放射冷却素材の開発をするSPACECOOLは、シリーズAラウンドにて第三者割当増資による資金調達を実施したと発表した。プレシリーズAラウンドおよびシリーズAラウンドで総額9億円の資金調達を完了した。今回の調達の引受先は、スパークス・アセット・マネジメント、三井住友海上キャピタルの2社。海外事業展開、研究開発、組織体制の強化に充てる方針である。
同社は、宇宙への熱放射を活用したゼロエネルギー冷却を実現する放射冷却素材「SPACECOOL」を開発・販売している。この素材は直射日光下でも熱を赤外線に変換して放射し、冷却効果を発揮する特性を持ち、エネルギー消費を抑えながら冷却を実現するという。また、この技術は建物の空調エネルギーを削減するソリューションとして、地球温暖化対策の一環として注目されている。
同社は2021年4月に設立。代表取締役CEOの末光 真大氏は、大阪大学大学院を修了後、大阪ガス株式会社で研究開発に従事し、フォトニクス技術を用いた熱光発電(TPV)や放射冷却素材の研究を進めた。2024年4月よりSPACECOOのCEOに就任した。博士(工学)の学位を持つほか、国内外で複数の受賞歴がある。
放射冷却技術は近年、エネルギー削減の有効な手段として注目されており、競合他社もこの分野で新たな製品を開発している。同社の「SPACECOOL」は、こうした競争の中でエネルギー消費削減とカーボンニュートラル社会への貢献を目指している。
2024年11月には、同社のSPACECOOLが、都内の中小企業による革新的で将来性のある製品・技術、サービスを表彰する令和6年度東京都ベンチャー技術大賞において、「優秀賞」を受賞した。これにより、国内外での認知度がさらに向上し、企業としての信頼性が高まっている。
今回の資金調達によって、グローバル市場での事業展開がいっそう進むことが期待される。今後、海外市場への進出に加え、新たな用途開発やパートナーシップの強化を進める計画である。
画像はSPACECOOLプレスリリースより