海洋産業の高度化に挑むスタートアップ5選

海洋産業の高度化に挑むスタートアップ5選

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データと技術で進む海洋産業の再設計

海洋は、資源、エネルギー、食料、物流など多様な産業を支える基盤でありながら、これまで十分に可視化・活用されてこなかった領域でもある。近年では、脱炭素やエネルギー安全保障、食料供給の安定化といった社会課題を背景に、海洋の持つ価値が改めて見直されつつある。

こうした動きの中で、洋上風力発電や海底資源、水産業、海上輸送など、従来は個別に発展してきた分野を横断しながら、海洋産業全体の高度化が進み始めている。インフラとしての海の重要性が高まる一方で、現場では人手不足や老朽化、環境負荷への対応といった構造的な課題も顕在化している。

近年は、センシング、データ解析、ロボティクス、AIといった技術の進展により、海上・海中の状況をデータとして捉え、運用や意思決定に活用する取り組みが広がっている。とりわけ、これまで把握が難しかった海の状態を可視化し、データとして蓄積・活用する基盤の整備が進みつつある。

こうした変化の中で、特定の用途や技術に特化しながらも、海洋産業全体の課題解決に貢献するスタートアップの存在感が高まりつつある。観測・可視化からエネルギー活用、資源循環に至るまで、個別領域での技術革新が連なり、海洋産業全体の構造変化を支える動きが生まれている。

本記事では、海洋産業を横断しつつ、とりわけ「可視化」と「データ活用」を起点に新たな価値創出に取り組むスタートアップに焦点を当てる。

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スタートアップ5選

株式会社UMIAILE

企業HP:https://umiaile.com/

自律航行する小型無人ボート「UMIAILE ASV」を用いて、海洋データの観測・分析を行う企業。 同社は、同社開発の船体姿勢制御技術を活用し、小型ながら高速で水上航行可能だというUMIAILE ASVを開発。目的に応じた観測機器を搭載することで、海象情報や海洋生態系、海底地殻変動、ブルーカーボン量などの海洋データを観測・分析するという。地殻変動観測、環境アセスメント、安全保障分野への活用に加え、洋上風力発電の事前調査や漁業支援など民間分野での活用なども可能だという。

2025年10月には、インキュベイトファンド、UntroD Capital Japan、本田技研工業を含む3社を引受先としたエクイティファイナンスと、みずほ銀行からの融資により、総額15.75億円の資金調達を実施した。

株式会社アルバトロス・テクノロジー

企業HP:https://www.albatross-technology.com/

海洋再生可能エネルギーにより発電するさまざまな装置を開発する企業。 同社は、複数の企業や大学と連携し、洋上風力や潮流・海流、波といった海洋再生可能エネルギーを活用して発電する装置の開発に取り組む。台風などで横倒しになっても直立に戻る浮体式洋上風車をはじめ、潮流・海流エネルギーを活用する潮流・海流タービンや、波の中の流体粒子の運動を活用する波力タービンを開発する。

2024年9月には、NEDOによる「浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発」の実施者公募において「大型浮体式垂直軸型風車の実現性検証」を共同提案し、実施予定先として採択された。

株式会社AquaFusion

企業HP:https://aquafusion.jp/

従来の魚群探知機より高い分解能を特徴とする水中可視化装置「AquaMagic」シリーズを中心に、超音波技術をIoT/AIと組み合わせて水中の状況把握を高度化するサービス・プロダクト群を提供する。漁船向けには魚のサイズや魚群密度を把握できる「AquaMagic」、養殖向けには生簀間の魚の移動尾数を自動カウントする「MagicCounter」や成長を遠隔モニタリングするシステム、定点観測向けには最大約1カ月計測できる計量魚群探知機搭載ブイ「MagicBuoy」を展開。加えて、AUV(自律型無人潜水機)・UUV(無人潜水艇)向けの障害物検知(DolphinScan® Vehicle)や解析ソフト「MagicView」も提供し、漁業・養殖から調査研究、海洋開発までの計測・可視化を支援する。

amu株式会社

企業HP:https://www.amu.co.jp/

廃漁具を回収して再資源化し、再生素材「amuca®」として流通させるとともに、その素材を使った商品づくりまで支援している。全国の漁港で廃漁具を買い取り・回収し、分別・加工してナイロン6などの再生素材として販売。さらに、amuca®を活用した商品企画・開発からブランディング、プロモーションまで伴走し、素材の透明性を伝える「amuca®タグ」の提供や回収地域の見える化にも対応する。

2025年8月には、シードラウンドでAgVenture Lab、TeamMake Capital、フィッシャーマンジャパン・ブルーファンドなどを引受先とした、累計約1.32億円の資金調達を実施した。

株式会社ブルーオーシャン研究所

企業HP:https://boi.co.jp/

準天頂衛星「みちびき」の高精度測位を活用した小型IoT観測端末「みちびき海象ブイ」を中核に、海・湖沼・河川の環境変動をリアルタイムに可視化するサービスを提供する。太陽光発電と通信機能により通年稼働し、センサーやケーブルに依存せず、水面変動から波高・流れ・風などの海象データを推定して配信する。複数ブイを連携させることで、高潮・異常潮位・急潮などの監視にも展開可能で、水温やCTD、多項目水質など外部センサーとの連携(海中・海底計測)にも対応する。

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