食品ロス削減に貢献するスタートアップ6選

食品ロス削減に貢献するスタートアップ6選

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KEPPLE編集部

はじめに

本来食べられるにも関わらず廃棄される食品を指す食品ロス。大量の食品ロスが発生することで廃棄物処理に多額のコストがかかり、また、可燃ゴミとして燃やすことによるCO2の排出や消却後の灰の埋め立てなど、環境への影響も懸念されている。この問題は世界的に注目されており、解決が求められている。

農林水産省によると、2021年の食品ロス量は523万トン(前年度比+1万トン)、うち食品関連事業者から発生する事業系食品ロス量は279万トン(前年度比+4万トン)、家庭から発生する家庭系食品ロス量は244万トン(前年度比-3万トン)となり、特に事業者による量が増加傾向にある。事業者や消費者、地方公共団体、関係省庁とも連携し、より一層の食品ロス削減のための取り組みを進めている。

また、2021年の世界の食品廃棄物管理市場は、約380億2000万ドルと評価され、2029年に579億1000万ドルに達する見込みと予測されている。

今後も、SDGsに掲げられた持続可能な開発目標への取り組みが強化され、持続可能性と環境への配慮が高まるにつれて、食品廃棄物管理に関する需要はますます増加すると予測される。

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スタートアップ6選

ASTRA FOOD PLAN株式会社

過熱水蒸気で食材を乾燥・殺菌できる装置「過熱蒸煎機」を開発・販売する。同社が提供する過熱蒸煎機は、独自に開発した食品ざんさの再生装置だ。食品製造の工程で生じる野菜の端材類などを、高付加価値パウダー「ぐるりこⓒ」へアップサイクルする。食品の乾燥と殺菌を同時に行うことで、風味の劣化や酸化、栄養価の減少を抑える。

2023年9月には、シリーズAラウンドにて、PE&HR、アグリビジネス投資育成、三菱UFJキャピタル、IDATEN Venturesを引受先とした第三者割当増資により、2.2億円の資金調達を実施した。2024年2月から、吉野家ホールディングスが過熱蒸煎機の本格導入をすることが決定した。

企業HP:https://www.astra-fp.com/

株式会社コークッキング

イベント・ワークショップ事業、パターン・ランゲージ制作事業、フードシェアリング事業「TABETE」を開発・運営する。TABETEは、閉店間際など、まだおいしく安全に食べられるにもかかわらず廃棄の危機に面している食事を食べ手とつなぐプラットフォームで、食べ物を最後まで売り切ることを応援する。閉店時間やランチタイムの終わり、商品の入れ替え時間などロスが発生しそうになったら、その内容をサイトに掲載し、それを見たユーザーが買いに行く仕組みになっている。

2022年1月には、シリーズAラウンドにて、KIBOW社会投資ファンド、SMBCベンチャーキャピタル、山口キャピタル、のとSDGsファンドを引受先とした第三者割当増資による1.1億円の資金調達を発表。2023年6月には、USEN-NEXT HOLDINGSと、持続可能な食の未来の実現に向けて営業連携を実施した。

株式会社クラダシ

ショッピングサイト「Kuradashi」を運営する。Kuradashiは、まだ食べられるにもかかわらず捨てられてしまう可能性のある食品などを、お得に販売するサービス。フードロス削減への賛同メーカーより協賛価格で提供を受けた商品を最大97%OFFで販売し、売り上げの一部を社会貢献活動団体へと寄付する取り組みも行っている。

2022年7月には、新生企業投資が運営するファンド、HAKUHODO DY FUTURE DESIGN FUND、ロート製薬、池森ベンチャーサポート、SGインキュベートが運営するCVCファンドを引受先とした第三者割当増資による6.5億円の資金調達を実施した

ZERO株式会社

フードロス問題に取り組む企業や団体向けに食品の無人販売サービス「fuubo」を提供する。fuuboは、小売店舗への納品期限などさまざまな理由で廃棄されてしまう商品を、無人販売機で定価の3割から9割引で販売する。ユーザーは自分の好きなタイミングでウェブ上で購入手続きを行い、商品の賞味期限が切れるまでにfuuboの無人販売機へ受け取りに行くシステム。駅や商業施設、自治体や福利厚生を目的としたオフィスなどへの導入実績を持つ。

2022年6月には、エンジェルラウンドにて、個人投資家を引受先とする1億円の資金調達を実施した。2023年9月には、三菱HCキャピタルとの資本業務提携を発表。

株式会社ロスゼロ

フードロス削減事業「ロスゼロ」を展開。ロスゼロは、カンボジアの子どもたちへの教育支援・若者の就業支援と、日本のフードロス削減の2つのミッションを同時に実現するためのプロジェクト。規格外品や製造余剰品、賞味期限が残り1ヵ月程度になった “食するに何ら問題がなく味が変わらないもの” を、消費者や企業につなげ、売り上げの一部を使用してカンボジアの学校に文房具とトイレを寄贈した実績がある。

2022年10月には、フューチャーベンチャーキャピタル、ABCドリームベンチャーズ、日本スタートアップ支援協会、個人投資家を引受先とする第三者割当増資による資金調達を実施。2023年9月には、環境省と消費者庁が主催する「令和5年度 食品ロス削減推進表彰」の「審査委員会 委員長賞」を受賞した。

デイブレイク株式会社

食品業者への特殊冷凍テクノロジー導入支援サービスおよび、消費者向けフローズンフルーツサービス「HENOHENO」を提供している。HENOHENOは、規格外などの理由で廃棄される果物を、冷凍テクノロジーでフローズンフルーツに作り変え、オフィスに届けるサービスだ。素材はすべて純国産・無添加の果実で、独自の冷凍技術によって食べやすい食感やフレッシュな風味・甘味となっている。

また、特殊冷凍機「アートロックフリーザー」は、デイブレイクが9年にわたり研究した食材データと顧客の声を元に独自に開発した特殊冷凍機であり、2021年10月発売後およそ1年半で400社以上が導入した。

2023年7月にはシリーズBラウンドにて、第三者割当増資と融資による総額20億円の資金調達を実施した。2023年9月には、POPLABと共同開発した新感覚のフローズンフルーツ「4種の国産フルーツミックス」が、JALの羽田発ニューヨーク行き機内サービスとして採用された。

おわりに

環境問題への懸念から、食品ロス削減への取り組みは一層加速していく必要がある。事業会社との提携により事業拡大を進めるスタートアップには今後も注目が集まりそうだ。

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参考:
農林水産省 「~食品ロス量(令和3年度推計値)を公表~

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