再生医療製品を開発するスタートアップ5選【2025年9月更新】

再生医療製品を開発するスタートアップ5選【2025年9月更新】

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難治性疾患に挑む新たな治療法

再生医療の市場規模は、新たな治療法や技術の進展に伴い世界的に急成長をしている。

再生医療とは、損傷した組織や臓器を修復、再生、または置き換えることを目的とする医療技術のこと。特に治癒が難しい病気やけがに対して新たな治療法を提供する分野であり、細胞や組織を利用して体の自然な修復機能を活性化することが基本となっている。幹細胞治療や遺伝子治療が主要なアプローチで、臓器移植の代替手段として期待されている。

再生医療は、臓器や組織の不足を解消し、移植を待つ必要がなくなる。また、患者自身の細胞を利用するため、免疫拒絶反応のリスクが低減されるといったメリットがある。

世界 国内の再生医療の市場規模は、2025年の約5165億米ドルから2032年までに約413億米ドルに成長すると予測されている。また、世界市場についても2050年には約38兆円まで成長すると予測されており、臓器移植に依存しない治療や患者一人ひとりに基づいた個別化医療の拡大が期待されている。

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スタートアップ5選

CynosBio株式会社

企業HP:https://cynosbio.com/

コラーゲン加工技術をもとに自家細胞培養による再生医療品を製造・販売する。ヒト羊膜基質使用ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート「サクラシー®」を開発。サクラシー®は、患者自身の口腔粘膜より採取した上皮細胞を、加工したヒト羊膜の上でシート状に培養した再生医療等製品。既存の治療法では限界があった眼表面の癒着を修復するための新たな治療選択肢となる。

2024年7月には、サイバニクス・エクセレンス・ジャパン、アクシル・ライフサイエンス&ヘルスケアファンド、日本ベンチャーキャピタル、QBキャピタルなどを引受先とした第三者割当増資による総額23.8億円の資金調達を実施した。

由風BIOメディカル株式会社

企業HP:https://yukaze-biomedical.co.jp/

ナノ粒子の表面を制御するナノバイオロジー領域の独自技術を活用した迅速かつ低コストな高感度体外検査薬の研究開発を行っている。特定細胞加工物製造許可を取得し、がん免疫治療「NKT細胞標的治療(RIKEN-NKT®)」の社会実装を目指す。NKT細胞は、再生細胞薬であるαガラクトシルセラミドパルス樹状細胞を投与することで活性化する。ほかにもさまざまな症例に適用する細胞薬を提供している。

2024年9月には、グローバルに分析・解析装置などの開発・製造・販売を行う日立ハイテクおよび日立ハイテクサイエンスと、「迅速無菌試験」技術に関する共同研究を開始したと発表した。

セレイドセラピューティクス株式会社

企業HP:https://celaidtx.com/

ヒト造血幹細胞の増幅技術を用いた再生医療製品を開発する東京大学発のベンチャー企業。同社の造血幹細胞増幅技術は、体外での安定した細胞増幅が可能であり、低コストの人工化合物を使用することで高い増幅率と容易な品質管理ができる。産業利用にも適している。ヒトへの臨床応用に向けて開発を進めている。

2025年8月には、AGC株式会社(以下、AGC)と共同研究契約を締結した。AGCのiPS細胞由来造血幹前駆細胞(iPSC-HSPC)をセレイドセラピューティクスのヒト造血幹細胞増幅技術を用いて大量増幅する方法を検証するとともに、増幅したiPSC-HSPCのin vitroおよびin vivo(動物移植実験)機能検証も行う。

株式会社オーガンテック

企業HP:https://www.organ-tech.jp/

再生医療向けの医薬品や材料の製造・販売、治療用細胞・組織・器官の受託製造・販売を行っている。また、幹細胞を使った毛髪や歯科の再生医療の開発にも取り組んでいる。毛髪再生医療では、男性型脱毛症を対象に臨床研究を進めており、後頭部から毛包を採取して、上皮性幹細胞と毛乳頭細胞を増やし、それらを使って再生毛包をつくっている。

2025年8月には、米国メリーランド州に拠点を置くライフサイエンス分野のCRO(受託研究機関)・コンサルティング企業、QNova LifeSciencesとコンサルティング契約を締結した。次世代バイオインプラントに関する米国食品医薬品局(FDA)への許認可申請準備を共同で推進する。

株式会社シルクルネッサンス

企業HP:https://www.silk-r.jp/

カイコを用いたバイオ関連事業を展開している。細胞抽出液にエネルギー源など必要な成分を加え、試験管内でmRNAを使って目的のタンパク質を作る技術である無細胞タンパク質合成系を開発。これら技術を活用した創薬支援事業や再生医療支援事業の展開を進めている。

2025年8月には、沖縄県の令和7年度バイオ関連企業事業化支援事業補助金に採択された。この支援事業を通じて、基盤技術であるカイコ無細胞タンパク質合成系の性能を向上させ、タンパク質の大量生産体制を構築することを目指す。

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※ FORTUNE BUSINESS INSIGHT:「再生医療の市場規模 2025-2032

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