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がん治療向け腫瘍溶解性ウイルスの研究開発を行うサーブ・バイオファーマ株式会社は、京都大学イノベーションキャピタル、東邦ホールディングス、FFGベンチャービジネスパートナーズ、大分ベンチャーキャピタル、佐銀キャピタル&コンサルティング、福岡地所を引受先とするシリーズBセカンドクローズで、総額6.7億円の第三者割当増資を実施した。これによりシリーズB累計調達額は21.7億円、創業からの累計最大調達額は約62億円となる見込みである。
サーブ・バイオファーマは、がんおよび遺伝子関連疾患向けの治療法開発を手がけるバイオベンチャーである。独自の腫瘍溶解性ウイルス※「Surv.m-CRA」プラットフォームにより、正常細胞へのダメージを抑え、がん細胞を特異的に攻撃する技術を持つ。主力のSurv.m-CRA-1は悪性骨腫瘍を対象に第III相国内臨床試験への準備段階にあり、I/II相臨床で良好な結果を得ている。セカンドパイプライン「Surv.m-CRA-2-IC」は三つの免疫遺伝子を組み込み、全身性効果を目指し非臨床段階にある。2027年のFirst-In-Human治験入りを目標に据えている。
がん治療は、手術・放射線療法・化学療法の三大治療を中心に発展してきたが、近年、それらに続く先端医療として「ウイルス療法」が注目されている。がんは現在も死因のトップであり、その割合は増加の一途をたどっている。一方で、既存治療では効果が限定的なケースや、重篤な副作用が課題となる場合も少なくない。こうした背景から、ウイルス療法は高い有効性と安全性を兼ね備えた新たな抗がん治療として期待されており、同社は独自の技術プラットフォームを活用して開発を進めている。
代表取締役CEOは山田昌樹氏。複数の大手製薬企業にて薬理研究所所長、創薬企画部長、海外研究機関長などを歴任し、35年以上にわたり医薬品の研究開発に従事してきた。その後2023年にサーブ・バイオファーマの代表取締役社長に就任した。
山田氏は、「今回の資金調達および研究助成を強力な推進力として、当社は主力パイプラインであるSurv.m-CRAシリーズの早期社会実装に向けた取り組みを一層加速させるとともに、研究開発から製造、販売までを一貫して担う“日本発のグローバル創薬企業”へと成長してまいります。革新的な遺伝子治療薬を世界中の患者様へお届けするというビジョンの実現に向け、事業スピードをさらに高めていく所存です」と述べている。(一部抜粋)
調達資金は、同社が独自に開発を進める腫瘍溶解性ウイルスのパイプラインの非臨床および臨床開発に充当される予定である。特に、3つの免疫遺伝子を搭載した新規候補「Surv.m-CRA-2-IC」の治験薬製造や安全性・安定性試験などを加速させるとともに、2027年のFirst-In-Human治験入りに向けた準備を進める。
さらに、ファーストパイプラインである「Surv.m-CRA-1」については、原発性悪性骨腫瘍を対象に国内で進行中の第III相臨床試験に加え、海外臨床試験費用にも資金が充てられる計画である。また、研究開発課題が日本医療研究開発機構(AMED)のベンチャーエコシステム強化事業に採択されたことにより、最大約27億円の研究助成金を受ける予定となっている。今回の資金調達および公的助成を起点に、Surv.m-CRAシリーズの社会実装と、国内外での臨床開発を一層加速させ、日本発グローバル創薬企業の成長を目指す方針である。
※腫瘍溶解性ウイルス:がん細胞を選択的に傷害するように遺伝子改変して作製されたウイルス。正常細胞には影響を与えないことから、有効性と安全性が極めて高い新規抗がん治療薬として高く期待されている。
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