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気球から発射する小型ロケットで日本に宇宙輸送のインフラを──AstroX小田氏


Rockoon方式による気球空中発射型ロケットで衛星軌道投入に挑むAstroX株式会社は、alpha、大和企業投資、アニマルスピリッツ、ディープコア、静岡キャピタル、インクルージョン・ジャパン、複数名のエンジェル投資家を引受先とした13.6億円の第三者割当増資と、あぶくま信用金庫、みずほ銀行、三井住友銀行からの4.4億円の融資により、シリーズA1st closeで総額18億円の資金調達を実施した。
AstroXは、福島県南相馬市で2022年5月に設立され、「宇宙開発で “Japan as No. 1” を取り戻す」というビジョンを掲げている。国内における小型衛星打ち上げ機会の不足という課題解決に向け、気球で成層圏までロケットを運び空中発射する独自のRockoon方式と、ハイブリッドロケット技術を組み合わせて低コスト・高頻度の宇宙輸送サービスの事業化を進めている。高度100kmの宇宙空間到達、高度500km衛星軌道到達を目標とし、空中発射に必要な姿勢制御技術はミニスケールでの実証に成功している。
代表取締役CEOは小田翔武氏。IT分野などで複数の企業を創業・経営し売却した経験を持つ。幼少期からの宇宙事業への志を背景に、国内の衛星打ち上げの課題解決を目指し2022年5月に自ら宇宙関連分野の事業を創業。日本の宇宙開発における衛星打ち上げロケットの不足解消を目指し、小型ロケット開発を進めている。
日本の小型衛星市場は、IMARCグループによれば2024年に3億2880万米ドル規模となり、2033年には6億8510万米ドルへの拡大が予測されている。2025年から2033年にかけての年平均成長率は8.5%で推移し、リモートセンシングや通信、ナビゲーション用途を中心とした民間ニーズの高まりが成長要素となっている。衛星データの利活用拡大やAI技術の導入が進む一方で、SpaceXによる打ち上げサービスへの依存が各国で懸念されており、打ち上げ手段の多様化と、日本のロケットで衛星を打ち上げられる体制の確立は、日本にとっても重要な課題になっている。
こうした市場環境を踏まえて、政府は小型衛星打ち上げロケットの基盤技術開発や民間ロケットの打ち上げ実証に向けた支援事業を開始するなど、育成・拡大策を推進している。今後は、こうした支援をテコに産業競争力の強化と独自打ち上げ能力の構築を両立させることが一層重要になる。
今回調達した18億円は、2026年内の宇宙空間到達に向けたRockoonシステムの開発費用や、それに伴う人材採用強化に充てられる。2024年11月には高度10km級ハイブリッドロケットの発射実験を成功させており、今後も、地上燃焼試験や姿勢制御装置の動作確認、風洞試験などを進めるとしている。
画像はAstroX HPより
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