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半導体は、AIやデータセンター、自動車、通信機器など、現代のデジタル社会を支える基盤技術として位置づけられている。近年は生成AIの普及や高度なデータ処理需要の拡大を背景に、半導体の性能向上や新しい設計技術への関心が一段と高まっている。各国政府による産業支援や大規模投資も相次ぎ、半導体は経済安全保障や産業競争力の観点からも重要な領域となっている。
一方で、半導体の技術開発は高度化・専門化が進んでおり、新材料や新構造、設計技術などの多くは大学や研究機関での基礎研究から生まれている。こうした研究成果を社会実装へとつなぐ担い手として、大学発スタートアップの存在感が高まりつつある。研究者自身が起業し、特定の技術領域に特化した形で事業化を進めるケースも増えてきた。
大学発スタートアップは、大規模な製造設備を必要とする半導体産業の中でも、新材料や半導体基板、電子ビーム装置、センサデバイスなど、半導体を構成する要素技術に特化した形で新しい価値を生み出そうとしている。既存の大手企業や研究機関との連携を通じて、基礎研究と産業応用を結びつける役割も担う。
本記事では、大学の研究成果を起点に半導体分野で新たな技術開発に取り組むスタートアップを紹介する。

半導体デバイスに必要な基盤となる部品を開発・製造する東京大学発のベンチャー企業。 同社は、光より波長の短い電子線を用いて半導体の基板をより小さく均一にする高品質単結晶格子像を実現した部品のほか、デバイスの微細化に対応するために基板を1層ではなく複数で高品質単結晶を可能にする「多能性中間膜」を開発する。 そのほか同社は、電子機器の消費電力を低減させるため、宝石として知られるガーネット材料にナノスケールの傾斜格子歪みを導入し、不揮発性の電気分極と磁気分極を共存させる研究を東京大学と共同で行う。
2026年3月には、シリーズC 1stラウンドで、既存投資家および新規投資家を引受先とした第三者割当増資による総額20億円の資金調達を実施した。これにより、累計資金調達額は約38.5億円となった。
企業HP:https://www.suicte.co.jp/
衛星用のイメージセンサおよびカメラモジュールの開発、設計、販売などを行う、静岡大学発ベンチャー企業。 イメージセンサとは、カメラのレンズから入った光を受け取り、その光を電気信号に変換して画像を記録する半導体デバイスのこと。 同社は、衛星用のイメージセンサおよびカメラモジュールの開発を行う。また、イメ―ジセンサの研究・開発を活かし、企業の要望に応じたイメージセンサの共同研究、開発なども行う。 そのほか同社では、センサチップ、モジュール、評価システム(ソフトウエアを含む)などの製品の販売や、 ハードウエア・ソフトウエアなどのIPライセンス事業なども行う。
2026年2月には、シードラウンドで、クオンタムリープベンチャーズ(QXLV)、インキュベイトファンドを引受先とする資金調達を実施した。また、本ラウンドにあわせて浜松市ファンドサポート事業にも採択され、総額1.4億円の資金調達を完了したと発表した。
企業HP:https://www.patentix.co.jp/
二酸化ゲルマニウムを用いた半導体基板・パワーデバイス「r-GeO₂半導体」の研究・開発を行う立命館大学発のベンチャー企業。 二酸化ゲルマニウムを用いたr-GeO₂半導体は、シリコンやシリコンカーバイド、窒化ガリウムなど従来の半導体材料に比べ、低損失化、高耐圧化、小型化の面で優位性をもつという。 同社は、従来のミスト状にした溶液を用いて結晶を成長させるCVD法とは異なり、同社開発の技術により、安価な原料溶液による二酸化ゲルマニウムの製膜を行う。
2025年10月には、シリーズAラウンドにて、Abies Ventures Fund II投資事業有限責任組合、東レインターナショナル、稲畑産業、NextG 投資事業有限責任組合(ケイエスピー)、アイシン、木村商事などを引受先とした7億1900万円の資金調達を実施した。
企業HP:http://photoelectronsoul.com/
名古屋大学発の電子ビーム企業で、電子ビーム発生装置・素子の研究開発から製造・販売までを担う。半導体フォトカソード技術で半導体に光を照射し、光電効果で電子を取り出して高輝度ビームを生成する。主力は半導体ウェハ検査向け「PES-2020 e-Beam System®」。ショットキー比10倍以上の明るさ、マルチビーム・任意形状ビーム形成に加え、長時間運転でも高い稼働率と出力安定性を特徴に据える。
2025年8月には、芝浦メカトロニクスと半導体フォトカソード型電子ビーム生成システム」の量産・メンテナンスに関する資本業務提携について合意した。両社の緊密な提携により「半導体フォトカソード型電子ビーム生成システム」をより多くの装置メーカー・チップメーカーへ供給することを通じ、従来電子ビームでは実現不可能なソリューションを提供し、半導体産業への貢献を目指す。
企業HP:https://www.koalatech.co.jp/
有機半導体レーザーダイオード(OSLD)技術の実用化を進める九州大学発ベンチャー企業。九州大学「最先端有機光エレクトロニクス研究センター」で実現されたOSLDの商業化を目指し、スマートグラスなどのXRデバイスや医療用ウェアラブルにおける高輝度表示・高精度計測への応用が期待されている。
2024年11月には、シリーズB追加ラウンドとして、既存投資家である九州広域復興支援ファンド、FFGベンチャービジネスパートナーズ、Propagator Ventures AS、新規投資家である京都大学イノベーションキャピタル、ゆうちょ Spiral Regional Innovation Fundなどを引受先とした、合計5.7億円の資金調達を実施した。

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