株式会社Mujin

高度なロボット認識・動作計画とデジタルツイン技術を駆使し産業オートメーションプラットフォーム「MujinOS」を展開する株式会社Mujinは、シリーズDラウンドファーストクローズにて、NTT、NTTドコモビジネス、カタール投資庁、三菱HCキャピタルリアルティ、Salesforce Venturesを引受先とした第三者割当増資による209億円と、あおぞら銀行、三井住友信託銀行、みずほ銀行、商工組合中央金庫、横浜銀行、UPSIDER Capitaなどの融資による155億円の、総額364億円の資金調達を実施した。これにより、累計調達額は596億円となった。
同社は、高度な知能型ロボットコントローラ「Mujinコントローラ」を中心に、コンポーネント事業、物流や製造プロセスの自動化を実現するソリューション事業、システム構築支援のエンジニアリング事業を手がける。Mujinコントローラは、10社超のロボットメーカーとの接続が可能で、ロボット・ビジョン・ハンド・AGVをまとめて制御し、知能ロボットシステムを実現。従来属人的であった、ロボット動作・周辺機器連携の複雑なプログラミング(ティーチング)を自動化することで、複雑な工程の自動化をより簡単に行うことができる。基盤技術には独自のフィジカルAIとデジタルツイン技術を統合したオートメーションプラットフォーム「MujinOS」があり、多様な設備・システムの一元制御による現場全体の自動化を実現する。これにより、個別の自動化ではなく各機器同士が連携した全体最適化を叶え、現場とデジタルがリアルタイムに同期した「次世代デジタルツイン工場・倉庫」を実現し、大幅な生産性向上が可能となる。
代表取締役CEOは滝野一征氏。滝野氏は米国大学を卒業後、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ傘下で、優れた収益構造を持つ企業として知られているイスカル社に入社。生産方法を提案する技術営業として活躍し、多くの賞を受けるなど実績を残した。CTOのDiankov Rosen氏とともに2011年7月にMujinを設立。共同創業以降、産業用ロボットに知能を持たせることで様々な業務の自動化を目指す事業を推進し、技術主導型の開発体制とグローバル規模でのサービス展開を進めてきた。
世界の産業オートメーション市場規模は、FORTUNE BUSINESS INSITEによると2022年に2058億6000万米ドルと評価され、2029年までに3950億9000万米ドルに達すると予測されている。また、IMARC Groupは、日本のファクトリーオートメーションおよび産業用制御市場も高い成長率が見込まれており、2024年の151億米ドルから2033年には352億米ドル、年平均成長率9.8%で推移すると分析する。本市場拡大の主因には少子高齢化による労働力人口減少や人件費上昇を背景とした自動化投資の増加があるほか、AI・IoT・5Gなど先端技術を活用したデジタルトランスフォーメーションの推進傾向、自己最適化を志向する工場の設計や産業政策による後押しも成長を支えている。AI技術の進化と労働市場構造の変化が、国内産業オートメーションの新たな局面への移行を促しているとされる。
今回調達した資金は主に、MujinOSプロダクトのラインアップ拡充と製品主導型ビジネスへの移行、工場・倉庫全体のデジタルツイン化推進、欧米を中心としたグローバル展開の強化、技術開発チームの拡充に充てられる。同社はこれらの取り組みを通じて、誰もが高度な自動化とDX運用を実現できる“新たな自動化の世界標準”の確立を目指すとしている。




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