LegalOn Technologies、OpenAIとの連携および71億円超の資金調達でリーガルAI事業を拡大

LegalOn Technologies、OpenAIとの連携および71億円超の資金調達でリーガルAI事業を拡大

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AIを活用した法務支援サービスを手掛ける株式会社LegalOn Technologiesは2025年7月24日、OpenAIとの戦略的連携を発表した。また、ゴールドマン・サックスなどを引受先とするシリーズEラウンドで約71.4億円の資金調達を実施し、創業以来の累計調達額は約286億円となった。

LegalOn Technologiesは2017年創業。設立当初からAIによる契約書レビューツールやナレッジ管理ソリューションの開発・提供に取り組んできた。2019年にAI契約審査プラットフォーム「LegalForce」を、続いて締結済み契約書の管理サービス「LegalForceキャビネ」をリリース。2025年4月には両サービスを統合し、「LegalOn: World Leading Legal AI」(旧・LegalOn Cloud)としてグローバル展開を開始した。2025年3月末時点で、国内外7000社以上、国内上場企業の4社に1社が導入しているとされる。

代表取締役CEOは角田望氏。森・濱田松本法律事務所出身の弁護士で、2017年の創業者でもある。角田氏は法務現場での実務経験を生かし、AI技術と法務知見の融合を推進してきた。執行役員CPOの谷口昌仁氏は経済産業省を経てIT・Web業界で新規事業開発や経営に携わってきた経験を持つ。法務経験者とエンジニアから成る法務開発部門が現場の課題を反映したプロダクト開発を進めており、組織体制としても法務とテクノロジー双方の知見を強化している。

リーガルテック業界では近年、AIを活用した契約書レビュー、電子契約、ナレッジ管理などのデジタル化が進んでいる。少子高齢化による労働人口減少を背景に、AIやクラウドを使った業務効率化やリスク管理のニーズが拡大。矢野経済研究所の調査では、2023年の国内リーガルテック市場規模は約350億円で、今後も年平均8%程度の成長が見込まれる。電子契約の導入率は増加傾向にあり、大企業を中心にデジタル化が加速しているという。海外市場でもFuture Market Insightsのレポートによれば、今後10年で世界のリーガルテック市場は2倍以上に拡大する見通しであり、日本のリーガルテック企業も積極的なグローバル展開を進めている。

LegalOn TechnologiesはAI契約審査やナレッジ管理機能を包括したプラットフォームを国内外で展開し、競合との差別化を図ってきた。米国市場を含む国際展開や、法務現場の知見を反映したプロダクト開発を強みとする。契約審査・保存・検索・ナレッジマネジメントなど幅広い機能を提供し、経営判断のサポート機能も拡充。競合にはContractS CLM(ContractS)、Hubble、MNTSQなどがあるが、法務実務家の監修による精度やナレッジ基盤の厚みを特徴としている。

今回発表されたOpenAIとの連携は、LegalOn Technologiesが保有する法務向けデータとOpenAIの生成AIモデル(GPT-4oなど)を組み合わせることで、契約書レビューや法務相談の自動化・精度向上を目指すもの。8月にはAIアシスタント「LegalOnアシスタント」にAIエージェント機能を追加し、弁護士監修のコンテンツや企業独自のナレッジ、外部リソースと連携した業務自動化を進める予定だ。営業プロセスにおいても、AIアシスタント「Sela」を自社で開発・導入し、顧客対応や提案プロセスの効率化を図っている。

シリーズEラウンドの資金調達には、ゴールドマン・サックス、WiL、森・濱田松本法律事務所が参加した。加えて、みずほ銀行や商工組合中央金庫と連携し、優先株式によるメザニンファイナンスなど希薄化負担を抑えた資本政策も取り入れている。調達資金はリーガルAIの研究開発、AI人材の採用、米国・アジア太平洋地域でのグローバル展開強化、社内プロセスのAI化などに充てる計画である。

リーガルテック業界では、契約審査や管理など単一業務の自動化から、法務・コーポレート部門全体をカバーするAIプラットフォームへの需要が高まっている。AIを活用した知見の集約やコンプライアンス強化といった課題への対応も求められており、LegalOn Technologiesはこうした市場動向を踏まえ、非連続な成長を目指すと述べている。

今回の資金調達とOpenAIとの協業を通じて、LegalOn Technologiesは国内外の法務・コーポレート業務のデジタル化および自動化を一段と進める方針である。生成AIやエージェント技術の活用、独自ナレッジの集約がリーガルテック領域での競争力強化に直結する状況が続いている。

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