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生体データ活用でドライバーの事故を防止、運送業界の新たな支えに

近年、ドライバーの状態をリアルタイムで可視化し、交通事故の削減を目指す技術が注目を集めている。ドライバーモニタリングシステム(DMS)は、運転中のドライバーの行動や注意力、覚醒度を監視し、事故リスクを低減することを目的とする。また、運転中のドライバーの集中力と応答性を確保し、交通安全を高めるとされており、最新の自動車に標準装備されるようになってきている。
DMSの世界市場は、2024年に27億6000万米ドルを占め、2030年には50億3000万米ドルに達すると予測されている。※
特にAIやセンサー技術を活用したスタートアップが次々と新たなソリューションを提供しており、ドライバーの運転特性を可視化することで安全運転への意識向上や事故防止に貢献している。これらの技術革新は、交通事故の削減だけでなく、保険コストの削減や車両運用の最適化にもつながると期待される。
本記事では、ドライバーの状態を可視化し、交通事故削減に取り組む注目のスタートアップを紹介する。
生体データを活用してドライバーの事故率削減を目指す「Nobi for Driver」を提供している。Nobi for Driverは、スマートウォッチを用いて運送業界のドライバーの健康状態を管理し、健康に起因した事故を削減するサービスだ。心拍数や血圧などの生体データを、ドライバーが装着する専用のスマートウォッチで取得し、危険な兆候がないか常にモニタリングする。体調不良や眠気、熱中症などのリスクを検知した際には、ドライバーが装着するデバイスが震えるほか、ドライバーの管理者にもリアルタイムでアラート通知を行うことができる。2024年8月に、Nobi for Driverは、令和6年度国土交通省の事故防止対策支援事業の「過労運転防止認定機器」に認定された。
2025年2月には、マーキュリア・サプライチェーン、長瀬産業、ICJ2号ファンドを引受先とした第三者割当増資による、1.4億円の資金調達を実施した。
企業HP:https://www.kenpalinc.com/
自動車運転の安全性向上を目的とした眠気検知システム「ドライブスコア」などのプロダクトを開発。ドライブスコアは、脳波センサーとスマートフォンアプリを組み合わせ、ドライバーの脳波を計測・分析することで、眠気の兆候を検知し、居眠り運転を未然に防ぐシステムだ。運転前の眠気診断で休憩のタイミングを提案し、運転中は眠気の予兆を早期にキャッチしてドライバーに休憩を促す。また、大学やスタートアップとの共同研究・開発を通じて、遠隔看護システムアプリ「Telenursing」の開発にも携わる。
カメラ付きデバイスを用いた非接触バイタルセンシング技術「SENSING」を開発・提供する、千葉大学発のスタートアップ企業。スマートフォンやPCのカメラで顔を撮影するだけで、脈拍数や心拍変動、呼吸数、ストレス指標(LF/HF)などのバイタルサインを高精度に測定できる。ドライバー分析、見守り、ストレスチェックなどで活用されている。
2022年11月には、医療情報の一元化を目指すメディカル・データ・ビジョンと資本業務提携を締結した。メディカル・データ・ビジョンのPHR(パーソナルヘルスレコード)システム「カルテコ」での応用も視野に、両社で技術面での連携を行う。
運送業界向けの勤怠管理システム「勤怠ドライバー」を提供する。勤怠ドライバーは、ドライバーの労働時間の適切な管理や給与計算、デジタルタコグラフとの連携機能を備え、エクセルを使用せずに効率的な勤怠管理を実現する。ドライバーの労働時間を適切に管理し、超過労働を未然に防ぐ機能を備える。労働時間が一定の基準を超えると、管理者やドライバー本人にアラートを発信し、適切な労務管理をサポートする。運送業特有の複雑な労務管理に対応し、2024年4月施行の労働時間規制にも対応する。
2024年12月には、フリーが提供する給与計算ソフト「freee人事労務」との連携を開始した。勤怠ドライバーの勤怠データをfreee人事労務に連携し、控除から給与明細までの⼀連の給与計算業務のさらなる効率化が可能となった。
企業HP:https://effect-effect.com/
受託開発、エンジニア派遣、車内設置型アルコールセンサー、AIドローンなどの研究開発を行っている。「飲酒運転防止IoTシステム」は、車内に設置されたアルコールセンサーを通じて、ドライバーの呼気中のアルコール濃度を常時監視するシステムだ。基準値を超えるアルコールが検知されると、システムは即座に警告を発し、管理サーバーへリアルタイムでデータを送信する。運転前のチェックだけでなく、運転中も継続的に監視を行うことができ、飲酒運転の未然防止に貢献する。他にも、ソフトウェア開発を中心に受託開発、エンジニアの派遣などの事業も展開する。
2024年11月には、代表取締役社長に小川二郎氏が就任。また、併せて前代表取締役会長・社長 光安淳氏が取締役会長に就任したと発表した。
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※グローバルインフォメーション 「車載DMS(ドライバーモニタリングシステム)の世界市場、2030年までの予測」
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