九州大学の研究成果から生まれた注目スタートアップ5選

九州大学の研究成果から生まれた注目スタートアップ5選

xfacebooklinkedInnoteline

研究室から世界市場へ広がる技術

大学発スタートアップへの注目が高まる中で、九州大学は国内有数の研究大学として、研究成果の社会実装を後押しする動きも具体化している。大学発スタートアップの創出・育成を目的とした「スタートアップ共創基金」を設け、ギャップファンド等の支援制度を拡張するほか、事業化検証資金の提供やプレCXO人材とのマッチングを進めている。また、2024年には産学官連携機能を担うOIPを子会社化し、九大OIP株式会社を設立。さらに、九州大学と九州工業大学が主幹機関を務めるPARKSがJST(国立研究開発法人 科学技術振興機構)のスタートアップ・エコシステム共創プログラムに採択されるなど、エネルギー、半導体、バイオ、医療など幅広い分野で大学発スタートアップを継続的に生み出すための基盤整備が進んでいる。

背景には、大学による産学連携や起業支援体制の強化に加え、国によるディープテック支援の拡大、地域発スタートアップへの期待の高まりがある。九州地域では、半導体産業の集積やGX(グリーントランスフォーメーション)関連投資の進展などを背景に、研究開発型企業を取り巻く環境も変化しつつある。

一方で、大学発スタートアップは、研究成果を実験室から社会実装へ移行する過程で、多額の研究開発費や量産化、事業化人材の確保など、さまざまな課題にも直面する。特にディープテック領域では、技術優位性だけでなく、産業構造や市場ニーズを踏まえた事業構築が求められる。

こうした中で、九州大学発のスタートアップは、独自技術を軸にしながら、国内外の企業や研究機関と連携し、社会課題の解決や新産業創出に取り組んでいる。大学で培われた研究成果を起点に、グローバル市場を見据えた挑戦も広がりつつある。

本記事では、九州大学の研究成果や技術シーズをもとに事業化を進めるスタートアップに焦点を当てる。

オープンイノベーションバナー

スタートアップ5選

株式会社JCCL

企業HP:https://jccl.jp/

CO2の回収・再資源化技術を通じて排出量削減を支援する。NEDO、JST、JAXAの支援のもと九州大学で開発されたCO2回収技術を基盤に事業化を進めてきた。相対湿度が高い環境でも性能が安定するアミン含有ゲルのCO₂吸収剤により、排ガスや空気を事前乾燥せずに直接回収できる点を特徴とする。さらに、ゲル粒子の粒径制御で欠陥のない膜を形成し、CO2のみを高速透過させるアミン含有ゲルCO2分離膜塗工液も展開。排出源のガス特性に応じた回収モジュール・装置の最適設計や、固体吸収・膜分離プロセスのシミュレーションによる運用最適化まで提供している。

2026年3月には、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が主催する「第11回JEITAベンチャー賞」を受賞した。

株式会社ガイアバイオメディシン

企業HP:https://gaia-biomed.com/index.html

固形がんを標的とするNK様細胞技術を開発する。同社のNK様細胞は、遺伝子改変を行わずに作製でき、がん組織への集積・滞留性と迅速な細胞傷害活性を備える。また、即時使用可能な同種細胞製剤として提供できる点も特徴だ。さらに、抗体をNK様細胞に結びつける独自ペプチド技術「GAAAP」により、多様ながん標的への応用を可能にする。これにより、固形がんに対する新たな細胞医療の実用化を目指している。

2025年7月には、UntroD Capital Japanなどによる出資を受け資金調達を実施した。

株式会社フェリクス

企業HP:https://www.feliqs.com/

同社は、トランスレーショナルサイエンスを基盤に、日本と米国の研究・臨床開発・薬事の知見を組み合わせ、眼科領域の新規治療薬の実用化を目指す眼科創薬企業。「Every Life Deserves to See」をミッションに掲げ、米国法人FELIQS Inc.とともに、未熟児網膜症の予防薬候補「FLQ-101」の第1b相臨床試験を米国で実施している。

2025年7月には、米製薬企業、Beyond Next Ventures、慶應イノベーション・イニシアティブ、三菱 UFJ キャピタル、FFGベンチャービジネスパートナーズ、国立研究開発法人科学技術振興機構を引受先とした第三者割当増資による。12.5億円の資金調達を実施した。

KAICO株式会社

企業HP:http://www.kaicoltd.jp/

九州大学オリジナルのバキュロウイルスゲノムやカイコを利用した「カイコ-バキュロウイルス発現法」をコア技術に、カイコの体内で目的タンパク質を発現させ、研究用試薬、診断薬、ワクチンの開発を進めている。カイコ-バキュロウイルス系は、昆虫であるカイコの生体をバイオリアクターとして活用する発現系だ。従来の微生物細胞や培養細胞を用いた発現系に比べ、組換えタンパク質の発現成功率が高いとされる。そのため、他の発現系では生産が難しいタンパク質でも、生産できる可能性があるとされる。

2026年3月には、タイ・バンコクの主要畜産企業であるAMCOVETの農場において野外実証試験を開始したほか、台湾・台北の家畜動物用医薬品メーカー Reber Geneticsと台湾での製品の流通販売に向けた提携を締結した。

株式会社KOALA Tech

企業HP:https://www.koalatech.co.jp/

九州大学 最先端有機光エレクトロニクス研究センターで世界に先駆けて実現された、有機半導体レーザーダイオード(OSLD)の実用化を目指す。高精細・フレキシブルディスプレイとして注目される有機EL素子(OLED)をはじめ、有機電子デバイスプラットフォームと高い互換性をもつレーザー光源の開発を進める。「有機 × レーザー」のハイブリッド技術により、有機半導体デバイス分野に新たなソリューションを提供する。

新着記事

STARTUP NEWSLETTER

スタートアップの資金調達情報を漏れなくキャッチアップしたい方へ1週間分の資金調達情報を毎週お届けします

※登録することでプライバシーポリシーに同意したものとします

※配信はいつでも停止できます

ケップルグループの事業