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温泉に生息する微細藻類が地球環境を改善、ガルデリアが目指す循環経済の実現

微細藻類は、光合成を行う単細胞の生物であり、近年その活用に注目が集まっている。CO2を吸収する能力が高く、バイオ燃料や食品、化粧品、医薬品など幅広い分野での応用が期待されている。
市場規模は拡大を続けており、2023年に107億5000万米ドルと評価され、2030年には192億1000万米ドルになると予測されている。※ 特に、気候変動や資源枯渇といった地球規模の課題を背景に、微細藻類が持つ可能性は多方面での解決策として評価されている。
こうした状況の中、微細藻類を基盤とする技術開発を進めるスタートアップが増加しており、それぞれが独自のアプローチで市場の課題に取り組んでいる。本記事では、微細藻類の可能性と、それを活用する企業を紹介する。
微細藻類「Galdieria」(以下、ガルディエリア)の研究開発に取り組む。ガルディエリアは温泉に生息し、培養効率が高い硫酸性温泉紅藻だ。高温、高酸性、高CO2など過酷な環境下でも生育可能で、生物汚染に強く、高いバイオマス量を実現する。溶液中の微量な貴金属の吸着・回収が可能。ガルディエリアの特性を活かし、高感度で環境負荷の低い貴金属吸着剤を開発。
2025年2月には、荒川化学工業、新日本電工から、J-KISS(新株予約権型投資契約)を活用して総額4億円の資金調達を完了し、業務提携を締結を行った。
企業HP:http://sopros.co.jp/
非光合成型微細藻類「オーランチオキトリウム」を活用した製品を展開する。独自の培養技術を基盤に、不飽和脂肪酸ω-6DPAを含む藻類の健康効果に着目した製品を開発。微細藻を配合したサプリメント「aokumachan」や国内初の微細藻入り味噌汁「藻おみそ汁」、多用途に利用可能な微細藻パウダーなどを提供する。食品、サプリメント、化粧品、ペットフード分野で幅広い用途に対応する開発を進めている。
2023年4月には、ユーグレナが開発する「サステナブルラーメン」の原料の一つとして、同社の微細藻類オーランチオキトリウム(乾燥)を提供(製造販売)した。2024年5月には、荒川化学工業が資本参加した。
東京大学発の、藻類を研究開発するバイオベンチャー。独自の藻類培養技術を用い、高効率で有用物質を生産するシステムを提供する。藻類が持つカロテノイドや脂肪酸などの有用成分を食品、化粧品、バイオ燃料分野で活用可能な形で展開している。
2024年12月には、藻サプリメントMoneru(モネル)のタブレットタイプの販売を開始した。従来販売されていたカプセルタイプから、飲みやすさにこだわって生まれた新商品であり、忙しい現代人の健康をサポートする。
2025年3月には、タイを代表するIPP(独立系発電事業者)であるBLCPパワーが運営する発電所内において、微細藻類を活用したCO2固定化技術と、藻類バイオマスの商業利用の事業性の実証を目的とした共同研究の開始に合意し、2025年3月4日に関係者との間で共同研究契約書に調印した。
企業HP:https://novelgen.jp/
微細藻類の力を活用し、地球温暖化問題、水浄化問題、マイクロプラスチック問題などの地球課題解決を目指す、長浜バイオ大学発のスタートアップ。同社が開発するAlgal Bloom Capture技術は、微細藻類を用いた二酸化炭素吸収・固定、水中の窒素やリンの吸収、マイクロプラスチックの除去を実現する。また、新しい有用機能遺伝子の探索を行う「新規有用遺伝子探索技術」や軟体動物由来の接着剤「Novel Glue」の開発も進める。
2024年9月には、ジェトロの国内スタートアップ企業の海外展開支援を行うプログラム「グローバル・スタートアップ・アクセラレーションプログラム(GSAP:Global Startup Acceleration Program)」に採択された。
企業HP:https://opbio.com/
海洋生物資源を活用した技術開発を行う。独自の海洋生物資源収集技術やスクリーニング技術を基盤に、食品、化粧品、医薬品、環境分野向けの原料供給を提供。沖縄沿岸域から収集した1000株以上の微細藻類ライブラリーを活用し培養技術を開発している。また、微細藻類「パブロバ」を用いた製品の開発・展開にも注力している。
2024年10月には、藻類由来DHAと微細藻類パブロバを組み合わせたサプリメントの新商品 「Pavlova OMEGA+ (パブロバオメガプラス)」を発表した。2025年3月には、微細藻類「パブロバ」を使用した「パブロバグリーンカレー」がテーブルマークの BEYOND FREE(ビヨンドフリー)から販売開始された。
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※グローバルインフォメーション 「微細藻類市場:供給源、種類、培養方法、形態、流通チャネル、用途別-2025-2030年世界予測」
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