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急成長のアスエネが7億円調達、アジアNo.1のクライメートテック企業を目指す

アスエネ株式会社は2025年6月12日、ダイキン工業株式会社との戦略的資本業務提携を発表した。これに伴い、シリーズC2ラウンドセカンドクローズとして第三者割当増資を実施。ダイキンを引受先とし、累計調達額は106億円に達した。今後は、北米および日本市場での脱炭素・省エネソリューションの共同展開を加速させる。
アスエネは「次世代によりよい世界を」をミッションに、企業の脱炭素経営を支援するクライメートテック企業である。CO2排出量見える化クラウド「ASUENE」は2024年8月時点で導入企業9000社を突破し、国内トップの実績を誇る。ESG評価クラウド「ASUENE ESG」では約1万社を対象に評価を提供。さらに、SBIホールディングスとの合弁によるカーボンクレジット取引所「Carbon EX」、転職支援「ASUENE CAREER」、第三者検証サービス「アスエネヴェリタス」なども展開している。
代表取締役CEOの西和田浩平氏は、三井物産で再生可能エネルギー事業のM&Aや投資を11年経験した後、2019年にアスエネを創業。2021年にはForbes Japan Rising Star Awardを受賞している。
日本では、カーボンニュートラル政策の進展に伴い、GHG(温室効果ガス)排出量の可視化ニーズが拡大。特にScope1〜3の算定と開示が求められ、専門ソリューションの重要性が増している。
今回の提携は、単なる資本参加にとどまらず、両社の強みを融合した一体型ソリューションの提供を目指すものだ。ASUENEによるCO2排出量の可視化・報告と、ダイキンの空調・ビルマネジメント領域での省エネ技術を掛け合わせることで、建物全体のエネルギー効率を包括的に改善し、削減効果と業務効率の最大化を実現する。
西和田氏は今回の提携について、「一番の目的は戦略的に協業して、日本とアメリカの両方で拡大していくこと」と語った。さらに、「ダイキンさんは業務用エアコン分野で世界シェア1位を誇り、アメリカ市場では現在シェア2位。業務用エアコン単体での年間売上は、およそ1兆7000億円に達している」と、その圧倒的な市場プレゼンスを強調した。
具体的な提携内容としては「ダイキンさんの顧客基盤に対しては、当社のGHG排出量見える化クラウドをクロスセルし、逆に当社の顧客には、排出量削減やコスト削減の観点でダイキンさんのソリューションを提供していく方針」という。ダイキンが保有するグローバルな顧客ネットワークや販売チャネル、施設管理のデータ基盤を相互活用することで、これまで自社単独では届かなかったスケールでの市場開拓や"共創型の価値提供"を実現する。
建物起因のCO2排出が世界全体の約2〜3割を占める中、両社の連携は測定・分析・改善提案・施策実行・検証に至るまで、脱炭素アクションの全工程をシームレスに支援する体制を構築する計画だ。
こうした動きは、国内外の政策動向や規制強化とも合致している。国内ではGX-ETS(排出量取引制度)の導入やSSBJ(サステナビリティ開示基準)対応が進む一方、アメリカでは企業や自治体が「計画策定フェーズ」から「実行フェーズ」へと移行しつつあり、施設単位でのエネルギー効率改善・排出量削減ニーズが急激に高まっている。
そうした中、アスエネはカリフォルニア州 ロサンゼルスで海外法人「Asuene USA Inc.」を設立し、現地パートナーや政策動向を踏まえた市場密着型の展開を推進中だ。ダイキンの設備面でのソリューションと、アスエネのGHGデータ・モニタリング基盤の組み合わせは、大規模施設や多拠点企業に対して即時的かつ持続的なインパクトをもたらす。
今回の協業実現にあたり、西和田氏は「大企業と連携するには、彼らの中長期戦略に資する大きな絵を描くことが不可欠」と強調。「単なる顧客紹介や我々のサービスを使ってもらうという話だけでは、大企業からしたら大したことない。将来的にグローバルで大きなインパクトを与えるためのプランを提案しなければ、連携は成立しない」と述べ、戦略的視座でのビジョン共有が今回の提携の決め手になったことを明かした。
調達資金の使途はM&Aを中心としており、「日本、北米を含め年間100件ほどの案件を検討している」とのこと。カルチャーフィットを重視し、選定基準に合致する企業との統合を進める方針だ。
すでにシンガポール、米国、タイ、英国、フィリピンに拠点を構えるアスエネは、「オーガニック成長だけでは1兆円企業は生まれない。M&Aを活用した成長が必要」との考えのもと、「日本発のグローバルナンバーワン」を掲げている。西和田氏は「サイバーエージェントの半分の時間で同規模を目指す」と意気込み、グローバルユニコーンとしての成長戦略を鮮明にした。
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