建築工事の遠隔施工管理向けクラウド型AIサービス「zenshot(ゼンショット)」を提供する株式会社SoftRoidがシードラウンドにて、第三者割当増資による1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。また、これまでベータ版として展開していたzenshotの正式リリースも合わせて発表した。
今回のラウンドでの引受先は、インキュベイトファンド。
調達した資金は、人材採用による組織強化やシステム開発、特許出願、販促・広告費などに充て、zenshotの展開の加速につなげていくという。
画像解析技術で実現した360度現場ビューの自動生成
画像解析技術に強みを持つSoftRoidが提供するzenshotは、主に建設施工管理を行う企業向けのサービスである。カメラを持って建築現場を歩くだけで画像処理AIが360度現場ビューを自動で作成する。
zenshot は三つの特長により、誰でも準備なしで撮影することができる。一点目は、現場に機材を設置するため、アプリのインストール等の事前準備もなく使用できる。二点目は、機器に備え付けたスマホから音声案内・説明動画が流れるため、事前説明なしで撮影を行える。三点目は撮影後、機材から自動でクラウドにデータがアップロードされるため、データの取り込み作業が不要となる。
建設・建築現場の施工管理においては、現地での現物確認が重要視されるが、現場監督が常駐しない工務店の建築現場では、その「現地現物主義」が課題となっている。
工務店が請け負う新築戸建てやリフォーム、内装工事では、現場監督ひとりあたり5〜10件を担当する。移動時間の負担や複数案件の管理コストは大きく、毎日現場の状況を確認できないため、情報の蓄積やアップデートも難しい。
また、現場監督の技量に施工品質が依存するため、企業として一定水準の品質を維持することも経営者の課題とされる。現場担当者などが撮影した部分的な工事写真しか記録が残っていない場合は、やはり現場監督の現地訪問による確認が必要となる。
zenshotは、カメラを持って建築現場を歩くだけで360度ビューを自動作成できるので、部分的に撮影した画像しか残せなかった従来の方法と比較すると、手間とコストの大きな削減につながるという。
歩くだけで現場全体を記録できることから、職人や経験の浅い担当者が撮影した画像を現場監督が遠隔でクオリティチェックできるほか、新人現場監督の教育や施主への進捗状況の共有にも役立てることができる。
2021年のベータ版リリース以降、すでに大手デベロッパーから工務店まで、多くの建築事業者様に幅広く導入されているという。
今回の資金調達に際して、CEOの野﨑大幹氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。
肌で感じた建設現場の課題から、施工管理の効率化を目指す
―― 「zenshot」を始めようと思ったきっかけを教えてください。
野﨑氏:私たちは東京大学や慶応義塾大学で画像解析、AI、ロボットなどの研究開発をするメンバーが集まったチームです。東京大学の起業支援プログラム「FoundX」に採択いただいてから、私たちの技術がどういったところに生かせるか考えていく中で、建設業界が抱える課題の大きさと解決の必要性に気づきました。
それからすぐ、私の地元である香川県の建設会社に問い合わせて、3ヶ月間現場監督見習いとして働かせてもらいました。建設現場は、2020年代にもかかわらず非常にアナログであることに衝撃を受けました。現場の困りごとを肌で感じ、自分たちが培った画像解析やAI技術が何らかのお役に立てると確信したことが、このサービスを作る原点になっています。
自分たちと同じ「ものづくり」でも大型工事に携わる方々に畏敬の念を感じながら、今の時代に沿うように改善できないかと考え、2020年7月にSoftRoidを設立しました。
―― 今後の長期的な展望を教えてください。
zenshotの展開を加速させると同時に、全現場の全工程で蓄積されたデータを使った、施工管理のさらなる効率化や自動化を可能にするデータ分析基盤の構築、また、3D画像解析技術の精度向上に注力していきたいと考えています。すでに出願済みの複数の特許の国際出願にも取り組んでいきます。
開発組織を拡大し、さらなる成長へ
ここから採用をさらに進めていきたいと考えています。今後、建設工事における現場管理の効率化を目指し、蓄積された画像データの解析、画像処理技術の精度向上と、さらなる業務改革に繋がる開発を進めていきます。フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニアをはじめ、積極的に採用しております。ぜひ一緒に事業拡大に取り組んでいただける方にご応募いただけたら嬉しいです。
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株式会社SoftRoid
株式会社SoftRoidは、画像解析技術に強みを持ち、主に建設施工管理を行う企業向けのサービス『zenshot(ゼンショット)』を開発・提供する企業。zenshotは、カメラを持って建築現場を歩くだけで画像処理AIが360度現場ビューを自動で作成することができ、建設・建築現場の施工管理を遠隔で行うことが可能となる。 同社は、東京大学が運営する起業支援機関FoundXの「Founders Program」、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社の「第3回 1stRound」、国土交通省 関東地方整備局が公募する「建設現場における無人化・省人化技術の開発・導入・活用に関するプロジェクト」などに採択されており、事業支援を受ける。
代表者名 | 野崎大幹 |
設立日 | 2020年7月21日 |
住所 | 東京都千代田区大手町2丁目7番1号TOKIWAブリッジB2階 |