SUPER STUDIO、約17億円を調達──開発強化とエンタープライズ対応を加速

SUPER STUDIO、約17億円を調達──開発強化とエンタープライズ対応を加速

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株式会社SUPER STUDIOが、統合コマースプラットフォーム「ecforce」の開発強化および事業拡大を目的に、約17億円の第三者割当増資による資金調達を実施した。今回のラウンドには、三井不動産とグローバル・ブレインの共同運営ファンド「31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースI事業」をはじめ、ALL STAR SAAS FUND、きらぼしキャピタルなどが参加している。この調達により、同社の累計エクイティ調達額は約101億円となった。調達資金は、コマースDX支援の強化やエンタープライズ顧客の獲得、採用体制の拡充などに活用される予定だ。

SUPER STUDIOは2014年12月に設立。D2C(Direct to Consumer)ブランドやEC事業者向けに、クラウド型コマースプラットフォーム「ecforce」を提供している。ecforceは、受注管理や在庫管理、顧客データの統合・分析を一元化し、マーケティングやCRM(顧客関係管理)機能も備えるSaaS型サービスである。オンラインとオフラインの両方の販売チャネルを支援し、データドリブンな事業運営を実現できる点が特徴だ。「ecforce cdp」や「ecforce bi」「ecforce ma」など複数のモジュールを展開し、事業者の業務効率化や意思決定支援を図る。

さらに、同社は自社でD2Cブランドの企画・運営も手がけ、ブランド運営から得られる実践的な知見を製品開発に取り込むフィードバックサイクルを構築している。これにより、現場で求められる機能やユーザー体験の改善に迅速に対応できる体制を整えている。

代表取締役社長CEOの林紘祐氏は、創業メンバーの一人。大学卒業後、Web広告代理店にてマーケターとしてキャリアをスタート。ECサイトやオンラインサービスのグロースに数多く携わる中で、「自らサービスやプロダクトを立ち上げたい」という思いが強まり、2014年にSUPER STUDIOを共同創業。以降、代表取締役CEOとして経営を牽引している。

国内のEC・コマーステック業界は、デジタルシフトの流れを受けて市場規模が拡大を続けている。経済産業省の市場調査によれば、2022年の日本のBtoC-EC市場規模は約22.7兆円とされ、コロナ禍以降も堅調な成長が続いている。消費者の購買行動がオンライン・オフラインを横断する中、OMO(Online Merges with Offline)戦略やD2Cモデルへの関心が高まっている。一方、複数チャネルのデータ管理やマーケティング施策の最適化など、事業者が直面する課題も複雑化している。海外では、Salesforce Commerce CloudやShopify Plusのような統合型プラットフォームが競合しているが、日本市場ではスタートアップから大手まで多様なサービスが混在し、競争が激化している。

SUPER STUDIOは、こうした市場環境を背景に、コマース事業者向けの支援を拡充している。2023年には三井不動産と連携し、次世代型ショップ「THE [ ] STORE」をRAYARD MIYASHITA PARKに開設。実店舗とECの垣根を越えたデータ活用やOMO施策の実証にも取り組んでいる。今後は、販売チャネルの多様化やCRM強化に対応するため、データ基盤や分析機能の開発・拡充へ投資を進める方針だと同社は述べている。

今回の調達により、同社は開発体制やマーケティング活動、採用活動の強化を計画している。エンタープライズから中小事業者まで、より幅広い顧客ニーズに応じた製品とサポートを提供することを目指す。

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