AIが最適化するBtoCマーケティングの新境地、目指すは究極のマーケティングオートメーション
BtoC企業向けのマーケティング支援ツール「aimstar」を運営するスプリームシステム株式会社がシリーズAラウンドにて、第三者割当増資による5.1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。
今回のラウンドでの引受先は、SBIインベストメント、TNBI、マリングロース、フォルトナベンチャーズ、及び役職員。
今回の資金調達によりAIを活用した機能強化を進め、将来的なIPOを目指す。
顧客のLTV最大化を支援
aimstarは、BtoC企業における顧客のLTV最大化を実現する、マーケティング支援ツールだ。ECや通販など、大規模な会員データを保有する多くのBtoC事業者が利用する。ツールに合わせたデータの加工も不要で、現在の業務をなるべく変えずに導入することが可能だ。
同社は2000年の設立以来、aimstarを提供している。2021年にはミダスキャピタルからの出資を受け経営体制を変更し、2022年にaimstarのSaaS版をリリース。これ以降を第2創業期と位置づけ、プロダクト開発への投資を強化している。
今回の資金調達に際して、代表取締役社長兼CEO 渡部 知博氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。
既存顧客のエンゲージメント向上が必要
―― これまで、BtoC企業のマーケティング分析にはどのような課題がありましたか?
渡部氏:通常企業が顧客データをマーケティングに利用する際には、基幹システムやECサイト、POSシステムなどのデータを用います。本来はこれらのデータを基に詳細な分析をし、施策を実行していくべきですが、データ量が膨大で複雑なため、分析以前のデータの統合ができずに分析に至らないケースが多いです。
加えて、BtoCビジネスでは顧客との接点も多様化しており、今後もさらに多様化は加速していくため、常に顧客とのエンゲージメントのアップデートをしていく必要があります。
また、マーケティング担当者のリテラシーやリソースの不足、その他の社内事情によりツールの活用が進まないことも多いです。違う観点では、経営者がデータを活用したマーケティング施策そのものに価値を見出していないこともあります。
aimstarの設定画面
近年では、3rd Party Cookie利用制限や各法規制に伴い、新規顧客の獲得が困難で、顧客獲得コスト自体そのものが高騰しています。こうした背景から、すでに保有する既存顧客に関するデータを活用し、リピート顧客を獲得することによるなどLTV向上や、その実現に向けて顧客とのエンゲージメントを高める重要性が高まっています。
―― aimstarの特徴について教えてください
複雑かつ大容量のデータを扱える点や、CDP※1とMA※2の両方の機能を兼ね備えていること、そして高い費用対効果を創出するAIを搭載している点が大きな特徴です。
※1 Customer Data Platform。顧客一人ひとりの属性データや行動データを収集・統合・分析するデータプラットフォーム。
※2 Marketing Automation。マーケティング施策に関する業務を自動化・効率化するための仕組みやツール。
当社はaimstarをエンゲージメントデータプラットフォーム(EDP)と呼んでいます。我々が実現したいのは、クライアント企業とその顧客のエンゲージメントを高めることによる、LTVの最大化です。
CDPは顧客情報の管理に特化していますが、例えば気象情報など、顧客と直接関連しない情報も活用した施策の実行や改善を、プラットフォーム上で実現し、そのバリエーションは今後さらに追加を予定しています。
また、AIを活用した機能を以前から提供しており、独自のAIモデル作成から、施策実行結果を得て自動で最適化され続けていく機能までをaimstar単独で実現できます。aimstarを導入いただいた企業からは、特に高い費用対効果の観点でご好評いただいています。
人に依存しないマーケティング施策実行を実現
―― 資金調達の背景や使途について教えてください。
aimstarの導入は今後もさらに伸びていく見通しです。新しいテクノロジーをaimstarに次々に導入し、継続的な改善を行うための成長投資として、資金調達を行いました。
具体的にはAIを活用した機能開発をさらに進めます。また、セールスやマーケティングを中心に幅広い部門の採用を強化し、将来的にIPOを目指しています。IPOを達成する頃には、現在60名強の組織を100名超にまで拡大させていく予定です。
―― 今後の長期的な展望を教えてください。
既に提供している機能の精度向上を含め、機能拡張を進めていきます。最適なターゲットセグメントの生成や広告の自動レコメンド、施策のタイミングやチャネルの自動制御を可能にします。最終的には、顧客のニーズに合わせて自動的に最適なバナーやメール文章を生成し、レコメンド情報やタイミングを組み合わせて最適な情報を提供する生成AIを活用した機能開発を進めたいと考えています。
AIを活用した機能を拡張していくことで、各企業が望む顧客とのエンゲージメントを自動で生成するよう取り組みます。必要なデータのインプットのみで施策を自動化することで、企業の成長に本来必要な施策の実行や改善をツールが担い、マーケティング担当者のリテラシー不足の問題も解消するような、究極のマーケティングオートメーションを目指しています。BtoC業者の成長を促進するために、AIを駆使して革新的なプロダクトの開発を推進していきます。