水中から「見えない世界」を可視化するスタートアップ5選

水中から「見えない世界」を可視化するスタートアップ5選

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インフラ点検から生態系モニタリングまで──データで水中を可視化する 

海洋や河川、港湾、ダムなどの水中空間は、社会インフラや環境、生態系と深く結びついている一方で、人が直接観測・作業することが難しい領域でもある。従来、水中の調査や点検は潜水士や大型船舶に依存してきたが、安全性やコスト、作業時間の制約といった課題を抱えてきた。

こうした課題を背景に、水中ドローンや自律型無人潜水機(AUV)、無人水中航走体(UUV)を活用し、水中環境を遠隔・無人で把握しようとする技術が注目されている。高性能センサーや音響技術、制御アルゴリズムと組み合わせることで、水中の構造物や地形、環境変化をデータとして取得・可視化する取り組みが進みつつある。

一方で、水中は電波が届きにくく、通信や位置推定、データ解析に特有の技術的難しさを抱える領域だ。機体開発だけでなく、センシング、解析、運用までを一体で設計する必要があり、参入障壁は決して低くない。そのため、国内ではこの分野に本格的に取り組むスタートアップはまだ限られているのが実情だ。

それでも近年、インフラ点検や環境モニタリング、重要設備の保全といった実務的なニーズを起点に、水中領域の可視化技術を社会実装しようとする動きが現れ始めている。水中で何が起きているのかを把握できないこと自体がリスクになりつつある中、少数ながらも技術と用途を結びつけるプレイヤーが登場している。

本記事では、水中という「見えない世界」を可視化しようとする国内のスタートアップや技術開発の取り組みに焦点を当てる。

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スタートアップ5選

株式会社FullDepth

企業HP:https://fulldepth.co.jp/

水産業や建設業向けに水中ドローンを開発・販売する企業。同社の水中ドローンは養殖場やダムの点検などに使われるという。 ドローンに搭載されたカメラの映像は、遠隔地でもネットを通じてリアルタイムで見ることができる。点検サービスでは、音響イメージング技術を用いることで、水濁環境下でも広範囲を効率よく、かつ高解像度で水中計測できる。音響撮影と水中ドローンの自己位置計測を組み合わせて海底の音響マップを生成し、衛星画像に重ねることで、海底構造物の調査などに活用できる。

2025年12月には、シリーズDラウンドにて三井住友海上キャピタル、あおぞら企業投資株、Beyond Next Ventures、DRONE FUNDをはじめとする計9社・個人投資家などを引受先とした、総額9.5億円の資金調達を実施した。

ヤンマーブルーテック株式会社

企業HP:https://www.yanmar.com/jp/about/company/ybt/

水中センシング・ロボティクス技術の開発および社会実装を行っている。海洋生態系の保全や海洋インフラ点検における人手不足問題など、海洋の持続可能性に関するさまざまな課題の解決に向けて、海中調査や船底洗浄作業で活用されるROV(遠隔操縦無人潜水艇)の実用化に取り組む研究などを行う。 同社は、農業機械・農業施設などの研究・開発・製造・販売などを行う「ヤンマーホールディングス株式会社」の子会社である。

ブルーインフラテクノロジーズ株式会社

企業HP:https://shibuyablend.com/blue_and_green

海と山の自然環境に関する事業を運営する、宮崎大学発ベンチャー企業。 同社は、海中に藻場再生装置を設置し、水中ドローンや環境DNAのモニタリングを行うことで魚が住みやすい環境を作る「リーフボール設置/モニタリング」事業や、学生などの若い人材を中心に、現地での漁場活性化や作業の人手不足を補う活動「海業執行人材派遣」事業などを運営する。 そのほか同社では、牡蠣養殖の副産物をバイオ燃料等に活用し循環型システムの構築などを行う「牡蠣の産業廃棄物循環最適化」や、宮崎大学で生産研究している大豆の豆乳と海でとれた天然にがりを組み合わせた豆腐「海で食べる豆腐」ブランドなどを運営する。

株式会社Prodrone

企業HP:https://www.prodrone.com/jp/

産業用ドローンの開発・製造を行う企業。 雨天飛行ができ、さらに着水して水中撮影ができるドローンや、自由に動く多関節アームを持つドローンを開発するなど高い技術力を持つ。ドローンの用途も、レーザー測量、警備、監視、広域探索、壁面および天井面への薬品塗布、漁場の管理、サンゴ礁のモニタリングなど多岐に渡る。着水・離陸可能な防水型ドローンは、機体の水中映像を伝送装置で手元のモニターへリアルタイム表示できる。四方向にフロートを装着しているため、ダム点検や海上運用でも水没しにくく、バランスを保ったまま水面に浮航可能だ。高い防水性により雨天飛行にも強く、365日の警備・監視用途にも適している。

2025年2月には、名古屋キャピタルパートナーズを引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施した。

株式会社アクアサウンド

企業HP:https://aqua-sound.com/

水中音響調査機器の設計・製造・販売などを行う企業。 同社は、海洋調査・研究で活用されるという水中音響調査機器の設計・製造・販売などを行う。目視調査が難しいという海洋哺乳類の存在や位置を、鳴音から求める受動的音響観測法に必要な自動水中音録音システム「AUSOMS(オーサムズ)」シリーズなどの製造・販売を行う。 そのほか同社では、水中騒音調査や海生生物の音響調査など、水中音響調査に関するコンサルティングや計測・解析、水中音響データの解析作業および解析ソフトウエアの制作などを行う。

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