3Dモデルで建設業務を効率化、インフラ管理の未来を支えるDataLabs

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KEPPLE編集部


3次元データを活用した建設業務の効率化ツールを提供するDataLabs株式会社がプレシリーズAラウンドにて、第三者割当増資による総額4.3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、SBIインベストメント、JR東日本スタートアップ、DEEPCORE等の6社。

今回の資金調達によりJR東日本との提携を進め、配筋検査の自動化や鉄道インフラの維持管理用の電子基盤構築を目指す。

三次元データで建設現場の配筋検査を効率化

同社が提供する「Modely」はLiDARセンサー※1付きのiPad等で取得した三次元データを用いて、配筋検査を省力化できるサービスだ。工事のプロセスにおいて基礎の鉄筋が正しく配置されているかを確認する、配筋検査に特化する。建設業において三次元データを活用することで生産性の向上が見込まれ、国土交通省により、2023年からの公共工事におけるBIM/CIM※2原則適用が発表されている。従来のソフトウェアよりも価格を抑えたサービスとして提供することで、現場業務を効率化するほか、同社は2022年9月より、三次元データを関係者間で共有する「LinkedViewer」も提供している。

※1 レーザー光を照射し反射光や散乱光を検出することで、対象物までの距離や形状を測定する装置の総称。
※2  BIM/CIM:一連の建設工程に3Dモデルを導入して、建設生産・管理システムの効率化や高度化を図るもの。

サービスイメージ
Modelyは2023年4月にサービス提供を開始。今後はModelyの技術を活用した新プロダクトの提供や要素技術を用いた将来プロダクトの海外展開を進める。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 田尻 大介氏と、取締役CFOの常信 敦嗣氏に今後の展望などについて詳しく話を伺った。

義務化で求められる三次元データの活用

―― これまで、建設業界にはどのような課題がありましたか?

田尻氏:建設業界では、働き方改革関連法への対応を行う「2024年問題」や人手不足のほか、これまでに建設されたインフラの老朽化など、多くの課題が存在しています。そのため生産性の向上が急務で、三次元データの活用に焦点が当たっています。こうした状況も踏まえて国土交通省から、三次元データの利活用が原則化されています。

三次元モデルの作成に必要な点群データと呼ばれるデータを収集すること自体は比較的容易になってきていますが、このデータをもとに三次元モデルを作成することは、専門的な知識も必要でソフトウェアの価格も安くはありません。国から三次元データの利活用を求める方針があるにもかかわらず前述の価格面での課題や効率化につながるユースケースが明確でないという背景から、当社は業務特定型の三次元ツールを提供することで生産性向上に貢献できると考え、建設業で非常に汎用的な業務である配筋検査に目を向けています。

Modelyの画面
道路や柱など、コンクリートの中にはかなり多くの鉄筋が入っており、利用する鉄筋の本数や直径や曲げ方など、検査項目も多いうえに工事に用いる鉄筋の量も膨大です。配筋検査を実施していない建設会社はないというほど、一般的な検査です。現在は手作業で測定や写真撮影をして記録する必要があり、さらにこの検査を何十回も行うため、かなりの人手や工数を要します。これは大きなゼネコンであっても同様です。Modelyを利用し、iPadで鉄筋の動画を撮影することで基本的な計測やレポート作成が自動化されるため、約8割の作業時間軽減につなげることができます。

検証結果

―― 創業のきっかけを教えてください。

田尻氏:新卒でJAXAに入社し、人工衛星のデータに関する業務に携わっていました。NASAなどの宇宙機関との仕事で貴重な経験が出来たと感触はあったものの、もっと短期的に自ら成果を創出する経験を積みたいと、ドローンベンチャーに転職しました。そこでドローンにセンサーをつけて地理情報を計測したり、三次元データを扱うことが増え、現在の事業の考案にも部分的に役立ちました。その際に建設会社や測量会社は三次元データの閲覧ができても、その先の発注者がデータの閲覧ができないため、二次元図面への変換を要望いただくことも多かったんです。

BIM/CIM原則適用化の発表があり、ゼネコンや測量会社から、三次元データをそのまま発注者に渡したいという声を多く聞くようになりました。ドローンの点群データが本当の建設実務に使われているのは常に見ていましたし、点群データを他のデータと組み合わせて行くことはチャンスがあると思い、DataLabsを創業しました。

