医師の疑問に応える臨床ナレッジAI「Cubec」提供開始、総額8000万円の資金調達を実施

医師の疑問に応える臨床ナレッジAI「Cubec」提供開始、総額8000万円の資金調達を実施

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臨床ナレッジAIを開発する株式会社Cubecは、医師が日々の診療で抱く疑問に対し、信頼性の高い情報をワンストップで提供する「Cubec」を開発し、2025年5月19日より提供を開始した。また、同サービスの開発を加速させるため、ANOBAKA、ライトアップベンチャーズからの第三者割当増資により6000万円、日本政策金融公庫およびみずほ銀行からの借入により2000万円、総額8000万円の資金調達を実施。これにより、創業以来の累計調達額は2.3億円となる。

今回調達した資金は、リードエンジニアの採用などを含む開発体制の強化や、組織基盤の拡充を目的としており、今後のサービス拡充と技術力の向上に向けた重要な投資となる。

「Cubec」は、医師が診療中に抱く疑問に対し、研究論文などの信頼性の高い情報を出典付きで提示するアプリケーションである。対話型インターフェースを採用し、医師が日常的に使用する言葉で疑問を入力すると、生成AIが広範なデータベースから質問の意図に合った情報を取得し、要約・整理して出力する。出典情報が提示されるため、回答の根拠を医師自身で検証することも可能である。2025年内には、専門性が高い診療科目別に、複雑な相談に対応したバージョンの公開も予定されている。

同社は、2023年2月に設立されたヘルスケア・医療AIの開発・販売を行うスタートアップだ。製薬業界におけるAI開発のエキスパートである新井田信彦氏を中心に、データサイエンスチームで社内開発を進めている。また、国立循環器病研究センター発ベンチャーとして認定されており、プログラム医療機器の開発にも詳しい朔啓太医師をはじめ、複数の医師がメンバーとして在籍している。

ビジネスモデルとしては、医師向けには無料でサービスを提供し、医師が入力した疑問や検索された情報を分析することで、製薬企業に対して医師のニーズを深く、タイムリーに把握するためのマーケティング支援サービスを有償で提供する。これにより、従来のインタビュー調査などに頼っていた医師のニーズ把握が効率的になり、タイムリーなプロモーションが可能になるとしている。

代表取締役CEOの奥井 伸輔氏は、大学卒業後、外資系製薬企業にて営業・マーケティング・組織文化開発に従事。京都芸術大学でのデザイン思考の学びを活かし、医療ITスタートアップにて、国立循環器病研究センターを中心とした研究プロジェクトに企業代表として参加。医師の意思決定を支援する生成AIの社会実装を目指し、Cubecを創業した。

医療分野では、診断支援AIの開発と普及が進んでいるが、治療提案まで含む包括的なAIの実現はこれまでの診断支援AIから一歩進んだものとされる。Cubecは、心不全や肺高血圧症に特化した診療支援システム「Cubec HF」「Cubec PH」に加え、より幅広い医師のニーズに応える臨床ナレッジAI「Cubec」をラインナップに加えることで、医師の負担軽減と医療の質の向上を目指している。

今後は、医療従事者インサイトに基づく戦略立案・施策支援「Marketing solution」の提供も予定しており、医療現場のDXを加速させる存在として注目される。

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