ドローンで社会変革を目指すスタートアップ10選【2025年5更新】

ドローンで社会変革を目指すスタートアップ10選【2025年5更新】

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ドローンはどこまで進化するか?空と水上に広がる次世代テクノロジー

ドローンなどの無人航空機には飛行レベルが定められている。レベル1では目視できる範囲での手動操作が許され、レベルが上がるにつれて、目視内での操縦無しの飛行、無人地帯での目視外飛行と自由度が上がる。

2022年12月より、有人地帯での目視外飛行が可能となるレベル4が解禁された。これにより、市街地や住宅街などの上空においてドローン走行が可能となり、利活用が拡大する。たとえば、スポーツスタジアムでの上空撮影、市街地上空での物資の配達などが可能となる。その他、上空からの建造物の測量、高層ビルや高速道路といったインフラ点検、警備といったさまざまな活用が想定されている。

加えて近年では、水上を移動・観測する「水上ドローン」の存在感も高まっている。洋上でのインフラ点検や水質調査、災害時の状況確認、漁業支援など、その活用範囲は空中ドローンとはまた異なる文脈で広がっている。飛行レベルの制度対象外ではあるが、同様に無人機として運用され、注目を集める分野の一つとなっている。

ドローン業界の技術進歩も目覚ましい。ボディの防水対応や軽量化や燃料電池の活用といったバッテリーの進歩、AIを搭載して自律飛行や画像認識・解析機能が装備されたドローンの登場が見られる。

これらの制度・技術面の後押しもあり、ドローン業界の市場規模は年々増加している。2024年の産業用ドローン世界市場(メーカー販売金額ベース)は3186億9400万円と予測され、2030年には1兆4124億円に成長すると見込まれている。

しかし、ドローンを活用したサービスを展開する上では未だに課題が存在する。飛行中のドローンの破損・墜落のリスク、より精密なGPS情報の必要性、複数のドローンの飛行状況や現在地の気象情報などの共有をリアルタイムで行える運用管理システムの開発などが挙げられる。水上ドローンについても、波や風の影響、通信環境の制限など独自の課題がある。

今回は、こうした変わりゆくドローン業界を牽引するスタートアップ10社を紹介する。

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ローカスブルー株式会社

企業HP:https://locusblue.com/

3D点群データをオンラインで解析ができるプラットフォーム「ScanX」を提供する企業。ScanXは、インターネット、ブラウザ、汎用PCのみで利用でき、「iPhone」、レーザースキャナーやドローンなど各種機器で取得したデータの管理・解析ができる。これまで人手をかけていた分類や計測などのタスクを自動化し、時間を節約、誰でも均一な結果を生み出すことが可能となる。たとえば、ドローンによる森林の空撮データをScanXにアップロードすると、樹木1本ずつ抽出したデータを自動出力できるようになる。同サービスは、国土交通省新技術「NETIS」に登録されており、公共工事で使用すると入札時の加点対象となる。2021年度には「i-Construction大賞」国土交通大臣を受賞。

2024年4月1日付で、株式会社ゼンリンによる同社の株式の取得が完了し、ゼンリンの連結子会社となった。

株式会社Oceanic Constellations

企業HP:https://www.oceanic-constellations.com/

2023年11月に鎌倉市で設立された海洋スタートアップ。水上ドローン船ネットワーク「海の衛星群™」の構築を目指し、海洋インフラの可視化と監視体制の強化に取り組んでいる。このネットワークは、自律航行可能な小型無人水上艇(USV)と制御ソフトウェアで構成され、海上における広範なデータ収集とリアルタイム監視を可能にする。これにより、防災(津波監視)、密漁防止、海洋資源管理など、さまざまな分野での活用が期待されている。国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)や東京海洋大学との共同研究も進めている。

2024年12月にシリーズA1ラウンドで、第三者割当増資による総額5億円の資金調達を実施し、グロービス・キャピタル・パートナーズやCoral Capitalなどから出資を受けた。

株式会社UMIAILE

企業HP:https://umiaile.com/

Hondaの新事業創出プログラム「IGNITION」から生まれたスタートアップで、海洋の「見える化」を目指している。同社は、小型無人ボート「UMIAILE ASV」を開発し、海象情報や海洋生態系、海底地殻変動などのデータを収集・提供する。UMIAILE ASVは、水中翼を用いた独自の姿勢制御技術により、潮流の速い海域でも安定した自律航行が可能で、ソーラーパネルによる発電で長時間の観測を実現している。また、GNSSを活用して正確な位置測位を行い、複数のASVを連携させることで、高頻度・高密度の海洋観測が可能となる。

2025年4月から国内の大学や研究機関向けにデータ提供を開始し、2030年以降は海外展開を視野に入れている。

VFR株式会社

企業HP:https://vfr.co.jp/

産業用ドローンおよび付随するソフトウェアの企画・製造・開発を行う企業。同社のドローンは、画像処理技術を使用した自己位置推定技術により、非GPS環境下での自律飛行が可能なほか、建物・インフラ点検や計量・測量、物流・宅配などに利用することができる。また、業務組込み型ドローンシステムの提供も行う。さらに、ドローンのレンタル事業やVR空間での操縦訓練事業なども展開している。

