はじめに
短時間で楽しめ、主にスマートフォンでの視聴を想定した縦型形式で制作されるショート動画。SNSの普及により、短い時間で情報を消費したいニーズが高まっている。
動画の尺が短いため、視聴者が気軽に最後まで視聴できることや、投稿者も撮影や編集の手間が少なくて済むこともあり需要が増えている。
サイバーエージェント※の2022年国内動画広告の市場調査によると、2022年の動画広告市場は5601億円、前年対比133.2%と伸びている。特にスマートフォン向け動画広告需要は4621億円にのぼり、動画広告需要全体の83%を占める見込みだ。2023年には7209億円、2026年には1兆2451億円に達すると予測されている。
今後もテクノロジーの進化やユーザーのニーズの変化に合わせて、ショート動画のプラットフォームやコンテンツがさらに進化していくと期待される。
スタートアップ7選
emole株式会社
ショートドラマ配信アプリ「BUMP」を運営する。BUMPは、1話3分で隙間時間に楽しむことができるショートドラマの配信アプリだ。各作品、3話までは無料で視聴が可能で、4話以降は1日に1話待てば無料で視聴できるほか、広告を視聴することで1日に3話まで無料視聴、あるいは1話あたり67円を課金して視聴することが可能だ。
emoleが独自に製作するBUMPオリジナルドラマのほか、テレビ局など外部クリエイターとの共同出資による制作委員会方式でのドラマ制作や、BUMP以外のメディア用に制作されたドラマを短尺に再編集した作品などを提供している。
2023年8月にはプレシリーズAラウンドにて、第三者割当増資による2.6億円の資金調達を実施した。
企業HP:https://emole.co.jp/
株式会社Reelu
接客業に特化した、動画採用DXサービス「Reelu」を開発する。Reeluは、学生がプロフィール情報と簡単な質問への15秒以内の回答動画を登録して就職活動を行えるアプリ。企業は、これらの登録情報や動画を閲覧したうえで学生にスカウトを送ることができる。また、学生のスカウト承諾後に企業と学生がチャットできる機能を備える。
2022年9月には、第三者割当増資と融資による約5000万円の資金調達を実施した。2023年2月には、長期インターンを探す学生と企業を48時間以内にマッチングする「Reeluスピードマッチ(β版)」の提供を開始した。
株式会社GOKKO
縦型ショートドラマを制作するクリエイター集団「ごっこ俱楽部」を運営する。脚本、撮影、編集、投稿、マーケティング、視聴データの分析までをワンチームで行っている。2021年のサービス開始から2024年1月時点で、制作ドラマの累計のTikTok総再生回数は19.5億回を達成。
2022年11月には、プレシリーズAラウンドにて、i-nest capital、セプテーニ・ホールディングス、ケップルキャピタル、W fund および個人投資家の佐渡島庸平氏、仲子拓也氏、亀井智英氏などを引受先とした第三者割当増資による、約2億円の資金調達を実施した。
株式会社Wunderbar
有名人に動画メッセージを依頼できるプラットフォーム「VOM」を運営している。 VOMは、芸人やアーティストなどに30秒から1分程度のカジュアルショート動画メッセージを依頼することができる。
有名タレントの宣材素材提供サービスの「Skettt」も運営している。これまで大手企業に限定されていたタレント起用のハードルを下げ、簡単に全国的に認知されているタレントが活用可能なサービスである。タレント選定からクリエイティブ制作、効果測定まで、事業ブランディングを一気通貫してサポートしている。
2022年1月には、シードラウンドにてANOBAKAを引受先とした第三者割当増資及び日本政策金融公庫からのデットファイナンスによる、約5000万円の資金調達を実施した。
スマートフード株式会社
グルメ検索アプリ「Smafoo」を運営する。SmafooはTikTokやInstagramのReels機能のような、3秒のショート動画をメインコンテンツとしたSNSサービスだ。店舗が投稿するショート動画と位置情報と連携し、周辺のお店をランダムで表示し、空席情報もリアルタイムで確認ができる。
2023年9月には、Smafooを新しいグローバルバージョンとして「英語」「中国語」「韓国語」「フランス語」「スペイン語」を含む多言語対応のアップデートを行った。
企業HP:https://smafoo.jp/
kamilas4am株式会社
スモールビジネスオーナー向けの短編動画制作のコミュニティマーケットプレイス「kamila」を開発する。 kamilaは、スモールビジネスオーナー向けの、簡単にショート動画を作れる動画制作サービス。
2023年11月には、プレシードラウンドにて、国内外のエンジェル投資家などを引受先としたエクイティファイナンスによる、約5000万円の資金調達を実施した。
株式会社G-VIS
3DCGによる動画撮影と生成AI技術を活用し、アニメ「World Maker」などの制作を行う。大量のデータを学習し、画像や文章、音楽などさまざまな分野で新しいコンテンツを生み出すことができるAI技術を活用し、質の高いアニメーションをより効率的に制作している。ショート動画や、アニメの制作・運営なども行っている。
2023年11月には、プレシードラウンドにてSkyland Venturesを引受先とした J-KISS型新株予約権による資金調達を実施した。
企業HP:https://g-vis.com/
おわりに
ショート動画は急速に成長し、デジタルメディアの中で重要な位置を占めるようになった。SNSの普及などが後押しし、ショート動画の需要はますます高まっている。今後もテクノロジーの進化やユーザーのニーズに対応し、さらなる進化を遂げることが期待される。
---------------
※サイバーエージェント 「2022年国内動画広告の市場調査」