レジリエント株式会社

レジリエント株式会社は、「安心して挑戦できる環境を創造し、一人ひとりが夢に専念できる社会を実現する」を掲げ、創業したばかりの企業から上場企業まで幅広い企業のバックオフィス支援を展開している京都発のスタートアップだ。
主力サービスの月1時間から始めるバックオフィス代行「オフィス番」は、サービス開始から1年半で150社を超える企業をサポートしている。
同社は2025年7月18日、Garnet Capital、Hyperion、インキュベイトファンドを引受先とする第三者割当増資により、シードラウンドで総額4300万円の資金調達を発表した。調達資金は、バックオフィス特化のAIエージェント「オフィス番AI」の開発と全国展開に向けて活用される予定だ。
今回は、代表取締役の小林史弥氏に、事業内容や創業背景、今後の展望について話を伺った。
『オフィス番AI』で労働集約型BPOからの転換を図る
――御社の取り組む事業について教えてください。
小林氏: 現在、既存事業と新規事業に分かれており、既存事業では「オフィス番」というバックオフィス支援サービスを提供中です。オフィス番は3種類のサービスから構成され、1つ目がバックオフィスのBPOサービスで、お客様の代わりにオンラインで経理や労務、営業事務といった業務を代行いたします。
2つ目は管理部長代行サービスで、管理部長経験者の派遣やバックオフィスの業務改善コンサルティング、診断を実施。3つ目は、バックオフィスの体制構築から代行まで一緒に行うサービスで、分社化やジョイントベンチャー設立時のバックオフィス立ち上げから代行まで一貫してサポートしています。

現在の売上構成比は、BPOが6割程度、業務改善系やSaaS導入が3割程度、バックオフィスの体制構築が1割程度となっております。今回の資金調達は、バックオフィス特化のAIエージェント「オフィス番AI」の開発に向けたものです。
――どういった企業様がサービスを利用されているのでしょうか。
人手不足の中でも、バックオフィスの担当者が定着しない、退職される、繁忙期だけ人が足りないといったケースが見られます。それ以外では、売上は順調に伸びてきたものの、バックオフィスが後回しになっており、そろそろ整理したいという成長フェーズにある会社様もいらっしゃいます。また、担当者に属人化してしまった業務をどうにかしたい、IT化を進めてバックオフィス系のSaaSを導入したいといったご要望も多くいただいております。
お客様の業界で言うと、B2Bの無形商材の会社様が多く、具体的にはIT系の会社様や、広告、デザインなどを手掛ける企業様が中心となっています。
会社の規模は、中小企業からスタートアップ、大学発ベンチャー、上場企業様まで幅広く、従業員数100名未満がボリュームゾーンです。業務改善系では、最小規模が50名程度から上場企業様まで対応しています。
――他社との差別化要素は。
BPOをしながら業務の改善提案をしていく点が一つの特徴となっています。本来、業務改善とBPOは相反するものと言えるでしょう。例えば、タイムチャージでBPOを提供している会社だと、無駄に時間をかけて20時間稼働すれば20時間分請求できるわけです。
しかし、私たちのように改善提案をして、もともと20時間かかっていた業務がペーパーレス化で10時間でできるようになると、売上が半分になってしまいます。とはいえ、非効率な業務をそのままにしておくとお客様に対するサービス提供価値が低くなってしまうため、売上が減ってでも、より良いバックオフィスを作るために改善提案をしています。
商工会議所で培った『経営者目線』が事業の原点
――創業背景について教えてください。
原体験は、商工会議所という経済団体で働いていたことです。そこで中小企業様の経営支援をする中で、社長さんたちと一緒に業務をしていました。創業者の方や3代目、4代目の方々は、自分たちの会社でやりたいことや解決したい社会課題への思いでスタートされている方が多いのに、書類作成や事務業務にかなり時間をかけられているのを現場で見て、もったいないなと感じました。自分たちが本当にやりたいことに集中してもらえる環境づくりをしたいと思ったのがきっかけです。
その後、事業会社で管理部長業務を経験し、会社の守りに位置するバックオフィスを安心できる環境にして、攻めの部分とやりたいことをやってもらえれば、会社が実現したいことに一歩でも近づけるのではないかと考えて起業しました。

京都で起業したことについては、私自身が生まれ育った土地であることに加え、老舗企業から新興企業まで多様な会社が近距離に集まっているため、人材採用や営業活動において大きなメリットを感じています。
――商工会議所でのご経験は現在の事業にどのように活かされていますか。
かなり幅広い業界の社長さんとお仕事する機会があったため、経営者の考え方を学ぶことができました。また、補助金資料のチェックもしていたため、短時間で様々な業界のビジネスモデルをキャッチアップする能力が身についています。
お客様との商談前に、この業界であればこういったバックオフィスの課題があるのではないか、こういった売上モデルになっているので会計が複雑になりそうだという当て勘を持って営業ができる点は活かされています。
AIエージェント開発で全国展開、継続的な資金調達も視野
――今回の資金調達の目的と今後の事業展開は。
新規事業で一気に会社をグロースさせていくために、エクイティ調達を行いました。現在は業務改善やSaaS導入、BPOを労働集約型で人手によって回していますが、AIエージェントを活用して労働集約型から脱却し、より多くのお客様をサポートしたいと考えています。
事業展開という点では、近々東京事務所を設立予定です。弊社のサービスは基本的にフルリモートで業務対応しているため、既に関東圏から九州・沖縄まで幅広いエリアでお客様にサービスを提供しており、今後も全国展開を加速していく予定です。
他社との業務提携についても積極的に取り組んでおり、これまで複数の企業と連携しています。現在は相互でお客様を紹介したり、SaaS会社とSaaS+BPOのパッケージを提供したりしており、今後もこうした連携をどんどん広げていきたいと考えています。
――中長期的な目標について教えてください。
バックオフィスといえばレジリエントやオフィス番という印象を持ってもらえるような認知度を広げたいと思っています。
資金調達はこれからも続ける予定で、Exitについては現状、必ずIPOでなければいけない、M&Aでなければいけないというところは決めていません。どちらも選択肢を持ったまま走ろうと考えています。
今後もバックオフィスをできるだけ最適化して、あまり人手やコストをかけずに攻めの部分に各企業の資金を投入してもらいたいですね。そうすることで、会社のビジョンやパーパス、解決したい社会課題を一つでも解決できるような環境づくりを目指したいと思います。
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