株式会社ランプ

飲食店やスイーツ店向けにテイクアウト注文の受付・管理を行うSaaS「テイクイーツ」を展開する株式会社ランプは、DNX Venturesおよび三井住友海上キャピタルを引受先とした第三者割当増資により、総額7億円の資金調達を実施した。これにより累計調達額は10億円を超える。今回の資金はサービスの機能強化や組織体制の拡充に充てられる予定だ。
ランプは2017年に設立されたスタートアップで、地域飲食店の業務デジタル化を支援する事業を進めている。主力サービスの「テイクイーツ」は、店舗ごとにカスタマイズ可能なオンライン注文サイトを提供し、紙や電話による受注、現金会計などのアナログ業務を減らすことを目的としている。利用者は事前予約やキャッシュレス決済が可能になり、店舗側の業務効率化と顧客体験の向上の両立を目指している。
サービス開始以降、全国2500店舗超で導入され、累計注文件数は60万件(2025年3月時点)に到達した。顧客は、キルフェボン、ねんりん家、東京ばな奈ワールドなどの有名ブランドから、地域密着型の個人店舗まで多岐にわたる。こうした導入実績は、サービスの実用性と市場ニーズの存在を示している。
代表取締役CEOは河野匠氏。河野氏は2011年、大学在学中にファッション通販サイトを立ち上げたことをきっかけに起業の道へ進む。EC事業で培ったマーケティングノウハウをもとに、ランプを創業。以来、200社以上のWebマーケティング支援を手がけるとともに、京都府庁主催のセミナーや上場企業の社内研修で講師を務めるなど、実践知を活かした発信・教育活動も行ってきた。
外食・小売業界では、国内で約7.7兆円規模(富士経済調べ)のテイクアウト市場が形成されている。一方で、慢性的な人手不足や生産性の伸び悩み、原材料コストの上昇といった構造的な課題が残る。現場では電話や紙による受注、現金精算といった非効率な業務が根強く残り、トラブルや業務負担の原因となっている。特に地方では、システム導入コストやITリテラシーの問題から、業務のデジタル化が遅れがちであることが指摘されている。
競合環境には、Picksなどが同様の飲食店向け注文管理SaaSを提供しており、また大手POSベンダーも総合型オーダーシステムの展開を進めている。各社は注文効率化やデータ活用、店舗の負荷軽減を訴求しているが、市場シェアは依然として流動的な状況にある。
今回の資金調達で、テイクイーツの機能拡張やユーザー獲得に向けた営業体制の強化、人材採用や組織開発を推進する計画だ。今後は、蓄積した店舗データや運営ノウハウを活用し、さらなる価値提供の向上を目指す方針だ。また、利用データを分析したリピーター販促や、業務最適化ソリューションの高度化にも取り組むとしている。
以上のように、今回の資金調達を通じて、テイクアウト市場における業務デジタル化の推進とサービス提供範囲の拡大を目指す構えである。