リハビリで医療と日常をつなぐスタートアップ5選

リハビリで医療と日常をつなぐスタートアップ5選

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回復の機会を拡張する、新しい“リハビリの基盤”

日本では、高齢化の進展とともにリハビリテーションを必要とする人口が増え続けている。世界の医療リハビリテーションサービス市場規模は、2024年には3億5081万米ドルと評価され、2033年には7億1900万米ドルに成長すると予測されている。医療機関だけでなく在宅や地域での支援体制が求められている。一方で、理学療法士や作業療法士といった専門職の人手不足は深刻で、継続的な支援を受けられないケースも少なくない。

こうした課題に対し、近年ではテクノロジーを活用してリハビリの可能性を拡張しようとする動きが広がっている。ウェアラブルデバイスによる身体データの可視化、AIを活用した運動解析、ロボティクスによる歩行支援、オンラインでの遠隔リハビリ指導など、従来の病院中心モデルを超えた新しいアプローチが現れつつある。

これらの技術を実装し、医療・福祉・生活のあいだに新しいインフラを築こうとしているのが、リハビリテック系スタートアップだ。患者の回復を支えるだけでなく、「再発予防」「在宅自立」「社会復帰」までを支援する取り組みも進んでいる。

本記事では、リハビリの現場と日常をテクノロジーでつなぎ、誰もが“回復の機会”を持ち続けられる社会を目指すスタートアップの動向を紹介する。

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スタートアップ5選

株式会社デジリハ

企業HP:https://www.digireha.com/

デジタルアートと、手の動きや視線などを感知できるセンサー技術を組み合わせ、障害児者や高齢者向けのリハビリツールを開発・提供している。

ゲーミフィケーションを取り入れた多彩なプログラムにより、楽しみながらリハビリを行うことができ、当事者の主体性を引き出し、モチベーションと継続性の向上に貢献する。

使用するセンサーは、手指や四肢の動き、視線を検知するものから、壁や床に映した映像に触れられるレーザーセンサーまで多様で、一人ひとりの状態に応じて最適な組み合わせを選択できる。

2025年10月には、住宅型有料老人ホーム「ケアホーム門司」に導入され、デジリハとしては、初めての高齢者施設への導入事例となった。

株式会社CaTe

企業HP:https://cate.co.jp/

心疾患患者などを対象に、自宅で実施できる遠隔心臓リハビリテーションプログラム医療機器の研究・開発を行っており、運動療法・行動変容・バイタル共有などを通じて再入院率の低減や医療コスト抑制に挑む。2024年には本プログラム医療機器を用いた特定臨床研究が終了し、主要評価項目である6分間歩行距離ならびにPeak VO2の改善割合について、既存治療の外来心臓リハビリと比較して同等の有効性を持つ可能性が示唆された。

2025年8月には、シリーズB 1stクローズで、スパークス・アセット・マネジメント、みずほキャピタルをリード投資家として、JICベンチャー・グロース・インベストメンツなどを引受先とした第三者割当増資による、15.8億円の資金調達を実施した。

Qolo株式会社

企業HP:https://qolo.jp/

起立訓練の現場で、立ち上がる「能力」と「機能」の両面を支援するリハビリテーションを提供。生かせる運動機能を最大限に引き出し、能力改善に応じた訓練負荷で効果的なリハビリを実現する。また、日常生活に密着した立ち上がり・移動機能を提供し、就労機会の拡大や日常的な起立習慣の定着を通じて、自己実現と健康寿命の延伸を目指す。

2025年3月には、メディカルヒルズ投資事業有限責任組合を引受先とした資金調達を実施した。

株式会社INOMER

企業HP:https://inomer.co.jp/

片麻痺患者を中心とした歩行リハビリテーション用ロボティック装具「inoGear HE-1」を開発している。理学療法士による徒手介助を再現し、臀部を押し込むことで骨盤の引けを抑えつつ姿勢を保持する。さらに、足を後方に引く動作で股関節の伸展を促す。

モーターとワイヤーによるサポート機構により、患者の自然な動きを妨げずに能動的なリハビリを実現。ボタン一つで介入し、立脚期の正しい姿勢を維持しながら股関節の伸展を支援する。

2024年9月には、ライトアップベンチャーズ1号投資事業有限責任組合を引受先とした第三者割当増資により、4500万円の資金調達を実施した。

株式会社東北医工

企業HP:https://tohoku-ms.com/

片麻痺リハビリロボット「Ouvert(ウーベルト)」を開発する岩手大学、東北大学発のスタートアップ。ロボットハンドに患者の訓練が必要な麻痺している手(以下:麻痺手)を固定し、モーターのアシストする力により患者の手の関節を動かすことで関節のリハビリテーションを行う。手指のリハビリテーションによる治療機会の拡大とリハビリテーション専門職の負担軽減、そして患者ご自身とそのご家族のQOL(生活の質)向上を目指す。

2025年2月には、Tohokuライフサイエンス・インパクト投資事業有限責任組合を引受先とした資金調達を実施した。

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※straits research「
医療リハビリテーションサービス市場 サイズと展望 2025-2033


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