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船の自動運転技術を手がける株式会社エイトノットは、自社の自律航行プラットフォーム「エイトノット AI CAPTAIN」を搭載した自動航行船による試験運航を、広島県の離島地域で再び実施する。また、同プラットフォームの北米展開を見据え、米電動推進機スタートアップE-Force Marine Inc.(米フロリダ州)との共同実証も開始した。
エイトノットは2025年7月25日から10月20日まで、大崎上島町と竹原市を結ぶ航路にて、夜間・早朝の旅客輸送および離島への物流サービスの運航試験を実施する。同様の試みは今年1月から3月にも行われており、利用者の満足度は約7割、本格導入の意向も8割と高い評価を得た。今回の試験では、フェリーの運航時間外における住民の移動手段の確保に加え、生協と連携した離島への宅配サービス拡大も狙う。
使用される「スマート海上バス ゆき姫」は、同社が開発した自律航行プラットフォーム「エイトノット AI CAPTAIN」を搭載しており、GPSや高精度センサー、カメラなどの情報をもとに、AIが自動で最適な航路を選定する。離岸・着岸、障害物回避、速度制御なども自動化されており、操船に関わる負担を軽減できる。将来的には、定期航路や観光航路、貨物輸送、災害時の緊急運搬など、さまざまな用途への展開も見込まれている。
さらにエイトノットは、北米展開に向けた実証として、E-Force Marineが保有する電動ボートにAI CAPTAINを搭載し、米国フロリダ州で性能評価を開始した。両社は共同で稼働データの収集やユーザー体験の検証を行い、次世代海洋モビリティの実現を目指す。
エイトノットは2021年3月設立。小型船舶向けの自律航行システムを開発・販売し、現在は日本国内各地で導入が進んでいる。2027年には北米市場への進出も計画中で、今回の実証はその第一歩となる。代表の木村裕人氏は、カリフォルニア州立大学卒業後、Apple Japanやデアゴスティーニ・ジャパン、バルミューダなどでロボティクスや新規事業を担当した経験を持ち、海洋分野に関心を深めた経緯から創業に至った。
一方のE-Force Marineは、内燃機関の電動化を可能にする推進システム「Aurora E-Drive」などを開発し、船舶の脱炭素化を目指すスタートアップである。今回の協業は、環境負荷の少ない海上交通の構築に向けた新たなパートナーシップ形成の契機ともなっている。
今後、エイトノットは国内外の自治体や事業者との連携を広げ、持続可能な水上モビリティの社会実装を加速させる方針だ。
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