特注の建設部材の調達をテクノロジーで標準化──BALLASがシリーズBで24億円を調達、新プロダクトを正式リリース

特注の建設部材の調達をテクノロジーで標準化──BALLASがシリーズBで24億円を調達、新プロダクトを正式リリース

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建設業界の構造課題に向き合うスタートアップが、シリーズBラウンドで資金調達を行った。特注の建設部材に特化したオンラインプラットフォームを運営する株式会社BALLASは、SMBC EdgeおよびZ Venture Capitalを共同リード投資家として、総額24億円(エクイティ21億円 / デット3億円)の資金調達を完了した。累計調達額は約43億円となる。

あわせて、建設工事会社向けのプロジェクトマネジメントシステム「BALLAS LINKS」を正式リリースした。

金属製の特注建設部材は、データセンターや工場、産業プラント、オフィスビルなど様々な建物のキーパーツとなっているが、特注品ゆえに図面作成から製造・納品までの工程にコストがかかり、大きな構造的問題を抱えている。「製作工場は、建設工事会社(発注者)からの仕様に基づき毎回ゼロから部材の作図・製作を行っています。特注金物の製作は、専門性が高く、発注者が詳細を把握できないため、製作工場への依存度が強く見られます。この結果、製作工場の減少が進む中で新規参入も難しく、十分な供給力を確保するための解決の糸口が掴みづらい状況です」と、代表取締役の木村将之氏は説明する。

2023年度に国土交通省が公表したデータでは、2022年までの10年間に建設コストが約30%上昇している。業界には需給ギャップも生じており、経済産業省の調査によると、同時期に建設需要が約40%上昇する一方、建設部材を供給する金属製品製造業の事業所数は約40%減少している。部材の製造を担う事業者が減少する中で、どのように需給を最適化し、受発注と製造を効率化するかが鍵となっている。

同社の建設部材の調達プラットフォーム「BALLAS」は、設計・購買・製造にまたがるプロセスをデジタル上で統合し、サプライチェーン全体の再構成を目指す基盤だ。建設工事会社から受注を受けると、BALLASが建設部材の詳細図面を作成し、その部材を得意とするパートナー工場に製作を依頼。工場ごとの特性やライン稼働状況を踏まえながら、最適な供給体制を組み上げていく。現在、150社以上のパートナー工場と連携しているという。「商社やメーカーと似て見えることもありますが、私たちは設計・購買プロセスをモジュール化し、建設部材ごとに最適な供給を組み上げることで、マス・カスタマイズ生産を実現している点で異なる」と木村氏は語る。

同社のアプローチは、サプライチェーン全体を再設計することで、多重請負構造による情報分断やコミュニケーションコストの課題を解消することにあるという。

「 従来は、設計・調達・製造が分断され、それぞれが個別に最適化されてきました。その結果、手戻りや情報の行き違いが生じ、コストや品質のばらつきにつながっています」

「私たちは、これらのプロセスを一体で再設計し、建設部材ごとに最適な供給を組み上げる仕組みを構築しています。単に商流を簡素化するのではなく、供給そのものを作り替えている点が特徴です」と木村氏は説明する。

同社によると、部材設計の標準化を通じたマス・カスタマイゼーションにより、製造原価を約30%削減しているほか、詳細図面の整備やコミュニケーションの高度化により、95%以上の良品率を達成しているという。

「BALLAS SCM」が主に供給側向けの向けの基盤であるのに対し、今回正式リリースされた「BALLAS LINKS」は建設工事会社向けに設計・調達プロセスを統合するプロジェクト管理基盤だ。図面や工場への発注書、見積書などの資料を一元的に管理できるほか、部材調達や図面に関するコミュニケーションも同一基盤上で完結するという。さらに、蓄積された作図・購買プロセスデータをもとに、AIによる業務の自動化も進める。

BALLAS LINKSとBALLAS SCM
図面の調整に関するコミュニケーションは、従来メールで行われることが多く、「どこの部分について話しているのか分からない」という状況も生じていたという
図面の調整に関するコミュニケーションは、従来メールで行われることが多く、「どこの部分について話しているのか分からない」という状況も生じていたという

今後の事業領域については、現在取り扱う金属製建設部材を起点に、配管本体を含めたユニット配管など隣接カテゴリへの拡張を進める方針だ。2028年頃までにGMVで約10倍、顧客社数で約3倍の成長を目標とする。国際展開についても、国内パートナーを通じた海外からの部材調達が一部始まっており、将来的な現地販売も視野に入れている。

「持続可能な建設サプライチェーンを実現するうえで、建設の製造業化は重要なテーマだと捉えています。社名の由来でもある『図面バラシ』(図面を細かく分解してデータ化する工程)を起点に、設計、製造、施工にまたがるデータをつなぎ、川下から川上へ建設サプライチェーン全体の最適化に取り組んでいきます。さらに、AIネイティブなワークフローを実現し、人が本質的なものづくりに集中できる環境を整えていきたいと考えています」と、木村氏は意気込む。

街や産業を形作る起点になるのは、工場やオフィスビル等の建築物だ。日本の建設業界全体の自動化や構造的な転換に向け、BALLASがどのように挑んでいくのか、今後の展開が注目される。

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