サーブ・バイオファーマ株式会社

腫瘍溶解性ウイルスを活用したがん治療薬の研究開発を手がけるサーブ・バイオファーマ株式会社は、DCIパートナーズ、鹿児島ディベロップメント、慶應イノベーション・イニシアティブ、日本ベンチャーキャピタル、QBキャピタル、フジタ・イノベーション・キャピタル、東海東京インベストメント、肥銀キャピタルを引受先とするシリーズBファーストクローズで、総額15億円の資金調達を実施した。
サーブ・バイオファーマは、腫瘍溶解性ウイルスを基盤としたがん治療と遺伝子関連疾患の治療法開発を行う。主力パイプライン「Surv.m-CRA」シリーズは、悪性骨腫瘍など難治性がんへの応用を目指しており、腫瘍細胞で特異的に増殖するウイルス設計技術や関連するin vivo遺伝子治療パイプラインの研究開発にも注力する。鹿児島大学発技術を活用し、非臨床から臨床初期段階の医薬品開発、ライセンス供与による実用化推進を進めている。
代表取締役社長は山田昌樹氏。薬学博士および経営学修士の学位を有し、医薬品R&D領域で35年以上の経験を持つ。国内外の大学で教授職を歴任し、民間では大手医薬品企業で研究所長や米国拠点代表などの役職を経験。公益法人での研究管理職も務め、2023年に現職へ就任した。
腫瘍溶解性ウイルス治療薬市場は、がん治療の新規ニーズと遺伝子工学技術の進展を背景に、高成長が見込まれている。2024年に2億7028万米ドルと評価され、2033年には約22億米ドルにまで拡大すると予測されている。大手製薬企業やバイオベンチャーが集中的に参入し、ファイザーやメルク等のグローバルメーカーが主導。他方、治療費の高額化や医療制度・保険償還が普及の課題。日本でもAMED主導で次世代のがんウイルス免疫療法・遺伝子治療の研究開発支援が強化されており、国内発スタートアップや学術連携による新規パイプライン創出も注目される。
今回調達した資金は、同社が独自に開発する腫瘍溶解性ウイルス「Surv.m-CRA」シリーズを中心とした非臨床開発および海外臨床開発の加速に充当される。
主力パイプラインであるSurv.m-CRA-1は、国内臨床試験で良好な結果を得ており、希少がん「原発性悪性骨腫瘍」を対象とした第Ⅲ相臨床試験を間もなく開始予定だ。また、次世代のSurv.m-CRA-2-ICについては、治験薬製造や安全性・安定性試験等の非臨床開発を強化し、2027年のFirst-In-Human治験開始を目指す方針である。さらに、Surv.m-CRA-1の海外臨床試験費用にも本調達資金を活用し、国内外における開発スピードの向上を図る計画だ。
サーブ・バイオファーマは独自ウイルス設計と大学知財活用を強みに、難治性がん領域の臨床開発および新規遺伝子治療薬の探索に注力している。今後は国内の臨床エビデンス構築と並行し、海外臨床や商業展開へ発展させる方針だ。業界全体としては、エビデンス創出や医療経済性の評価、知財や開発提携等の戦略が事業成長の要となる。