常信氏:私は以前、ドローンベンチャーや楽天で勤務し、クロスボーダーM&Aやファイナンス、経営企画、経営管理に関する業務に従事しました。ドローンベンチャーで同期入社として出会った田尻とは、役割も異なるため業務で関わることは多くはありませんでしたが、田尻は国内の営業・事業責任者として入社早々から圧倒的なスピードで売上実績を出し続ける注目の存在でした。ゆくゆくは起業を志す中で、技術への知見に富み、事業推進能力が高い彼と、コーポレート業務の経験が得意な私とは、一緒にビジネスをするうえで相性も良いと感じていました。大学時代に研究していた関心の深いテーマである、三次元モデリング技術を用いて、建設業界の効率化や、社会課題の解決を目指すということについても社会的な意義を感じ、田尻と組んでDataLabsを立ち上げることを決意しました。

インフラ管理のスタンダードへ

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

常信氏:プロダクトの機能拡充や新規プロダクト開発、販売体制の強化を目的として資金調達を行いました。また、今回のラウンドでは、JR東日本スタートアップに参加いただき、資本業務提携を実現することができました。すでに2年ほど続けてきた工事発注者であるJR東日本との連携を資本業務提携に昇華することにより、発注者の視点で見ても信頼性のあるサービスを当社が提供しているとご判断いただける材料になると思います。また、スピード感をもって経営の意思決定を行うため、取締役会を設置し、この点ついても本リリースの中で発表しています。

具体的な資金の使途は人件費に充当する予定で、エンジニアの獲得に加えて、Modelyを含めた今後の自社プロダクト拡販を目的とした販売体制の構築を目指します。現在18名ほどの組織を、年内には25名規模にして、次回の資金調達を実施して地方や海外への展開を行う際には、50名規模の組織を作っていく計画です。

プロダクトをどのように拡張していくか教えてください。

田尻氏:今回株主になっていただいたJR東日本は非常に大きな工事発注者です。これまで多くのインフラ工事や管理を行ってきており、今後の工事現場に三次元モデルを活用して生産性を向上することを経営方針として掲げています。JR東日本の工事における施工や維持管理に当社も貢献しながらその他の発注者とも連携し、当社ツールが業界の中で標準的に使われるよう取り組みます。今後さらに人口減少が進む中で、特に人が減っていくのはインフラの管理者です。インフラを効率的に維持管理していく仕組み作りに貢献していきます。

Modelyを配筋検査に利用いただくことで、あらゆる構造物のデータが蓄積されていきます。Modelyを通じて平面や曲面、構造物そのもののデータを蓄積することで、維持管理のプラットフォームになりたいと考えています。インフラ管理者が利用する三次元モデルが当社プラットフォーム上で作成され、扱われ続ける世界観を目指しています。

―― 今後の展望を教えてください。

常信氏:中長期には、1つのマイルストーンとしてIPOを目指しています。日本のマーケットの中でもファイナンスの手法は多様化してきているため、状況により事業の成長のためにベストな選択肢を検討したいと考えています。世界のマーケットを視野に入れ、社会経済の発展のための価値を提供し続ける存在であり続けるために、2028年の6月期までのIPOを目指し、事業を成長させていきます。

田尻氏:まずは4月にリリースしたばかりのModelyの提供実績をしっかりと積んでいきます。当社ツールはゼネコンに好評をいただいても発注者にツールについて説明する必要があり、通常のBtoB SaaSよりもセールスサイクルが長くなる傾向にありますが、しっかりと後続のプロダクトも出しながらPMF達成を目指したいと思います。

またASEAN地域では建設市場が広がってきており、海外展開も検討しています。まずは海外に支店を持つ日本のゼネコンでの利用や、総合商社と一緒にジョイントベンチャーを設立する等の施策も検討を進めています。点群データの自動モデル化については世界共通でニーズがあり、すでに海外の大手ゼネコンにも関心をいただいています。現在はこの分野では世界的に見ても当社がリードしていると考えており、競合に先を越されないよう、海外の大きな市場にも展開していきます。

DataLabs株式会社

DataLabs株式会社は、デジタルツイン(DX)の社会実装を目指しす企業。 同社は、点群データの自動モデリングツール『Modely(モデリー)』や点群三次元モデル可視化・共有ツール『Linked Viewer』を開発する。 『Modely(モデリー)』は、計測した点群データをクラウド上で自動解析し、対象を画面上でクリックするだけで、自動で寸法精度100%(パラメトリックモデリングを採用した場合)の三次元モデルが完成させることができるツール。 『Linked Viewer』は、点群データや三次元モデル、二次元CAD図面等を、URLの共有のみでブラウザ上で誰でも閲覧しダウンロードが行えるツール。

代表者名田尻大介
設立日2020年7月7日
住所東京都中央区日本橋小舟町8-6
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