注目が続くローコード / ノーコード市場
アプリ開発に取り組む場合、相応の金銭的・時間的コストが必要だ。しかしながら近年、ソースコードをまったく記述することなく、Web/スマホアプリを短期間・低コストで開発することができる「NoCode(ノーコード)」と呼ばれる開発手法が大きな注目を集めている。アプリ開発会社に開発を依頼した場合、3~6カ月の開発期間を要するケースが多いが、NoCode開発ツールを活用した場合、たった2週間前後でアプリが完成するケースもあるという。
2022年度の国内のローコード / ノーコード開発市場は前年度比16.0%の709億4000万円の大幅増となった。今後も2桁成長が継続し、2025年度には1000億円規模に達すると予想されている。
ノーコード開発ツールを提供するスタートアップには、短期間・低コストでの開発が可能な点から、中小企業や個人事業主の需要が高まっている。プログラミング不要で使える利便性から、デジタル化の推進においても注目され、今後はさらに機能強化や市場拡大が期待される。
スタートアップ5選
テイラー株式会社
大手企業向け基幹業務システム開発プラットフォーム「Tailor Platform(テイラープラットフォーム)」を開発・提供している。
同サービスは、企業が自社にマッチする基幹業務システムをローコードで構築できるため、個別にカスタマイズが必要な部分だけを開発することができ、システムのブラックボックス化防止や、現場のニーズに合わせたツールのアップデートを図ることが可能だ。
2022年の9月には、シードラウンドにて、グローバル・ブレイン、Y Combinatorを引受先とした5.7億円の資金調達を実施した。2024年5月には日本市場の拡大に伴い、Tailor Japanを設立。同年7月に日本市場向けに新たな基盤ソリューション展開プログラム「Rapid Foundation Rollout(RFR)」を発表した。従来よりも迅速に実働システムを提供できるようになる。
STUDIO株式会社
Web デザインツール「STUDIO」を開発・運営している。同サービスは、コードを書かずに Web サイトのデザイン・公開・運用まで完結する。作成した画面は、瞬時にコードに変換されてそのまま公開でき、ユーザーが何を作るか、誰に対して提供するか、それをどう実現・制作していくかなどの設計に注力できるようにしている。2024年7月時点で官公庁や上場企業、スタートアップなどに利用されており、公開サイト数は10万サイト、ユーザー数は約50万人となっている。
2021年12月には、シリーズAラウンドにてD4V、One Capitalを引受先とした3.5億円の資金調達を実施した。
株式会社ペライチ
ホームページ作成ができるWebサービス「ペライチ」を開発・運営する。個人事業主や中小企業を顧客にサービスを展開しており、テンプレートを選ぶ・内容を作る・公開ボタンを押す、この3ステップだけでホームページが作成・公開できる。 利用者が別の利用者の仕事をサポートする47都道府県サポーター制度があり、ユーザー同士のエコシステムを構築している。
2023年4月には、SMBCキャピタル・パートナーズを引受先とした5億円の資金調達を実施した。2024年3月には、ペライチに、プログラミングの知識やスキルがない方でも直感的な操作によってアプリを作成できるノーコードアプリ作成ツールを追加した。2024年5月には、ベトナム現地法人「PERAICHI VIETNAM COMPANY CO., LTD.」を設立し、さらなる機能やプロダクトの開発を推進する。
ジオ・マーク株式会社
ノーコードマップ作成ツール「MAP ENGINE」や、地図型NFT販売プラットフォーム「Connect Quest」などの開発・運営を行う。MAP ENGINEは、デジタルマップの作成管理からアクセス解析までを一貫してPCブラウザーで作成することが可能。Connect Questは、街に設置された二次元コードやGPSによって地域限定のNFTを購入することができる。地域の魅力を持続可能な収益化スポットとして活用することができる。
2024年5月には地図上にDX化されたバス路線図を表示できる「SUPER路線図」を発表した。
テープス株式会社
企業HP:https://teps.io/
EC業務に特化したノーコードツール「TēPs(テープス)」を運営する。同サービスは固有の機能を持つブロックを直感的に組み合わせることで、業務を自動化するツールをノーコードで作成できる。細かい条件処理や、様々なECサービスとの連携が可能で、難易度の高い業務を簡素化することができる。
2024年2月には、プレシリーズAラウンドにて、横浜キャピタル、New Commerce Explosionのを引受先とした第三者割当増資と、横浜銀行からの融資による累計1.3億円の資金を調達を実施した。
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※ITR 「ローコード/ノーコード開発市場2024」