ドローンで社会変革を目指すスタートアップ10選

ドローンで社会変革を目指すスタートアップ10選

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KEPPLE編集部


Index

  • はじめに
  • スタートアップ10選
  • おわりに

はじめに

ドローンなどの無人航空機には飛行レベルが定められている。レベル1では目視できる範囲での手動操作が許され、レベルが上がるにつれて、目視内での操縦無しの飛行、無人地帯での目視外飛行と自由度が上がる。

2022年12月より、友人地帯での目視外飛行が可能となるレベル4が解禁された。これにより、市街地や住宅街などの上空においてドローン走行が可能となり、利活用が拡大する。たとえば、スポーツスタジアムでの上空撮影、市街地上空での物資の配達などが可能となる。その他、上空からの建造物の測量、高層ビルや高速道路といったインフラ点検、警備といったさまざまな活用が想定されている。

ドローン業界の技術進歩も目覚ましい。ボディの防水対応や軽量化や燃料電池の活用といったバッテリーの進歩、AIを搭載して自律飛行や画像認識・解析機能が装備されたドローンの登場が見られる。

これらの制度・技術面の後押しもあり、ドローン業界の市場規模は年々増加している。矢野経済研究所によると、2021年のドローン世界市場規模は前年比の約109%となる1兆8687億6500万円(1USドル=107円換算)であったと算出されている。また、2022年から2027年にかけて年平均成長率は7.7%で伸びると推測しており、2027年には約3兆円規模に達すると予想されている。

しかし、ドローンを活用したサービスを展開する上では未だに課題が存在する。飛行中のドローンの破損・墜落のリスク、より精密なGPS情報の必要性、複数のドローンの飛行状況や現在地の気象情報などの共有をリアルタイムで行える運用管理システムの開発などが挙げられる。

今回は、こうした変わりゆくドローン業界を牽引するスタートアップ10社を紹介する。

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スタートアップ10選

Terra Drone株式会社

建設業者などに向けて、測・点検・運航管理を事業領域として、産業用ドローンのソフト・ハードウェアを提供する企業。ドローンによる測量支援や自社製のドローンレーザー測量機器「Terra Lidar」シリーズ、計測データ解析サービス「Terra Lidar Cloud」などを展開している。また、ドローンの飛行経路などを管理するサービス「Terra UTM」を開発し、ドローンの飛行計画の管理や飛行エリアの管理、他のドローンとの衝突を検知する機能を備えて、安心・安全なドローン運行を支援する。測量・点検サービスの実績としては、2023年2月までで約10か国で3000件以上に採用されている。

2023年1月には、サウジアラビアの国有石油会社であるアラムコが100%出資するベンチャーキャピタル「Wa‘ed」を引受先として、18.5億円の資金調達を実施したことを明らかにした。今回で累計の調達額は126.6億円を達成した。今回の資金を活用して、中東でのドローン事業展開を目指す。

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企業HP:https://www.terra-drone.net/

株式会社Liberaware

屋内で設備点検などに活用する小型ドローン開発を手掛ける。開発するドローン「IBIS」は、縦が約19センチメートル、横が約18センチ、高さが約5センチで手のひらにのる小さな機体が特徴で、精密な操縦が可能。そのため、ボイラーや天井裏、配管、煙突といった人が侵入できない場所での点検作業ができる。撮影した画像を自動で読み取り、ひび割れなどの異常を検知する人工知能(AI)も開発する。また、人に代替した自動巡回ドローンも提供している。

2023年8月時点では、第三者割当増資により、総額11.5億円の資金調達を実施したことを発表した。2023年6月5日の資金調達と合わせて累計調達額は25.1億円となる。

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VFR株式会社

2020年3月にPCなど電子機器を製造・販売するVAIOの子会社として設立された、産業用ドローンおよび付随するソフトウェアの企画・製造・開発を行う企業。同社のドローンは、画像処理技術を使用した自己位置推定技術により、非GPS環境下での自律飛行が可能なほか、建物・インフラ点検や計量・測量、物流・宅配などに利用することができる。また、業務組込み型ドローンシステムの提供も行う。さらに、ドローンのレンタル事業やVR空間での操縦訓練事業なども展開している。

2021年10月までに、DRONE FUND 3 号投資事業有限責任組合、ACSL1号有限責任事業組合、加賀電子株式会社、KDDI Open Innovation Fund 3号、株式会社理経の5社を引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施したことを発表した。

2023年5月には、愛知県とプロドローンによって設立された、革新的な官民連携プロジェクトの第1号「あいちモビリティイノベーションプロジェクト 空と道がつながる愛知モデル2030」における連携協定を締結した。これにより、2030年までにドローンなどの自動運転車両が安全に制御され、災害でも活用できるモビリティ環境の実現を目指す。

企業HP:https://vfr.co.jp/

ローカスブルー株式会社

3D点群データをオンラインで解析ができるプラットフォーム「ScanX」を提供する企業。ScanXは、インターネット、ブラウザ、汎用PCのみで利用でき、「iPhone」、レーザースキャナーやドローンなど各種機器で取得したデータの管理・解析ができる。これまで人手をかけていた分類や計測などのタスクを自動化し、時間を節約、誰でも均一な結果を生み出すことが可能となる。たとえば、ドローンによる森林の空撮データをScanXにアップロードすると、樹木1本ずつ抽出したデータを自動出力できるようになる。同サービスは、国土交通省新技術「NETIS」に登録されており、公共工事で使用すると入札時の加点対象となる。2021年度には「i-Construction大賞」国土交通大臣を受賞。

