Web3ゴルフゲーム「GOLFIN」のワンダーウォール、総額10億円を資金調達ーー機能強化とグローバル展開を加速

株式会社ゴルフツーリズムジャパンは、プレシードラウンドで3100万円の資金調達を実施した。調達元は複数の個人投資家であり、開発体制の強化やサービス拡充、全国展開に向けた事業推進の資金として活用する計画だ。
同社は2024年1月設立のスタートアップで、訪日外国人のゴルフ旅行、いわゆるゴルフツーリズム分野に特化している。主な事業として、富裕層ゴルファー向けの旅行パッケージの企画と提供を手がける。ゴルフ場のラウンド、宿泊、現地での移動、地域特有の観光体験などをワンストップで予約できるプラットフォームの開発に注力している。観光庁や各地の自治体と連携し、地域資源を活かしたプロジェクトの推進も進めている。
代表取締役を務める小嶋崇文氏は、実業家の家系に生まれ、伝統的な「おもてなし」の精神をビジネスに取り入れてきた人物だ。新型コロナウイルス流行下で国内ゴルフ需要の拡大を目の当たりにし、インバウンド市場の回復を見据えた新たな事業を構想。自身が創業者として、海外のゴルフツーリズム事業モデルを参考に、日本ならではの体験価値を組み込んだサービス設計を進めている。
ゴルフツーリズム市場の国際的な動向を見ると、世界全体のゴルフ旅行市場規模は約4兆円、年間成長率は6.6%とされる。一般の観光旅行に比べて一人当たりの消費額が高く、平均滞在日数も長いことから、観光インフラや地域経済への寄与が大きい分野だ。日本国内には2200以上のゴルフ場が存在し、施設数の多さでは世界でも有数だが、訪日ゴルフツーリズムの市場規模は数十億円にとどまる。これは、受け入れ体制やマーケティングの課題、インバウンド対応のオペレーター不足などが背景にある。
また、日本のゴルフ人口は約600万~660万人と推定されているが、団塊世代の高齢化により今後5~10年で約30%減少するとの予測も出ている。ゴルフ場の維持や関連産業の持続には、新たな顧客層の獲得、特にインバウンド市場の開拓が求められている。
ゴルフツーリズムジャパンは、日本国内に潜在する約2200億円規模のゴルフ観光需要を見込む。高品質なゴルフコースに加え、温泉や和食、着物体験、寺院宿泊といった日本特有の文化体験を組み合わせることで、欧米やアジア圏の富裕層をターゲットにする戦略だ。パッケージ旅行の個人向け販売(BtoC)に加え、自治体や観光地域づくり法人(DMO)との協業を通じて、地域プロジェクトの企画・運営(BtoG)にも取り組む。現在、静岡県や栃木県、観光庁といったパートナーと複数のプロジェクトを進行中であり、今後は他地域への拡大も予定している。
業界内には、旅行会社やランドオペレーターが企画するゴルフ旅行商品のほか、HISやJTBのような大手が手がけるパッケージ、Japan Golf Travelers Clubのような特化型事業者も存在する。さらに、タイや韓国、オーストラリアなどは国を挙げてゴルフツーリズム誘致を進めており、日本が海外ゴルファーにとって魅力的な目的地となるには、ブランド構築と受け入れ体制の強化が必要とされる。
今回調達した3100万円は、プロダクト開発や予約システムの機能強化、エンジニアや地域コーディネーターの採用、官民連携プロジェクトの推進費などに充てられる。主要都市だけでなく地方圏を含めたゴルフ場を軸に、観光地としての新たな価値創出を目指す方針である。
ゴルフツーリズムは、日本の観光消費拡大、地域経済の活性化といった政策課題と密接に関連している。インバウンド施策としては、効果的な情報発信や予約・受け入れ体制の構築、自治体やゴルフ場の意識改革などが今後の課題となる。ゴルフツーリズムジャパンの事業展開は、スタートアップによる伝統産業の新たな活用事例としても注目されている。
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