藻類研究のアルガルバイオ、再生可能資源で循環型社会の実現へ

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KEPPLE編集部

藻類開発プラットフォームを構築する株式会社アルガルバイオがシリーズBラウンドにて、第三者割当増資による9.4億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、京都大学イノベーションキャピタル、Abies Ventures、大陽日酸、伊藤忠商事、常陽キャピタルパートナーズ、きらぼしキャピタルの6社。

今回の調達資金は、研究組織の拡大やプラント建設などの設備投資に充て、再生可能資源である藻類が社会インフラとなる循環型社会の実現を目指す。

ニーズから最適な藻類を探索し製品化

同社は、健康・食糧・環境といった産業領域の事業会社向けに、最適な技術を提供するバイオファウンダリー(※)型の藻類開発プラットフォームを構築している。
企業が藻類由来の新製品やソリューション開発する際に、プラットフォーム上で約500株以上の中から最適な藻類種を選出する。そして培養製法などを研究開発して、製品化に必要な技術を提供する。藻類は CO2 を活用して有用成分をつくるため、再生可能資源として脱炭素社会の実現にも効果的だ。

これまで藻類を利用した商品開発は、特定の種類を選びニーズを探求するプロダクトアウト型が主流だった。同社のビジネスモデルは、顧客や市場のニーズから最適な藻類を探索し、製品化していくマーケットイン型であるのが特徴だ。

(※)バイオファウンダリー:バイオ技術とデジタル技術を組み合わせ、物質を効率よく大量生産する仕組み。


今回の資金調達と合わせて、資本業務提携を発表した産業ガス最大手の大陽日酸をはじめ、さまざまな領域の事業会社との共同研究が進んでいるという。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 木村 周氏(写真中央)に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

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藻類の産業利用を広げるために起業

―― アルガルバイオ創業の背景を教えてください。

木村氏:元々創業者の竹下が東京大学で藻類の研究をしており、藻類の産業利用を広げたいとの思いでアルガルバイオを立ち上げました。在学中から企業と産業化に向けた開発や応用研究を進めていましたが、制約も多くなかなか上手くいかなかったんです。そこで、スタートアップとして創業に至りました。

近年循環型社会への移行が求められる中、藻類は再生可能資源として石油や天然ガスに代わるインフラになる可能性があります。また、コロナ禍を経てウェルビーイングに対する意識が高まっており、研究開発で睡眠効果などが立証された藻類は人気があります。サステナビリティや脱炭素という観点からも藻類への注目が高まっています。

―― 今回の資金調達を経て、足元の事業拡大の方針について教えてください

調達した資金は、研究組織の拡大と設備投資に充てます。事業会社との共同開発を進める研究者の採用に注力し、新規顧客の獲得につなげます。また、設備投資では自社で持つ開発施設を拡大します。現在は実験段階から培養プロセス開発を行うパイロットプラントまでを自社で持っています。今後は商業化準備を行えるデモプラントを建設する予定です。これにより、技術実証をお客様にもご覧いただける体制が整います。

パートナーシップでCO2を大幅削減し、循環型社会を実現

―― 大陽日酸との資本業務提携ではどのような取り組みを目指していますか。

今回の資本業務提携により、藻類による CO2 有効利用技術をさらに進化させます。大陽日酸が保有する産業ガス関連技術と当社の藻類関連技術の組み合わせで、CO2を大幅削減し、バイオマスを大量製造することができます。さまざまな産業用途に藻類を応用し、脱炭素の取り組みを加速させます。循環型社会を着実かつスピーディに進められるので、今回パートナーシップを組めたことが我々の自信になっています。

藻類が社会のインフラになる世界を目指して

―― 今後の展望を教えてください。

長期的には、藻類が生活や社会のインフラとなる世界を作っていきます。現在は石油や天然ガス由来の製品が私たちの生活を支えていますが、そこに代わる存在として藻類を提案していきたいです。そのため、まずは事業性が担保できる技術水準である健康領域に進出します。中期的には食糧、10年、20年後にはバイオプラスチックやバイオ燃料に藻類を活用することを目指します。

株式会社アルガルバイオ

株式会社アルガルバイオは、東京大学発の、藻類を研究開発するバイオベンチャー。 長鎖不飽和脂肪酸やカロテノイドなどの機能性成分を持つ藻類を効率的に生産し、食品、医療、燃料などさまざまな分野への応用を行っている。また、開発した多様なクロレラの機能性について明らかにし、天然色素、カラフルな食品原料・健康補助食品としての利用など、用途拡大と普及に貢献することを目指す。 藻類バイオ事業への参入を検討する企業などへの活動サポートといったコンサルティング事業のほか、受託生産も手がけており、微細藻類数千株以上のライブラリーから、顧客の要望にあった藻体を厳選し、生産・提供している。

代表者名木村周
設立日2018年3月1日
住所千葉県柏市柏の葉5丁目4番6号
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