)のほか、便ドナー獲得・治験薬製造を支えるサプライチェーン強化、組織体制および人材の拡充に充てられる予定である。
同社では、腸内細菌ドナー応募者が500名以上に上り、18名が認定済み、採取済み便は120件を超えている。また、東京オフィスの拡大移転も予定されており、人員増加と働きやすい環境整備に力を入れている。今後も、FMTの臨床研究を進めるとともに、食道がん・胃がん・パーキンソン病を対象とした研究も推進し、マイクロバイオーム医薬品の社会実装に注力していく。