プライバシーテックが7400万円を調達ーーガバナンスAIの実装とローンチに向けた準備を加速

プライバシーテックが7400万円を調達ーーガバナンスAIの実装とローンチに向けた準備を加速

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企業のAIシステム開発やデータ活用に関連する社内監査の自動化を目指す株式会社プライバシーテックは、デライト・ベンチャーズおよびLAUNCHPAD FUND2号投資事業有限責任組合を引受先とするJ-KISS型新株予約権の発行により、総額7400万円の資金調達を実施した。

プライバシーテックは2022年1月設立。主に企業のAI導入やデータ活用におけるプライバシーリスク対応、コンプライアンス遵守のための監査AIの開発を手掛けている。開発中の「PrivacyTech GRoW-VA」は、AI開発やパーソナルデータ活用に伴うガバナンス、プライバシー面のリスク検出と対応策策定を支援するAIエージェントだ。法令やガイドライン、専門書籍などの知識を集約した「Knowledge Hub」を活用し、社内規程や独自監査項目へのカスタマイズにも対応する。スポット監査だけでなく、継続的な監査運用や、個人情報管理台帳、DPIA(データ保護影響評価)レポートなどの帳票自動作成機能を備えている。

これまでに大手企業への先行導入実績があり、社内規程や独自要件に合わせたカスタマイズ性、監査記録のレポート自動化機能などが特徴だ。

代表取締役は山下大介氏。山下氏は、IT系スタートアップで事業開発に従事後、通信キャリアを経てリクルートに転職。位置情報データ事業のグロース責任者やDPO(データプライバシーオフィサー)を歴任し、全社データガバナンス部門では「プライバシーセンター」の立ち上げや社内啓発制度の構築を担当。2022年1月、プライバシーテックを創業した。

近年、AIとデータ利活用の拡大に伴い、企業にはガバナンス体制の強化が求められている。欧州連合(EU)によるAI規則(AI Act)や米国でのAI倫理規制など、国際的な規制強化の流れが続く。日本でも経済産業省や総務省がプライバシー保護や個人情報管理に関するガイドラインを強化している。

多くの企業が個人データを活用したプロジェクトに取り組む一方で、プライバシーリスクの管理体制や専門人材の確保、監査制度の整備といった点で課題を抱えるケースが少なくない。個人情報の取り扱いに対する社会的関心が高まる中で、こうしたガバナンスの不備が新規事業の制約要因になるリスクも顕在化している。公平で信頼性のあるデータ利活用体制の整備は、今後ますます企業成長に直結する重要なテーマとなっている。

市場環境を見ると、米国や欧州を中心にAIガバナンスやプライバシー関連のプロダクトが相次いで登場している。海外ではOneTrust、BigID、Privaなどが競合として挙げられ、日本国内でもAcompanyやAutoPrivacyなどが同領域でサービスを展開している。規制強化への対応や、監査の効率化・高精度化へのニーズは今後も拡大する見通しだ。

今回調達した資金はPrivacyTech GRoW-VAの機能強化のほか、ナレッジベースの拡大やパートナーシップ構築などにも活用する計画である。また、製品の正式リリースに向け、実際の業務環境で評価とフィードバックを得るため、限定4社のローンチパートナーも募集中だ。

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