2024年6月には、東海東京インベストメントを引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施した。

株式会社ドローンショー・ジャパン

企業HP:https://droneshow.co.jp/

ドローンを活用した、パフォーマンス、空撮、教育を行う企業。LEDを搭載したドローン群を夜空に飛ばし、予めプログラミングした軌道によって光のショーを演出する。屋外だけでなく屋内でのショーも行っている。空撮では、ヒアリングを基に20万円からドローン空撮を行う。教育では、初等教育のプログラミング教育に対応したプログラミングドローン体験などができる。

2024年9月には、シリーズAラウンドで三井住友海上キャピタル、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタルその他金融機関からの第三者割当増資及びシンジケートローンにより、総額約5億円の資金調達を実施した。

株式会社レッドクリフ

企業HP:https://redcliff-inc.co.jp/

ドローンを活用したショーイベントを実施する企業。企業や団体のニーズに合わせて、LEDを搭載したドローンを用いてショーイベントを実施する。音楽フェスや年越しカウントダウンイベント、オープニングイベント、新商品プロモーションなどさまざまなシーンに対応する。ショーイベントでは、「スタンダードプラン」と「プレミアムプラン」があり、最大で1000機のドローンを用いたショーを開催可能。また同社は、プロモーション撮影やテレビ素材撮影など、ドローンによる撮影サービスを運営する。

2025年4月には、シリーズBラウンドにて、さらなる事業拡大を目的とし資金調達を実施した。

エアロディベロップジャパン株式会社

企業HP:https://aerodevelop.jp/

大型ドローン向けのエンジンを開発する企業。同社はハルバッハ配列モーター/発電機システムを採用したハイブリッドエンジンを開発し、重量・長距離ドローン向けの動力源として提供することを目指している。従来のモーターよりも軽くて強いだけでなく、小型化できることが特徴で、より重い荷物をより遠くまで運ぶことができる。農林水産業、物流業、建設業などさまざまな業界の課題解決に貢献することを目指す。

2023年2月には、シリーズA+ラウンドにおいて、クラッチメーカーであるエフ・シー・シーより資⾦調達を実施したことを発表した。Drone as a Service(DaaS)事業開発の協業を行いつつ、40kWハイブリッド動力システムの早期製品化を目指す。

株式会社エアーズ

企業HP:https://airds.co.jp/

ドローンスクール「JUAVACドローン エキスパートアカデミー」を運営する企業。同社は、橋梁の定期点検などのインフラ整備に必要な操縦技術や専門知識を学ぶことができる。また、ドローンを活用した測量・点検・防犯・防災・鳥獣対策の事業も展開する。さらに、国産のACSL社製産業用ドローンを主力としたドローンのレンタル・販売や導入支援を行う。

2022年12月には、乗換案内や鉄道経路検索ソフトを開発・提供するジョルダンが、エアーズの株式を取得し、子会社化した。

SORA Technology株式会社

企業HP:https://sora-technology.com/

「世界中の誰もが必要な場所・ものにアクセスできる未来を創る」ことを目指す、ドローンによる医薬品の配送サービスを開発する企業。日本およびアジア・アフリカ地域を対象に、固定翼ドローンを使った医薬品の配送サービスの開発に取り組む。加えて、ドローンとその運航管理システムを活用した保健医療・公衆衛生のインフラ構築・運用を目指す。たとえば、新興国におけるマラリア対策として、空撮データとAIを活用して、屋外のマラリア媒介蚊のボウフラが発生しやすい水たまりの発見・管理を行っている。

2025年4月には、プレシリーズAラウンドのファーストクローズとして、ニッセイ・キャピタル、SMBCベンチャーキャピタルなどを引受先とした資金調達を実施した。累計資金調達額はデットファイナンス(融資等)を含めて約6.7億円となった。

SKYSCAPE株式会社

企業HP:https://skyscape.site/

Advanced Air Mobility産業を中心に、空飛ぶクルマやドローンのインフラ開発などを行う企業。ドローンや空飛ぶクルマなどの離発着場であるバーティポート(垂直離着陸用飛行場)を設計・開発・運用する。バーティポートはアルミニウム製のブロックで構成されており、顧客のニーズに合わせて多様な設計デザインに対応することが可能だ。同社はそのほか、ドローンによる空撮・測量などのオペレーションサービスや、ドローンビジネスに関するコンサルティングなどを手掛ける。

2023年3月には、韓国でハイブリッドeVTOLの機体製造を行うPLANA株式会社とMOU(Memorandum of Understanding:了解覚書)を締結したと発表した。

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※矢野経済研究所「産業用ドローン世界市場に関する調査を実施(2024年)

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