2022年12月には、プレシリーズAラウンドにおいて、ジャフコ グループ、DNX Ventures、Angel Bridge、エンジェル投資家の有安伸宏、tb innovations、SBIインベストメント、宮銀ベンチャーキャピタルの各社が運営もしくは関与するファンドを引受先とした第三者割当増資ならびに、日本政策金融公庫からの融資により総額約4億円の資金調達を実施したことを発表した。

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株式会社ドローンショー・ジャパン

ドローンを活用した、パフォーマンス、空撮、教育を行う企業。LEDを搭載したドローン群を夜空に飛ばし、予めプログラミングした軌道によって光のショーを演出する。屋外だけでなく屋内でのショーも行っている。空撮では、ヒアリングを基に20万円からドローン空撮を行う。教育では、初等教育のプログラミング教育に対応したプログラミングドローン体験などができる。

2023年10月には、EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ジャパンが開催する「EOY 2023 東海・北陸大会アワードセレモニー」における東海・北陸地区チャレンジング・スピリット部門を受賞した。

株式会社レッドクリフ

ドローンを活用したショーイベントを実施する企業。企業や団体のニーズに合わせて、LEDを搭載したドローンを用いてショーイベントを実施する。音楽フェスや年越しカウントダウンイベント、オープニングイベント、新商品プロモーションなどさまざまなシーンに対応する。ショーイベントでは、「スタンダードプラン」と「プレミアムプラン」があり、最大で1000機のドローンを用いたショーを開催可能。また同社は、プロモーション撮影やテレビ素材撮影など、ドローンによる撮影サービスを運営する。

2023年3月には、DRONE FUNDとDGインキュベーションが運営するEarthshotファンド、他一社から第三者割当増資による資金調達を実施したことを明らかにした。海外展開に伴うグローバル人材の採用や1000機よりも多い機体数でのドローンショーの実現を目指す。

エアロディベロップジャパン株式会社

大型ドローン向けのエンジンを開発する企業。同社はハルバッハ配列モータ/発電機システムを採用したハイブリッドエンジンを開発し、重量・長距離ドローン向けの動力源として提供することを目指している。従来のモータよりも軽くて強いだけでなく、小型化できることが特徴で、より重い荷物をより遠くまで運ぶことができる。農林水産業、物流業、建設業などさまざまな業界の課題解決に貢献することを目指す。

2023年2月には、シリーズA+ラウンドにおいて、クラッチメーカーであるエフ・シー・シーより資⾦調達を実施したことを発表した。Drone as a Service(DaaS)事業開発の協業を行いつつ、40kWハイブリッド動力システムの早期製品化を目指す。

株式会社エアーズ

ドローンスクール「JUAVACドローン エキスパートアカデミー」を運営する企業。同社は、橋梁の定期点検などのインフラ整備に必要な操縦技術や専門知識を学ぶことができる。また、ドローンを活用した測量・点検・防犯・防災・鳥獣対策の事業も展開する。さらに、国産のACSL社製産業用ドローンを主力としたドローンのレンタル・販売や導入支援を行う。

2022年12月には、乗換案内や鉄道経路検索ソフトを開発・提供するジョルダンが、エアーズの株式を取得し、子会社化した。

SORA Technology株式会社

「世界中の誰もが必要な場所・ものにアクセスできる未来を創る」ことを目指す、ドローンによる医薬品の配送サービスを開発する企業。日本およびアジア・アフリカ地域を対象に、固定翼ドローンを使った医薬品の配送サービスの開発に取り組む。加えて、ドローンとその運航管理システムを活用した保健医療・公衆衛生のインフラ構築・運用を目指す。たとえば、新興国におけるマラリア対策として、空撮データとAIを活用して、屋外のマラリア媒介蚊のボウフラが発生しやすい水たまりの発見・管理を行っている。

2022年9月には、ブータンの国営商業投資会社Druk Holding & Investments・イノベーション・テクノロジー部局と共同で、国土の大部分が急峻な山岳地帯であるブータンにおけるドローン物流の実現可能性を検証する飛行実験を実施した。

SKYSCAPE株式会社

Advanced Air Mobility産業を中心に、空飛ぶクルマやドローンのインフラ開発などを行う企業。ドローンや空飛ぶクルマなどの離発着場であるバーティポート(垂直離着陸用飛行場)を設計・開発・運用する。バーティポートはアルミニウム製のブロックで構成されており、顧客のニーズに合わせて多様な設計デザインに対応することが可能だ。同社はそのほか、ドローンによる空撮・測量などのオペレーションサービスや、ドローンビジネスに関するコンサルティングなどを手掛ける。

2022年9月では、DRONE FUNDから資金調達を実施し、社名をドローネクスト株式会社から現在のものへと変更した。2023年3月には、韓国でハイブリットeVTOLの機体製造を行うPLANAとMOUを締結し、アジア太平洋地域での次世代エアモビリティ産業の発展に向けて、協業することを目指す。

おわりに

今回紹介した企業は、ドローン業界を加速させている。今後も、ドローン関連のスタートアップの動向にはさらに注目が集まりそうだ。

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※ 矢野経済研究所「ドローン(UAV/UAS)の世界市場に関する調査を実施(2021年)


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