ユートニックが、シリーズAラウンドで総額5.2億円を調達ーークリエイター向けFintechサービスの展開へ

ユートニックが、シリーズAラウンドで総額5.2億円を調達ーークリエイター向けFintechサービスの展開へ

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アーティストやクリエイターとファンの関係性を深めるデジタルプラットフォーム事業を展開する株式会社ユートニックが、千葉道場ファンド、博報堂DYベンチャーズ、 GOLDEN EGG Ventures、i-nest capital、トライコーン、アミューズ、カヤックを引受先とするシリーズAラウンドにおいて、総額5.2億円の第三者割当増資およびデットファイナンスを実施した。これにより累計調達額は8.5億円となった。

ユートニックは2018年7月に設立され、主力サービスとして「UDom(ユーダム)」を展開している。UDomは、アーティストやクリエイター向けにファンクラブ運営、電子チケット発行、EC、グッズ販売、ライブ配信、デジタルグッズ、コミュニティ形成など、ファンビジネスに必要な機能をワンストップで提供するプラットフォームである。2023年に正式リリースされたUDomは、サービス開始から約2年で登録ユーザー数が30万人を超え、アーティストへの累計還元額は10億円を突破している。これにより、同サービスは一定の市場浸透を果たしている。

ファンの嗜好や消費動向が多様化するなか、ユートニックはテクノロジーを活用した運営管理を強化している。アーティストごとにECの開設やコンテンツ流通、ファンとの直接的な資金循環を可能にすることで、アーティストやクリエイターの収益性向上や活動の持続性に寄与している。

同社の代表は常田俊太郎氏と今井祐輝氏の共同体制。常田氏は創業時より経営および事業戦略全般を担当し、大手戦略系コンサルティングファームでプロジェクトマネジメントなどの経験を持つ。また、ストリングスプレイヤーとしての活動歴もあり、自身や周囲のアーティストが直面する収益性や創作活動の持続可能性といった課題を体感してきたという。今井氏はプロダクト開発を統括し、主にベンチャー企業でシステム受託や新規プロダクトの開発責任者を経験。学生時代から音楽フェス運営やバンド活動にも関わってきた。

ファンダムビジネスが業界で注目を集めている背景には、CDなどパッケージ販売による従来型収益モデルの縮小と、デジタル技術を活用した新たなファンコミュニケーションの拡大がある。また、音楽配信市場は世界的にも成長している。加えて、音楽・アート関連のプロモーション、ファンクラブEC、ライブ配信、グッズ・デジタルトレカ販売など、多層的なビジネスモデルが業界全体で広がりつつある。

この分野にはSKIYAKI(Fanpla)、Fanicon、bitfan(THECOO)などが競合として存在する。各社は機能の拡張性やユーザーデータの一元管理、アーティストとファン双方の利便性といった点で独自色を打ち出している。ユートニックでは、個々のファンアクション(チケット購入、EC利用、コミュニティ参加など)を横断的に管理し、マーケティングや収益分析に活用する体制を構築。これにより、スーパーファン向けの1to1アプローチや個別最適化されたプロモーション施策を実現している点が特徴だ。

今回調達した資金は、UDomの統合プロダクト化推進に充てられる予定である。特に、ファンデータを基盤としたマーケティング機能の拡張や、収益予測・信用スコアなどのFintechソリューション開発を進め、アーティストやクリエイターの資金調達手段を広げる計画である。ファイナンス支援の導入は、資金面から創作活動を下支えし、ファンエンゲージメントの深化およびアーティストの活動継続や生活基盤の強化につなげる狙いがあるとユートニックは説明している。

ユートニックは今後、統合型プラットフォームの多機能化や金融機能の拡充を進める方針であり、ファン経済圏の活性化および国内外アーティスト・クリエイターの多様な活動の持続性を支える基盤づくりを模索している。音楽・アート分野におけるデジタル化と収益構造の変化を背景に、同社の動向が業界関係者から注目されている。

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