セレイドセラピューティクス、シリーズBで10.55億円調達──造血幹細胞増幅技術の米国臨床へ

セレイドセラピューティクス、シリーズBで10.55億円調達──造血幹細胞増幅技術の米国臨床へ

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セレイドセラピューティクス株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:荒川信行)は、シリーズB資金調達ラウンドの1st Closeを完了し、ベンチャーキャピタル各社および国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)から総額10.55億円の資金を調達した。これにより、補助金を含む累計の資金調達額は25.2億円となった。

今回調達した資金は、CLD-001 の米国での臨床試験開始に向けた GMP 製造および非臨床試験に充当される。また、同社独自の造血幹細胞増幅プラットフォームの強化と、細胞・遺伝子治療分野への応用拡大にも活用される。

セレイドセラピューティクスは、2020年10月に設立された東大発・筑波大発のバイオテクノロジースタートアップであり、人の血液を生み出す造血幹細胞(Hematopoietic Stem Cell, HSC)の体外増幅技術を中核とする。造血幹細胞は赤血球・白血球・血小板などすべての血液細胞を生み出す多能性を持ち、自己複製能によって生涯にわたり血液系を維持する。

代表取締役社長CEO 荒川信行氏は、慶應義塾大学理工学部、同大学大学院理工学研究科(工学修士)を修了後、アクセンチュアで製造・小売業界のコンサルティングに従事。その後、中小企業改革や大学発バイオベンチャーの立ち上げ、AI・IoT・ヘルスケア領域の事業開発・DX推進など幅広い経験を積む。2020年に当社を共同創業し、代表取締役CEOに就任した。

同社の開発品「CLD-001」は、凍結保存されたさい帯血を細胞原料とすることによりドナー不足の課題を軽減し、独自の造血幹細胞増幅技術によって必要な細胞量を確保する。HLA適合度の高い造血幹細胞製品の提供を目指しており、再生不良性貧血、原発性免疫不全症、鎌状赤血球症などの重度希少血液疾患を対象としている。

「CLD-001」については、動物モデルでの有効性・安全性を示す非臨床データを取得しており、細胞製造および CMC(Chemistry, Manufacturing and Controls)領域の開発が進展している。また、米国FDAとの Pre-IND 準備も計画通り進行している。

同社は、AGC株式会社との間で iPS 細胞由来造血幹前駆細胞(iPSC-HSPC)の増幅および機能検証に関する共同研究契約を締結しており、造血幹細胞増幅技術の応用領域拡大を進めている。さらに、複数のグローバル製薬企業・バイオテック企業で同社技術の評価が進んでいる。

今回の調達は、同社が米国で開発を進めるリードパイプライン「CLD-001」の進展と、同社の造血幹細胞増幅プラットフォーム技術に対するグローバル企業・バイオテック企業での評価を背景とするものとされている。

近年、世界の造血幹細胞治療市場は急速に拡大しており、2024年時点で約32億米ドル規模、2032年には78億米ドル超に達する見通しとされている。幹細胞全体の市場では170億米ドルを超える規模があり、今後も年平均成長率約11%程度で成長が見込まれている。セレイドが取り組む造血幹細胞増幅技術は、こうした成長分野の中心領域に位置している。

同社はこれまでに、NEDO「ディープテック・スタートアップ支援事業」および AMED「創薬ベンチャーエコシステム強化事業(ステージ2)」など複数の公的助成を受けており、研究開発費および GMP 準拠の製造体制構築に活用している。

セレイドセラピューティクスは、造血幹細胞増幅技術を軸にグローバルでの事業展開を加速し、希少疾患領域における新たな治療法の創出を目指していく。

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