クラウドで後押しするデジタル化、建設業向け業務管理プラットフォーム構築へ──CONOC山口氏

クラウドで後押しするデジタル化、建設業向け業務管理プラットフォーム構築へ──CONOC山口氏

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KEPPLE編集部

目次

  1. 建設会社が作った業界特化の業務管理SaaS
  2. 倒産危機乗り越えた解決策を業界へ
  3. データを軸に新プロダクト開発を推進 次に狙うは「資材管理」

建設業界に特化したクラウドサービスを提供するCONOCがプレシリーズAエクステンションラウンドにて、第三者割当増資による約2.3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先はウィルグループとGAインベストメント、ブルーテック等。

今回の資金調達により、サービスのプラットフォーム化に向けた開発やマーケティング活動を強化する。

建設会社が作った業界特化の業務管理SaaS

同社が開発するのは、建設業界に特化した業務管理ツール「CONOC建設業クラウド」。書類作成や原価管理などの機能を提供する「CONOC業務管理クラウド」を主軸に、現場管理やクラウドストレージを一体化したクラウドサービスとして提供する。

建設業は働き方改革関連法による時間外労働の規制の影響を受け、デジタル化が急務となっている。CONOCの調べによれば、書類や売上・原価のグラフ作成の自動化、工程表を作成できる業務管理ツールを導入するのは建設業の半数以下に留まるという。

CONOCの前身となるTRUSTの設立は2010年。建設会社として設立された。TRUSTで手掛けていた空間デザイン事業・建築測量事業を新たに設立した別会社に譲渡し、建設テックを主軸とするCONOCと社名を改めたのが2021年。以降はCONOC建設業クラウドをはじめとして、建設業が安価に導入できるサービスとして提供を続けている。

CONOC建設業クラウドイメージ図

CONOC業務管理クラウドの導入社数はリリースから3年で500社を突破した。2026年までに導入社数1000社達成を目標に掲げる。

今回の資金調達に際して、代表取締役 山口 一氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

倒産危機乗り越えた解決策を業界へ

―― 事業開始のきっかけは?

山口氏:元々建設業界で職人として働き、その後独立して工事会社を経営していました。経営を行っていく中で、倒産の危機に直面したこともあります。その際の経験が建設業クラウド開発の大きなきっかけです。

なぜそんな状況に陥ったのか。経営状況を可視化できていなかったことが大きな問題でした。現場の情報は各担当者が管理しているものの、アナログで属人的になってしまっている。あらゆる情報が各担当者のデスクトップにあるような状態です。そのため、いざ蓋を開けると、利益がほとんど出ていないような現場も珍しくないんです。経営状態が可視化できずに赤字の現場がどんどん増え、キャッシュフローが悪化した結果倒産寸前まで追い込まれました。

そこでまずは業務管理システム導入で改善を図りました。建設業に特化したシステムではありませんでしたが、それでも一気に経営状況が改善しました。同様の課題を抱える事業者はたくさんいます。助けになればと自社の事例を周囲に伝えたものの、建設事業者がシステムを導入するのには難しさがありました。

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―― システム導入が難しいとはどういうことでしょうか?

当時のシステムはオンプレミス型が主流で、初期費用だけで300万円以上かかることも珍しくありませんでした。自社向けにカスタマイズするとさらに費用がかかってしまう。中小の工事会社では費用的に手が出しにくいのです。安価で建設業に特化したシステムがあれば課題解決につながるのではと思い、建設業クラウドの開発を決意しました。

―― システムが普及すれば残業時間の削減も期待できます。

建設業界は、全産業と比較すると約1.5倍もの残業をしています。担当者は現場仕事を終えてオフィスに戻り、それから書類作業をしているんです。労働時間を削減しないことには、若い人も入ってきません。クラウド型であれば現場や移動中でも作業ができます。顧客情報をもとに帳票を自動作成するので、手作業で書類作成する必要もありません。

―― 建設業向けサービスは他社も提供しています。御社ならではの特徴はどういったポイントでしょうか。

開発当時は、業務管理に特化したサービスはありませんでした。業者や職人が普段のコミュニケーションで使っているのはLINEです。写真の共有もLINEで行っています。新しいアプリを現場向けに導入しても、すでにLINEに慣れているのでなかなか使ってもらえないこともあるのです。そこでまずは業務管理を入り口にサービス提供を開始しました。

カレンダー機能イメージ図

データを軸に新プロダクト開発を推進 次に狙うは「資材管理」

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

主にサービスの機能改善や新機能の開発に充当します。IPOに向けた人材採用やマーケティング強化も目的の一つです。

今回のラウンドまでは、事業会社とエンジェル投資を通じて資金調達を行いました。株主となっていただいたウィルグループには建設業界向けの人材サービスを手掛けるグループ会社があります。こうしたシナジーを得るべく今回は心強い株主に参画いただきました。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

私たちは、社内でプラットフォーム構想を掲げてさまざまなサービス展開を計画しています。現在開発しているのが、余った建設資材を管理できるようなプロダクトです。建設業界では工事ごとに資材が余ります。これらは事業所の倉庫に保管されますが、次の現場で再利用されることはほとんどありません。最終的に溜まった資材はお金をかけて廃棄されるのです。余った建設資材のマーケットプレイスを立ち上げ、資材の流通と再利用の促進を考えています。

各サービスの導入が進むほど、建設業に関するデータが蓄積されていきます。このデータを解析することで解決すべき課題が見えてくる。課題に対して新たなサービスを提供できるようなプラットフォームにしていきたいと思います。そのためにも、まずは2年以内にCONOC建設業クラウドの導入1000社達成が目標です。

建設業界のDXはまだまだ進んでいません。しかし、建設業界に深いバックグラウンドを持つ私たちには多くのアドバンテージがあります。「CONOCのサービスを使えば自社の課題を解決できる」と言われるような世界観を作り上げていきたいと思います。

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